「あ〜、桜が綺麗だなぁ」 「そうだな」 一護とルキアは歩いて、桜が綺麗に咲いた学校に入る。 別にこれといって用があるというわけではないのだが、家から一番近い場所で綺麗に桜がさいている場所は高校しか思いつかない。あとは、花見ができるような場所は 電車に乗って少し遠出をしなければいけない。 二人は、開け放たれた門の中に入り、校庭に誰もいないのを確認してからビニールシートを広げた。 すでにルキアは桜よりも、目の前におかれた重箱の弁当箱に視線がいっている。 「桜見にきたんじゃないのか」 「何をいう。ちゃんと桜を見ているではないか」 「いや、弁当箱ばっかみてねぇ?」 「うつけが。お主の目が悪いのだ」 うつけとか言ってくるけど、すでにルキアは弁当箱をあけて中身を食べ出している。 サラサラと、風に靡いて桜の花弁が散っていく。 学校の、しかも校庭で花見なんてなんだか貧乏臭いけど、楽しければそれでいいと一護は思う。 「そう、楽しければそれで・・・・」 ルキアの隣に、ちょこんと白哉が座っていても、楽しければそれでいいと・・・思う。 「楽しくなるかああ!怖いわああ!!」 一護は、白哉に向かって吼えた。 愛しい義妹がお弁当を幸せに食べる様子を、これまた幸せそうに見ているのだが、それはいいのだが斬魄刀が一護の方に向けて刃をキラリと耀かせていた。 「兄は、何故花見に私を誘わぬ」 「そもそも、なんで現世にいやがる!」 隊長である朽木白哉は、今頃まだソウルソサエティにいるはずなのだが、愛しい義妹に何かある度に現世に訪れ、そして一護に何かある度に斬魄刀を向けて追い掛け回してくる。 「白哉はソウルソサエティにいるはずだから、誘えるはずないだろ!」 「甘い」 ルキアから、玉子焼きをもらってそれを飲み下して、斬魄刀を一閃させる。 白い軌跡が宙を舞う。 切り取られてしまった一護のオレンジ色の髪が数本、一緒に宙を舞って風と一緒に消えていった。 「だああ、斬魂刀ふりまわすな!!」 綺麗に散っていく桜の花の下、白を貴重とした衣服で白哉は静かに佇む。 そして、何を思ったか白哉は校庭のその桜の木を根元から切ってしまった。それを肩に担いで、しれっとした顔でルキアに言う。 「これを、家に持って帰るがいい。いつでも花見ができる」 「さすが兄様!」 いや。 無理が、ありすぎますから。 どうやって、桜の大木を黒崎家につっこむというんだ。あ、でも白哉に任せたら本当に、柱のように桜の大木を黒崎家にめりこませそうだ。 一護は、ため息をついて自分だけ帰る準備を始めた。そしたらやっぱり、白哉が桜の木を抱えておっかけてきた。 「くんな、こっちくんな!!」 「兄も、手伝え!」 「無理いうな!つか楽々一人で抱えてるじゃねーか!」 校庭で二人は追いかけっこする。 こうして、校庭の桜はなくなった。卒業式、桜の花を見て泣く・・・という当たり前の習慣がきえた瞬間であった。犯人は名乗りあげろと切られた桜の株に、校長先生直筆の 立て札がかけられるようになったとさ。 |