「ん・・・・・・・・」 まどろんでいた。 夢と目覚めをいききして、酷く心地よかった。 「・・・・・・・・!」 誰かが、何かを言っている気がする。 でも、また起きたくなくて。 「もう少し・・・・・寝かせてくれ・・・・・・・」 「浮竹!」 耳元で大きな声で名を呼ばれて、飛び起きる。 「どうした!?」 「やばいよ、今日は隊首会の日だよ!すっかり忘れてた!」 「隊首会!?」 確か、午前の10時からだったはず・・・。 時計を見ると、11時を回っていた。 「うわああああ、先生すみません」 謝りながら、脱ぎ散らかしていた死覇装やら、隊長羽織を身に着けていく。京楽も、同じように死覇装と隊長羽織を着こんだ。 「急ごう!」 「ああ!」 瞬歩で、一番隊の隊首室に入ると、みんな揃っていた。 遅れたことに、山本総隊長は少し表情を崩したが、すぐに元に戻って、会議が行われる。 終わって、ほっとして帰ろうとした二人を、山本総隊長が引き留めた。 「春水、十四郎・・・・・・」 ああ、きた。 お説教か。 それも致し方なし 「お主ら、着ている隊長羽織を間違えておるぞ」 「え!」 「本当ですか!?」 後ろを見ると、浮竹は8番隊の羽織を、京楽は13番隊の羽織を着ていた。 「いや、これはだね山じい・・・・・」 「お主ら二人の関係に口は挟まぬ。だが、今度そのような理由で隊首会に遅れたら、きつーーーーーーいお灸をすえてやるぞ」 何度もそのお灸と称すお叱りを受けて、根性をたたき直すとしごかれてきた二人は、顔色を蒼くした。 「山じい、今度から気をつけるから。お灸は勘弁してよ」 「先生、もう遅刻はしません」 京楽と浮竹にとって、山本総隊長は親のようであった。 そして山本総隊長にとって、京楽と浮竹は我が子同然であった。 お灸をすえられる前に、謝罪をして心を入れ替える。入れ替えたといっても、今までとあまり変わりないが。 山本元流斎重國は、かわいい愛弟子二人が、いつもと変わらず寄り添いあっているのを見て、 安堵をする。 100年以上も前におこった藍染の事件により、護廷13番隊は一度は危機的状況になっていた。多数の隊長副隊長クラスが、藍染による虚化の実験のせいで失われた。今の基礎を築いたのは、京楽と浮竹の二人と卯ノ花烈だ。 何百年時を経ても、山本元流斎重國を支えてくれる二人を前に、彼は伸ばしている自慢のひげをなでるのであった。 |