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その日、学校の授業が終わると、二人は手を繋いでいつもの美術館に向かうと、忘れ名草の絵画を見にきた。
そして、そこでティエリアはニールとベンチに座ると、決心して言葉を出す。
胸がドキドキしすぎて、破裂しそうだ。顔は薔薇色に紅潮していた。
「あ、あのねニール」
「どうした?」
「あなたのことが、好きです。私と、付き合ってください」
その言葉に、ニールはぽかんとなったかと思うと、なんと涙を流したのだ。
「ニール!?」
「ありがとう。その言葉だけでも、俺は凄い幸せだ。うん、恋人になろう。いつか、それで小さな教会で結婚式を挙げて、たくさん子供つくってそれから・・・・」
「続きは、今度。今からデートしましょう!」
「あ、ああ!」
二人は町に繰り出した。
そのまま、いつものように手を繋いで歩いて、そして二人はある宝石店に入った。
「ペアリング、買いましょう」
「ああ、買おうか」
二人は、ニールのなけなしの小遣いでシルバーのかわいい、安いペアリングを買った。
ニールは、まだ涙を流しそうになる。
昔も、こうして二人で宝石店に入って、ペアリングを買った。
そのペアリングをずっとはめたままだった。ずっと、ずっと。
二人は、そのまま映画を見てレストランに入ると、夕食をとった。
「明日も、また会えますよね?」
「ああ、毎日でも会えるよ」
二人はレストランを出ると、微笑みあっててキスをして別れる。
そして、自宅に戻ったニールは母親ににやけ顔をどうにかしなさいと言われ、そしてティエリアは父に呼ばれた。
「お父様?」
「来週の日曜、パーティーを開く。神父を招いて、アレルヤと結婚式を挙げるんだ。財政界からの客人も多くこられる。分かっているね、ティエリア」
「お父様!!」
「我侭はほどほどにしなさい。お前のためなんだ」
「違う。そんなの、私のためじゃない。お父様の都合でしょ!」
「ティエリア!」
ティエリアは泣いて自室に戻った。
どうしよう。このままじゃ、本当にアレルヤと結婚させられてしまう。
でも、逃げたところで連れ戻されるだけ。
ティエリアは、ニールに携帯をかけた。
「どうした、ティエリア。泣いているのか?」
「ううん。声が聞きたかっただけ・・・・」
二人は、1時間ほど会話をして、ニールが眠いとのことなので、会話を切った。
ティエリアは、涙を流して、白い羽毛を集めた籠に手を伸ばす。そして、その羽毛を撒き散らした。
「大丈夫、まだ時間はあるもの」
ティエリアは、また夢をみた。
夢の中で、ティエリアはピンクのウェディングドレスを着て、白いタキシードのニールと結婚式を挙げていた。
ウェディングドレス姿で、ティエリアは眠いといって眠りつく。
「さようなら・・・ロックオン・・・・ありがとう・・・愛しています・・・・」
永遠の眠りについたティエリア。
その体を抱きしめて号泣するニール。
光が瞬いた。二人は、背中に12枚の白い翼を生やしてティエリアの前に立っていた。
「ニール、ティエリア・・・・」
「愛しているよ、ティエリア」
「愛しています、ニール」
二人は、ティエリアの前でキスをする。
「な?俺たちは、ここで終わったんだ。でも、お前は終わらないでくれ。この続きを・・・・天使たちの夢の続きを見てくれよ」
「私は死に、ニールも世界から消えました。そして、一度天使たちの夢は終わった。でも、今世界でまた天使たちの夢が再生されている・・・・」
ティエリアの目の前に文字が浮かんだ。
夢の続きを見ますか?
はい いいえ
ティエリアはそれに触れた。
「はい」を選択していた。
「お前が出した答えだ」
「あなたの出した答え・・・・さぁ、ティエリア」
ティエリアは、目を覚ました。
そして、次の日からニールの側でいつもより幸せに微笑むティエリアの姿があった。
二人は帰宅時刻ぎりぎりまでいつも一緒にいた。愛を囁き、キスをして、手を繋いで、抱きしめあって。
二人は毎日デートを繰り返した。
幸せだと思った。
もう、ティエリアの中にティエリアの記憶は戻っている。
「私、ね。ティエリアの記憶、戻ったんです」
「え。マジか!?」
「はい。ずっと、夢を見ていたんです。あなたと愛し合っていた夢を。でも、記憶はなくって。でも、もう戻ったんです」
「ティエリア・・・・」
「前世から、私たちは結ばれる運命だった、としかいいようがありませんね」
ティエリアは照れながら頬を染めた。
「俺、今度こそ幸せにするから。二人で幸せになろう」
二人は、夢の中のティエリアとニールのように、優しく甘いキスを繰り返す。
「あ・・・・また・・・・」
ふわりと、二人の前に文字が浮かぶ。
夢の続きを見ますか?
はい いいえ
「決まってるだろ、バーカ」
ニールは笑って「はい」を選択した。
二人は、胸の前で両手を繋ぎあい見詰め合う。
そして、またキスをする。
「今度こそ、幸せになりましょう」
「今度こそ、幸せになろう」
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