期末テストも終わり、学生たちの念願の夏休みがやってくる。 私立ガンダム学園でも、もう夏休みに入っているが、在籍する生徒は、誰でも希望で夏期講習を無料で受けれるシステムになっていた。それに、クラブ活動もある。ちなみに、期末で赤点をとった場合、夏期講習は絶対受けなくてはならない。 マイスターたちは、10時頃に登校して、2時間半クラブ活動をした後、昼休み30分を挟んで、2時間の夏期講習を受けていた。 ニールとライルとティエリアは同じ男子バスケ部だ。本来ならコンピュータ部であるはずのリジェネも、男子バスケ部に混じってクラブ活動をしていた。 そう、文化部は夏休みに活動なんてほとんどしない。 愛しいティエリアと一緒にいたくて、かけもち状態だ。夏休みだけ。 「5番をマークしろ!」 紅白戦で模擬試合を行っていた。 「10番もだ!」 ニールとライルは紅と白に分かれた。フリーになりがちなティエリアとリジェネは、5番と10番。同じ白組だ。顔に似合わず俊敏な動きで相手を抜いて、3Pシュートを決めるのが二人の特徴だった。 「抜かれたぞ!何してる、3年!」 顧問が叫ぶ。 リジェネは、綺麗な3Pシュートを決めた。 ニールとライルも次々に点を決めていく。ダンクシュートとかが決まって、応援にきていた女子から黄色い声があがった。ティエリアも3Pシュートを決める。 結局、ライルとティエリアとリジェネの白組の勝ち。紅組は3年のスタメンを中心に構成されていたが、ティエリアだけならまだいいが、リジェネまで加わった3Pシューターに追いつくことができなかった。 「リジェネ君だっけ。君、バスケ部に入るつもりは?」 顧問が、リジェネを勧誘する。 リジェネは笑顔で。 「全くありません!!僕はコンピュータオタクなんです!」 と叫んでにこやかに去っていった。 皆でシャワーを浴びて、スッキリした後はお昼ご飯。クラブ活動が午前中にあることを除けば、普通のいつもの高校生活のようだ。 アレルヤはどのみち、夏期講習を受けなくてもいい状態になっても、サッカー部のエースなのでクラブ活動には絶対に出なくてはならない。 皆でパンやら弁当やらを広げて屋上で食べることになった。ちなみにティエリアとリジェネの弁当はいつも豪華だ。一流シェフが毎日作ってくれるらしい。ニールとライルはそんな弁当を作られることもあれば、普通に購買でパンを買うことだって多い。ちなみにアレルヤの弁当は彼女のマリーの手作りだそうで、いつもごはんのところにハートマークがあった。 少し遅れて刹那がやってきた。刹那も、10時前にライルとニールが乗る高級車に乗車して登校している。 ティエリアとリジェネは別の高級車で登校する。 「あれ、刹那、今までクラブ?刹那って、ガンダム部・・・・だよね」 ティエリアが首を傾げると、刹那は自分で作った弁当を広げて、アレルヤの隣に座った。 「文化部なのに、夏に活動あるなんて珍しいね」 「ガンダム部はスポーツ部だ」 「はい?」 「は?」 ライルとニールが聞き返した。 ティエリアとリジェネも目を点にしている。アレルヤにいたっては、聞き間違いをしたよとかいって、晴れやかに笑っていた。 「だから、ガンダム部はスポーツ部だ。文化部ではない」 「前から聞きたかったんだけどな・・・・ガンダム部って、どんな活動してるんだ。確か、刹那いれて3人の弱小クラブだったよな」 「そんなの、勿論ガンダムについて熱く語っているに決まっているだろう。それからガンダムに乗るための筋肉トレーニングもかかせない」 「へぇ・・・・・」 みんな、蒼穹の空を見上げた。 刹那は、ガンダムマニア、ガンダムオタクだ。部屋にはガンプラとかプラモデルがいっぱい飾ってある。ガンダム部の部室も似たようなものだ。一度みんなで見たことがある。 隣の部屋に筋肉トレーニングのマシンやシャワールームが備わっているらしく、刹那がいうにはガンダムのプラモデルやガンプラを作りながら筋肉トレーニング、ガンダムの瞑想をしながら筋肉トレーニング、ガンダムについて熱く語りながら筋肉トレーニングするそうだ。 いっそ、クラブ名を筋肉トレーニング部に変えたらどうだとみんな思ったが、口にはしなかった。 「でも・・・・毎日筋肉トレーニングしてる?わりには刹那細いよね。筋肉はそんなに・・・」 「うるさい、このムキムキマン!」 「酷い!そんな、本当のことを!!」 アレルヤは泣き出した。 アレルヤはマッチョです。はい。筋肉がよくついて鍛えられた体をしている。刹那はライルとニールよりも身長が低いし細い。ティエリアとリジェネほど細くはないが、身長は一番低かった。 毎日のように牛乳と小魚を食べている刹那に、身長が伸びる日はいつかやってくるのだろうか。それは、今は誰も知らない。 NEXT |