おせち料理A







キッチンで、皆で昼食をとることになった。
少し早めの昼食。
アレルヤが言った通り、刹那とアレルヤとティエリアの分は、刹那が作ったらしく綺麗なおせちが並んでいた。
刹那はジャンクフードが好きだが、自分のことは自分でする性分なので、料理も16歳だというのに、ロックオンほどではないがそれなりにできる。
アレルヤも、わりとできるほうだ。
刹那の料理をアレルヤも無論手伝った。

おせち、という始めてみる料理だったが、本の通りに調理していくとわりと簡単だった。
だって、刹那ってばすでにできあがってるおせちの料理の解凍をしたりでけっこうずるしている。本気で作る気は元々なかったので、簡単な料理だけで終わったので、そんなに時間はかからなかった。
アレルヤは内心とても安堵していた。
今年も、ティエリアの手料理を食べないですむことになると。

にこにこにこ。
白衣を脱いで、暖房のよく効いた室内にいるせいか、半ズボンに緑のセーター、白のニーソという、中性的な容姿を最大限に生かしたロックオンが買ってくれた室内着を着ているティエリアは、ちょっとくたびれたジャボテンダーを抱きしめて、椅子にちょこんと先に座っていた。

「うおおおお・・・・・はぁはぁ、写真とりたい」
どこぞの変態か、この人はと思わせるような息遣いのロックオン。
仕方ないだろう。
次に座った刹那も、クルリンと伸びた前髪をティエリアとアレルヤとお揃いの花のヘアピンで可愛くとめて、欠伸をしていたし、アレルヤは金と銀のオッドアイでキョロキョロ落ち着きなくしている。無論花のヘアピンで髪はとめられたまま。
二人の衣服も、ティエリアと同じようなグリーンのセーターとあとはズボンとジーンズ。
ふわふわなセーターを着た三人。
刹那のは少し大きすぎたし、アレルヤのは何故か右肩が露出していてなんとなく色っぽい。ティエリアはもうモデルのような可愛さ。おまけのふわふわな淡い緑のマフラーをしていた。

「じゃ、新年あけましておめでとうございます・・・・って、ロックオン!?」

「はぁはぁ・・・・お前ら、俺を殺す気か!?かわいい、かわいすぎる、かわいすぎるぞおおおおお」
ブバッと、ロックオンは鼻血を吹き出してしまった。
アレルヤはすぐに慣れているのでティッシュをロックオンに渡す。
「はぁはぁ。アレルヤ、今日はお前もかわいいな。いつもはもっとかっこいい服装なのに。ハァハァ・・・」
「は、はぁ・・・・」
「あとでビデオとろうぜ!勿論、三人ともその格好のままな!」
刹那は、いつのもように年少組のかわいい姿をみると鼻血を出すロックオンにいささかびびって、フーフーと猫のように毛を逆立てている。
一人、ティエリアは天使のように微笑んで、それからきょとんと首を傾げた。

「ぬおおお、かわいい、かわいいいいいいい。あ、俺死にそう。出血多量!!」
すぐにティッシュは真っ赤に染まった。
「あー。新年からいいもんみれたわ。眼福。マイスターで過ごす新年はいいなぁ。さてと、おせちおせち」
すっかりロックオンは、自分の分はティエリアが料理したのだということを忘れていた。
綺麗に重ねられたおせちの蓋をあける前に、ティエリアが立ち上がって、もじもじとジャボテンダーをいじりながら、ロックオンを見つめて、こういった。

「あ、あの・・・・。でき、悪いかもしれませんけど!えっと。一生懸命作ったんです、あなたのために。だから、食べて・・・・」
「おっしゃああ、お兄さん食べるから!!今から、ティエリアを、食べる!!」
ロックオンは勢いよく立ち上がって、ティエリアのところにくると、ティエリアを横抱きにした。
そこに、すかさずスリッパを持った刹那がスパーン!とロックオンの頭をはたく。
「シモネタは後でやれ」
「はい・・・・」
真っ赤になったティエリア。とぼとぼと自分の席に戻るロックオン。席にロックオンがついたとたんに、いつものように刹那はスリッパをロックオンの顔面に投げつけ、それはロックオンの顔にヒットした。
「あはははは」
アレルヤは緊張感を脱したのか、ほがらかに明るく笑った。

「じゃあ、みんなでいただきます!」とロックオン。
「いただきます」と刹那。
「ただきま〜す!」と元気よくアレルヤ。
「いただきますジャボ!」とティエリア。まだジャボテンダー語がぬけていないらしい。

パカッ。
おせちの蓋をあけると、ティエリア、アレルヤ、刹那の分はとてもおいしそうにできていた。
一方、ロックオンの分とえば。

そう、忘れていたよママン。
ロックオンは天井を仰いだ。天国の母親の顔が脳裏を横切る。これって走馬灯?
ロックオンの分は〜。そう、彼の分は愛しいティエリアが一生懸命作った・・・・・愛の・・・・愛の・・・・・劇薬爆弾。

見かけはまともだった。
ちょっと形は悪いけど。

「んー。男ロックオン、いきます!!!」

ロックオンは立ち上がって、一気に自分のおせちを平らげ・・・そして、泡を吹いて卒倒した。

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