血と聖水\「呪い〜蜜月〜」1







18菌注意。ハードめ
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「あ・・・・れ?」
ホームで夕食を終え、お風呂にも入って先にフェンリルを寝かしつけたティエリアは、体の不調に気づいた。
体中が熱を帯びたような感覚。
そう、吸血された後の恍惚感に似ている。
「何?」
疼く。
体中が悲鳴をあげる。

銀色の月が、蜜月となる時間。

呪いはやってくる。
帝国騎士、シェゼルのマスター、ホークアイの呪いが。
四百年孤独で生きてきたホークアイにとって、殺戮を求めるシェゼルは元々ダークエルフなだけあって、血を好む体質にあった。
それが、ヴァンパイアとなって濃くなっただけのこと。
ダークエルフであった時代も、何人かの人間を殺していたシェゼルにとって、吸血して人間を虐殺することなど、いつものことだったのだ。それが罪であると、教わらなかった。
ダークエルフと人間はもともと対立していた。百年ほど前に、協定で平和が結ばれたのだ。
人間を殺すダークエルフは多かったし、ダークエルフを殺す人間だって多かった。
そんな時代にうまれた長の子は、両親から人間を殺すことは罪であると教わらなかった。
協定が結ばれ、ダークエルフの皇帝は民のダークエルフに魔法をかけた。人間に、敵対心を抱かぬ魔法を。それにより、ダークエルフが持つ潜在的な人間に対する敵対心は消えた。
だが、消えないダークエルフだっている。魔法が効き難い体質の者。
それが、長の子シェゼルであった。
人間を殺しても、完璧に隠蔽した。両親は、長であるシェキアも気づかなかった。
だが、人間を敵視するシェゼルはダークエルフの中でも孤立し、やがて国を飛び出してエタナリア六区、人間とヴァンパイアが共存する地に住むようになった。
ヴァンパイア。自分と同じように、人間を殺すことを普通に思う種族は、シェゼルにとって同胞に近かった。最も、共存地区に住むヴァンパイアは平和主義であったが。
そこで出会った、エタナリア六区を守る帝国騎士ホークアイも孤独であった。孤独な者同士、惹かれあうものがあったのだろう。友人となり、やがてシェゼルはホークアイの血族となることを決意する。
ホークアイは、家族よりも皇帝よりも大切な友を失った。

ずくん。
体が、疼いて疼いて仕方ない。
「ああ・・・・だめぇ、こんなのだめぇ」
自分で、秘所に手を差し入れ、ぐちゃぐちゃとかき回す。
「うう・・・・・」
止めたいのに、止まらない。
体はもっとと、素直に求めてくる。
上の衣服をはだけ、自分で胸の突起をつまみ上げる。
「ああ・・・」
夜着は長衣だった。リボンが腰までのスリットに編みこまれ、銀杏の模様と紅葉の秋の気配がする衣服だった。
裾を捲り上げ、下着の上から秘所をなぞり、隙間に手を入れて秘所に指を侵入させる。
ツプリと、秘所は蜜を零してティエリアの長く細い綺麗な指を受け入れる。
「ああ・・・もっと、かきまぜてぇ!」
ぐちゅぐちゅ。
淫靡な音がする。
「ああー」
足を大きく広げたティエリア。

風呂からあがり、寝室に戻ってきてその痴態を見てしまったロックオンは、固まる。
「欲しいの・・・欲しいの・・・ぐちゃぐちゃにしてぇ!」
甘くねだってくる。

「・・・・・ティエリア。くそ、インキュバスの呪いか?誰がこんな!」
ティエリアの額に、刻印が浮き上がっていた。
それは、相手を淫らな体につき落として、そのまま落命させる呪い。解除方法は相手を満たすことしか、ロックオンは知らない。
普通は、相手を満たすことなどできない。
淫らになったその体をインキュバスが迎え入れ、犯す。
そして、犯されそれでも満たされず死体となった者を、新しくサキュバスかインキュバスに仕立て上げる。

とぷん。
二人は、闇の中に沈んでいった。

「ようこそ・・・・インキュバスの世界へ・・・・って、げぇ!ネイ!!」
自分の世界に沈んできた獲物を、唇を舐めて自分のものにしようとしていたインキュバスは、見知った顔を見て顔を蒼くする。
「よお・・・・インキュリアス・・・・二百四十六年ぶりかぁ?ティエリアは渡さないぜ」
当時の恋人はなんとサキュバス。どこまでもいろんな種族に手を出していたロックオン。恋人を、他のインキュバスにとられたロックオン。その時のインキュバスが、インキュリアスという名の美しい青年であった。インキュリアスは、ネイであるロックオンとも関係を持った、両性具有であった。
普通は男性がインキュバスに、女性がサキュバスになる。
男性の両性具有であったはずのインキュリアスは、ネイでもあるロックオンに自分の物にされてから、男性とも関係を持つようになった。全部、ロックオンのせいにしているのだ。実際は、淫らなインキュバスとして生まれて、しかも両性具有として生まれた自分の体のせいなのだが。
女だけでは満足できず、複数の男と交わることもしばしばだった。
両性具有は、普通の男や女よりも美しく、そして中性はそれよりももっと美しい。
ティエリアの美しさは折り紙つきだ。

「ち・・・・お前かよ・・・・俺抱かねーの?」
「昔なら抱いてただろうな・・・でも、今はティエリアだけだ」
「あーあ・・・・あんたの恋人?永遠の愛の血族か。あーあ、乱れちまって。ぐしょぐしょじゃんか。中性だろ、そいつ?中性なのに・・・・あれまぁ、なんてエッチな」
「お前がいうな」
ロックオンは服を脱いだ。
「ネイなら仕方ねーな。ベッドかしてやるよ」
インキュリアスは、自分の世界を闇から浮かび上がらせる。
「ベッドいらね。花畑がいい。この前やって、ティエリアがすげぇ乱れた」
「へー。じゃまぁ、ほらよ」
インキュリアスは、その魔力で空間に真っ白な花を咲かせた。


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