夏期講習が始まる。 マイスターたちは、2年OO組だ。 チャイムが鳴った。講師がガラリと扉をあけて入ってくる。 皆、微動だにしなかった。もう慣れてしまった。 「では、夏期講習の授業をはじめる」 「先生」 「なんだね、少年」 刹那に先生と呼ばれて、ガンダム学園きっての変態として名高いハム仮面ことグラハム先生は、かけていた眼鏡をかけなおす。 「局部が見えています」 チンコとキンタマが丸出し、フルチン状態だった。上はちゃんとスーツを着てネクタイをしめているのに。ちなみに靴下ではなくニーソだった。これはなんという趣味だ。気持ち悪いと、みんなざわめく。 「ニーソを侮辱している!!」 ある男子生徒が立ち上がって訴えると、他の男子生徒も連鎖してそうだそうだと叫んだ。 「お・・・・おおおお!!これは、いかんいかん。ふんどしをはいてくるを忘れてしまった!少年、いっそこのまま愛しあおう!」 突進してくるグラハム先生を、トレーニングで鍛えた確かなる実力で投げ飛ばす。学級委員長で刹那の友人でもあるフェルトが、ガラリと窓を開ける。 「NOーーーーーー!!」 グラハム先生は、窓から外に投げ捨てられて消えた。 フェルトは、用意されていたプリントを配って、黒板に白いチョークで自習と文字を書いた。 いつものパターンだ。 それからしばらくして、またグラハム先生が教室に入ってきた。 「何がしたい?」 その格好は、ガンダム学園の男子生徒の夏服。刹那と同じ格好だ。 もしかして、ペアルックなんて言ったら、首を絞めてやろうと刹那は思っていたが、返ってきた答えは意外なものだった。 「先生は・・・ハム仮面と呼ばれて長い。しかし、ある重要なことを思い出した。校長にも言われた。理事長に呼び出しを食らった。・・・・・・ハム先生、中卒で、高校卒業してなかった。だから、今日からガンダム学園の生徒に・・・・」 「お前は、学歴詐称かあああ!!教師やめてこいいい!!!」 刹那がハム先生に蹴りを入れた。 「い、いや、ちゃんと大学は出ているんだ!何故かわからないけど!でも高校だけ卒業してないんだ!」 「高校卒業してなかったら大学いけないだろうが!この学歴詐称の変態仮面が!!逝ってこいいいい!!!」 刹那は教室からハム仮面を蹴り飛ばして、追い出した。 みんな、やんややんやと刹那を褒め称え、そして静かに自習をはじめた。 ガラリ。 皆が殺気だって扉を見つめるが、入ってきたのは男子生徒に人気の高いマリナ先生であった。 「みんな。だめでしょう、グラハム先生をいじめたら」 正論である。 でも、グラハム先生が悪いのだ。あのハム仮面は変態の上に人外で常識がない。 「刹那くん。いけません。ハム先生に謝りなさい」 憧れているマリナ先生にそういわれて、刹那は眉を顰めるしかなかった。 再び入ってきたハム仮面は、しくしく涙を流していた。 「マリナ先生、刹那君がいじめるんです」 「教師をいじめるのはいけませんよ。みんな仲良くしてくださいね。さぁ、仲直りの握手を」 さっと、ハム仮面は白い歯を煌かせて手を差し出す。 刹那はマリナ先生が見ているので、仕方なく握手を交わした。 「ああ・・・・この褐色の日に焼けた肌・・・・肌理の細かい・・・・美しい手だ。ハァハァ・・・・」 「先生、もう離してくれませんか」 「ハァハァ・・・・ベロベロ・・・・」 「じゃあ、仲良くしてくださいね」 マリナ先生は去ってしまった。 ちょ、ここで去るか普通!?誰もが思った。 刹那は手を舐めまわされて、意識が飛びかけていた。 「少年、その褐色の肌をもっと曝け出すのだ!さぁさぁ!!」 刹那は、ハム先生になんと拉致された。人とは思えない速度で、刹那を抱き上げると、そのまま窓から飛び降りてかけ去っていった。 「刹那の貞操がやばい!なんとしても見つけ出せ!!」 ニールが立ち上がる。 ライル、アレルヤはグラウンドと体育館を、ニールは屋上を、ティエリアとリジェネは校内を探すことになった。 「刹那ーー!!」 「刹那、何処だーーー!!」 NEXT |