屋敷中を探し回って、一番豪華な部屋の寝台の側の机に、鍵が置いてあるのを見つけた。 それを口に咥えて、地下室に戻ると、屋敷の主が待っていた。 「屋敷中を子猫が走り回っていると聞いたが・・・なんだ、あの美しいヴァンパイアハンターの精霊ではないか」 「その子解放するのにゃ!」 「はてさて。無理な申し出だねぇ。これは剥製にするんだよ。ああ、幻の種族を剥製にできるなんて」 バルワーズの当主は、うっとりと呟く。 「ファイアブレス!!」 フェンリルは、鍵を地面に置いて、炎のブレスを吐いた。 「サラマンダー、反射せよ」 召還されたサラマンダーが、炎のブレスをフェンリルに反射し、しかも威力を数倍に高めて、フェンリルは炎に包まれながら、氷の魔法を唱える。 「アイスエッジ!!」 サラマンダーの体が真っ二つにされた。サラマンダーは悲鳴をあげて、傷ついた体を修復するために精霊界に戻った。 バルワーズの当主は、レベルは低いが魔法士でもあった。 「こんな魔法、通用しないよ、ぼうや。君も毛並みが美しいねぇ。剥製にしてあげよう」 炎は、フェンリルが吸収した。炎の属性をもっているので、炎で焼かれることはない。 フェンリルは、叫んだ。 「お前なんて、地獄におちろだにゃ!」 アイスブレスを吐く。 今までにないほど怒っていた。 「アイシクル、反射を・・・・」 呼び出されたアイシクルは、ティエリアとも契約をしているアイシクルだった。戦乙女のヴァルキリーは、手を叩いてフェンリルとの思いがけない再開を喜ぶ。 「あら、ゼイクシオン君。違う召還であうなんて、なんて偶然なのかしら」 「アイシクル!命令に従え!」 「うるさいですわ!」 アイシクルは、もともとこの召還主が嫌いだった。いくら魔力が高くても、信頼がないとそこに契約は成り立たない。中途半端な形でつかえていたが、悪趣味な剥製のために呼び出されたりうんざりしていたのだ。 「契約を、破棄します」 「何!何をいうアイシクル!精霊が契約を破棄できるはずがない!」 「あなたは何も精霊のことをわかっていないのですね。精霊は確かに契約に従い、召還されます。でも、その契約は、召還主を信頼していなければ、契約は徐々に薄れて無効になるのですよ」 アイシクルは氷のランスを振り回して、バルワーズ当主の首元につきつける。 「ひい・・・・・」 バルワーズは、腰をぬかして、その場に尻餅をつく。 「この子の心の痛み、思い知れだにゃ!アイスブレス!!!」 怒ったフェンリルは、バルワーズを氷づけにした。 生きたまま、氷の炎で焼かれるようなもの。身を切るような痛みがたえずつきまとう。 「ひいいい、痛い、痛い!!」 「ファイアブレス!!」 フェンリルは、剥製にされた者たちに炎のブレスを吐いていく。 「うわあああ、私のコレクションがあああ」 「灰に、戻してやるのにゃ!こんな残酷なこと許さないのにゃ!!!」 しばらくして、ティエリアがやってきた。 「バルワーズ当主。種族協定違法による、剥製の所持、及び売買などで、あなたは貴族連盟から追放されるそうです」 氷づけになったままのバルワーズに、ティエリアは冷たく告げる。 「エドワード・バルワーズ。種族協定違反、剥製の所持、密売、墓からの遺体盗難・・・・さまざまな件で、亜種族から逮捕状の推奨が出ている。貴族連盟にいる限り、逮捕はでなかったが、貴族連盟から追放されたお前にもう庇護はない。逮捕するであります!」 巡査は、バルワーズに手錠をかけ、そのままバルワーズは本国の警察署に送られて、種族との協和の点から、終身刑が下されることになる。 フェンリルは、口で器用に檻の扉をあけた。 「ほら、もう自由だにゃ!」 「ありがとう!!」 フェザーキャッティは、マロンと名乗った。 すぐに、保護監察官がきて、保護され、住まう森に返されることになった。 NEXT |