猫の人生







「にゃあ」

綺麗な真っ白い猫がいた。

瞳の色は金と銀のオッドアイだ。

そういう猫は、体が弱い。

「にゃあ」

猫は鳴いた。

外でであった、ロシアンブルーの綺麗なの猫に、にゃあと、囁いた。

(京楽?)

「にゃああ」

(浮竹?)

言葉を伝えようにも、にゃあとかなーとかしか言えなかった。


でも、通じた。

光の先は、無ではなかった。猫だけど、また出会えた。


「にゃあ」

(おいで、浮竹)

ロシアンブルーの猫は、野良だった。

飼い猫の、綺麗な真っ白な猫に、家を出ろと囁いた。

気まぐれに、一緒に過ごそうと。

「にゃあああ」

(待ってくれ、京楽)

オッドアイの白猫は、振り返ってくるロシアンブルーの猫の後を追って、走り出す。


「にゃあ」

「にゃあああ」

二人の雄猫は、楽しそうに走り出した。

自由だ。

海のように深く、空のように広大な世界を、自由に楽しむ。


猫でもいいかと、京楽は思った。猫でもいいかと、浮竹は思った。

光の先は、無だと思っていた。でも、違った。

できれば人として生まれたかったが、猫でもよかった。

お互いが、生きているならば。


「にゃーお」

猫の浮竹は、飼い主にごめんなさいと鳴いて、京楽であるロシアンブルーの猫の後を追って、走っていく。

自由に、生きよう。

また、光に飛んでいくまで。

死神と違って、寿命は短いが、それでもいい。

また、永遠の愛を囁こう。


その後、二匹の猫の姿を見た者はいなかった。