ハンター協会には、ロックオンはいけない。 長からの命令である。長とロックオンは、ティエリアを通じて知り合い、ティエリアが協会の命令を受けている間、一緒にお茶などをして話したりしていたのだが、他のヴァンパイアハンターがネイ、血の神であり、水銀のニールとして名高い伝説の存在を怖がるので、仕方なしにロックオンはハンター協会への出入りをを禁止されてしまった。 ロックオンも、長であるダークエルフを信用しているので、ハンター協会に出入りできないことをあっさりと承諾し、ティエリアをいつもホームで待っている。 「ただいま、ロックオン」 帰ると、夕食の準備は整っていた。 「よお、おかえり。飯できてるぜ」 「ありがとう・・・今日はパスタですか」 「おー。長、元気だったか?」 「いえ、今日は会えませんでした」 「そうか。また遊びにいきたいなぁ。あの長俺好きなんだよ。ダークエルフだけど、俺と同じで人間くさい。ああいう人間臭いタイプは長生きするぜ」 「あなたみたいに?」 軽くからかったつもりが、ロックオンは真面目に受け答えする。 「おうよ。俺人間臭いけど・・・これでもネイだぜ」 「知ってますよ」 二人はテーブルにつき、そしてよだれかけをつけたフェンリルは、テーブルの上で、前足でフォークを握り締めて、くるくると器用にパスタをまとめて、口に運んでいく。 子猫の姿なのに、器用にまぁ、前足でスプーンやらフォークやらを使うフェンリル。上品だ。 「このあさりがうまいにゃ。ロックオンのあさりもよこせにゃ」 フェンリルは、一番先に食べ終えてしまい、まだ食事中のロックオンの皿に近づくと、あさりを全部ぱくりと食べてしまった。 「あああ、このやろう!!」 「にゃ。知らないのにゃー。あさりが美味過ぎえるのにゃ!あさりが悪いのにゃ!!」 「食い物のせいにすんなつーの」 「フェンリル、今日はキャットフードはいらないの?」 いつもは、フェンリルはキャットフードも食べる。食欲は旺盛だ。 「いいのにゃ。あさりおいしいのにゃ。ごちそうさまなのにゃ」 フェンリルは、また器用に前足をあわせてごちそうさまをすると、よじよじとティエリアの頭にのぼって、そこで欠伸をする。 「主、ゆっくり食べるといいのにゃん」 「うん」 海鮮パスタと、サラダ、それにフランスパンというメニューをゆっくり、ロックオンと雑談しながら食べていく。 食べ終わったティエリアは、歯を磨いて、皿などの後片付けはロックオンがする。 「今日はフルムーンか・・・・あー。血がざわめくな」 「満月ですから、仕方ありません」 「一緒に風呂入ろうか?」 「いいですけど・・・・襲わないで下さいね」 ティエリアは、いつもフェンリルとお風呂に入るのだが、たまにロックオンとも入る。無論フェンリルも一緒だ。 「にゃー。お風呂の時間なのにゃ。リンスとシャンプ用意するのにゃ!」 フェンリルは、専用のリンスとシャンプーを持っていて、いつも毎日全身をティエリアに洗ってもらう。頭もシャンプーでいいだろうに、フェンリルはいつもシャンプーハットをかぶって、違う頭専用のシャンプーで洗ってもらい、最後にリンスを頭だけにつけてもらって、その格好で湯船の中をばしゃばしゃ猫かきして泳ぎ、あがる前に全身を流してもらって、風呂からあがるとまっさらなバスタオルで全身の水分をとってもらい、それからドライヤーで全身をかわかしてもらった後、お決まりのソファに寝そべって、ティエリアに専用のブラシで全身をブラッシングしてもらう。 いつも銀色の毛は綺麗な光沢をもち、まさに優雅な生活を送るフェンリル。主のティエリアの愛もたっぷりだ。 NEXT |