言った言葉には責任を(閑話)







7月も少し過ぎた。

浮竹は、もうすぐ京楽の誕生日だなと思い、つい先日のことを思い出す。

いつものように、日番谷隊長のところへ遊びにいった。

少し熱があるかもしれないと思いつつ、京楽の誕生日プレゼントに何をあげればいいのかと、松本にも聞いた。

いつもは何をあげているのかと聞かれて、酒と答えた。

「今年も酒で・・・・現世のヨーロッパなる地域で人気の赤ワインを・・・・」

用意は、もうちゃんとしていたのだ。

でも、はっきりと覚えている。

あの時は熱にうなされていたとはいえ・・・・プレゼントに「俺」をあげると言ってしまったのだ。それがどういう意味だかは理解していた。

なんて大胆なことを・・・思い出すだけで恥ずかしくて、浮竹は顔を手で覆って畳の上でごろごろとしていた。

その日の夜、京楽が泊まりにやってきた。いつものように酒を飲み交わしあい、誕生日の話になった。

「浮竹の誕生日プレゼント、期待してるからね」

「赤ワインを・・・・」

なんとか誤魔かせないかと、浮竹は用意していた赤ワインを見せた。すると、京楽は何を思ったのか浮竹から赤ワインをとりあげると、中身を口にして浮竹の喉に流し込んだ。

「きょうら・・・あっ」

そのまま、飲み交わす酒の中に赤ワインが仲間にはいった。

給料数か月分はする、名のある赤ワインで高かったのにと思いながらも、その美味しさに吃驚する。

「誕生日プレゼント。期待してるからね?」

そのまま体を重ねあうこともなく、夜を共にした。



そのまま7月11日の、京楽の誕生日がやってきた。

どうしようと内心焦りつつ、8番隊のみんなで京楽の誕生日を祝った。七緒からの誕生日プレゼントは、赤ワインだった。

かぶらなくてよかった・・・・・・そう思いつつ、いよいよ宴もお開きになる。

どうしようどうしようどうしよう。

ドキドキしてきた。

もう気が気じゃなくて、七緒に声をかけた。

「どうしたんですか浮竹隊長」

「京楽の贈り物に、「俺」って言ってしまったんだ」

使おうか捨てようか、迷っているラッピングリボンを手に、浮竹は言葉を続ける。

「どうすればいいのか、分からないんだ」

経緯を話すと、七緒は力になりますと、浮竹を連れて行ってしまった。

「浮竹〜?七緒ちゃ〜ん?どこいっちゃったのかな・・・・」

その頃の、浮竹はというと。

七緒の手で、髪にラッピングリボンを結ばれていた。体にも、ラッピングリボンを結ばれた。

口には紅をさし、いつもの死覇装の肩をはだけさせて、白い肌が露わになるようにする。

「ちょ、これは・・・・・」

七緒は、浮竹の手をとって走り出す。

京楽の隊首室にくると、浮竹を中に入れて、去ってしまった。

「おい、伊勢副隊長!」

助けを求めるが、隊首室は外から鍵がかけられていた。

「・・・・・浮竹?」

浮竹がいないことにがっくりして、やけ酒を飲んでた京楽がやってくる。

ふわりと甘い花の香りがする。浮竹の匂いだ。

「これが今年の僕の誕生日プレゼント・・・・・」

京楽は、浮竹の姿にごくりと唾をのんだ。

潤んだ翡翠の瞳、華奢な手足、死覇装は乱れて肩がみえている・・・その肌の白さに、もう一度生唾をのみこんだ。

髪と体にラッピングリボンを巻いて、そのかわいらしさにくらりとくる。

「さっそく、もらっていいかな?」

浮竹を抱き上げて、隊首室のベッドに横たえた。

なんとか起き上がろうとして、浮竹があがく。

「ちょ、違うんだ、京楽、その、これは・・・・・・うんんっ」

口づけされて、露わになっている肩にもキスされた。髪のラッピングリボンはそのままに、衣服のラッピングリボンを外していく。

死覇装を、肩から腕に、腕から腰にと下げられていって、浮竹は声をあげる。

「んんっ」

「かわいいよ浮竹・・・・・・最高だ」

死覇装の下には襦袢を着ておらず、裸だった。

「僕に、こんなに食べられたかったんだね?」

「ちが・・・んんっ」

全身にキスの雨を降らされて、浮竹は啼いた。

「ああっ」

潤滑油まみれにした指で、早急に蕾を解される。

「うあっ」

寝台から這い出そうとしている浮竹の背後から、浮竹の手をとって勢いをつけて貫いた。

「ああっ」

「ほら・・・僕たち、今繋がっている。一つだよ」

「あうっ」

中にいれたまま、何度も体を揺さぶられた。

視界に涙がたまり、零れ落ちていく。

「君は僕のものだ・・・・・」

「んっ」

何度も腰に腰を打ち付けられて、前立腺をこすりあげられ、浮竹は京楽の手の中で果てた。

「ひゃんっ」

変な声が漏れた。

いっている最中に深奥のいいところを貫かれて、オーガズムで達する。

「あ、あ、いってるから、春水っ、犯しちゃやぁっ」

一度引き抜いて、ズプズプとまた突き上げた。そして、浮竹の最奥で精を弾けさせた。

まだ、京楽の熱は硬さを保ったままだ。一度では満足しきれない。

「あ、あ!」

浮竹が物理的にも精神的に果てている間も、関係なく浮竹を蹂躙した。

「キス・・・・して・・・・」

「愛してる、十四郎・・・・・・」:

「んっ・・・愛してる春水」

舌を絡ませあう。

浮竹は、行為中のキスが好きだ。

何度も浮竹を貫き揺さぶり、浮竹が意識を失うと、半ば無理やり起こして行為を続けた。

夜が更けるころには、泣きはらした目で、浮竹が京楽を見上げてくる。

その潤んだ瞳を、誰にも見せたくないと思った。

「もう、むり・・・・・・」

「僕も、流石にむりだ。やりすぎた、ごめんね」

「今日は・・・・・いや昨日か?京楽の、誕生日だから、別にいい・・・・・・・」

もっとねだられて、キスを何度も体中に降らせる。

「京楽のキスは好きだ・・・・」

ドクンと心臓がなる。

本当に、この子は。

舌を絡ませあうと、浮竹は積極的に受け入れてくれた。

「浮竹の誕生日プレゼント、しっかり受け取ったよ」

髪のラッピングリボンを外していく京楽。唇にさした紅など、一度目の口づけで消えてしまった。口にしてもいい染料で作られていて、苺の味がした。

ぺろりと、浮竹が自分の唇をなめる。

ああ、この子。果てたのに、まだ欲情してるんだ。

京楽は、何度も口づけをして、二人で泥のように眠った。


「おはよう」

「ん・・・・おはよう」

朝起きると、後始末をされて体も清められており、脱いだのと違う絹で金糸で刺繍をほどこされた夜着を着ていた。

「また高そうなものを・・・・・」

「それあげるから。好きにしていいよ。元々、君にあげるたけにしつらえたものだから」

京楽は、浮竹に巻かれていたラッピングリボンを捨てずに、綺麗にくるめて保管しようとしていた。

「京楽!そんなの捨てろ!」

「嫌だよ。君が僕に「君」をくれた記念の品なんだから」

これでもかというほどの、嬉しそうな笑顔に何も言えなくなる。

七緒のおかげで無事「俺」を誕生日プレンゼントにできたことに、安堵している自分と、ラッピングリボンを巻き付けたり、見た目とかいろいろで恥ずかしい思いをしたことがごちゃまぜになって、浮竹を襲ってきた。

恥ずかしい方の感情が勝って、浮竹は穴が開いていうたら入りたい心境になった。

「昨日の恰好のことは忘れろ!」

「無理だよ」

「いいから忘れろ!」

「写真、とっておいたから」

伝令神機に、ラッピングされた姿の浮竹が収められていた。

「ばか、消せ!」

「いいじゃない。誕生日プレゼント、君をもらった証をちゃんと残しておかないと」

恥ずかしい。

くそ恥ずかしい。

浮竹は、顔を手で覆ってベッドの上ででごろごろしだした。

「照れてるの?」

「気のせいだっ」


そんなこんなを・・・・・・日番谷に話したら、日番谷は真っ赤になっていた。

「てめぇ、何のろけ話してんだ!しかも今回は酷いなおい!18禁じゃねぇか!俺は子供じゃねぇが見た目は子供なんだから、ちょっとは遠慮しやがれ!」

「日番谷隊長でも恥ずかしいのか?」

「当たり前だ!誕生日プレゼントに「自分」をやるなんて、どこの漫画か小説だ!」

「俺もそう思う・・・・俺の誕生日の誕生日プレゼントがこわい。京楽が「僕をあげる」とかいいだしそうで」

「想像しただけで鳥肌がたった」

日番谷は、浮竹の言葉に蒼くなった。

「日番谷隊長〜」

るんるん気分でやってきたのは、浮竹という誕生日プレゼントをもらった京楽だった。

「ああ、やっぱりここにいたのか浮竹!まだ出歩いちゃだめじゃない。昨日は、ちょっと無理させすぎちゃったしね」

その言葉に浮竹が朱くなる。

「昨日の君は、とても素敵だったよ・・・・・」

「なっ・・・・」

「あああああああ聞こえない、聞こえない」

日番谷は叫んで声が耳に届かないようにしていた。

「君の潤んだ瞳・・・ラッピングリボン・・・白い肌・・・甘い声・・・・」

「京楽!ここは、10番隊の執務室だからぁっ」

場所など関係なく、浮竹に口づけて死覇装の中に手をいれる京楽に、日番谷の我慢の糸がきれた。

「蒼天に座せ、氷輪丸ーーーーーーーー!!!!」

当たり前のように京楽が浮竹を抱きかかえて、瞬歩でかわされてしまった。

「この盛りのついた犬どもがあああああ!!」

「あははははは、酷い言葉だね日番谷隊長!」

氷輪丸で襲われても、京楽は楽しげだった。よほど「浮竹」をもらえたことが嬉しいのだろう。

「蒼天に座せ、氷輪丸!」

逃げ回る京楽を追いかけて、日番谷は走っていく。

結局、隊舎を半壊させて、山本総隊長にこっぴどく叱られる日番谷隊長の姿が、後日にあったという。