「にゃ・・・・・・んごろ・・・・」 いきなりロックオンとティエリアが現れたので、ベッドから飛びのいてベッドの下に隠れるのが精一杯だったフェンリルは、顔を真っ赤にしてカチカチと牙を鳴らしていた。 「エロいのにゃ。ご主人様がエロいのにゃ・・・・奥で、弾けるのが、最高にきもちいいなんて・・・・エロックオンの菌が感染したのにゃーー。あにゃー、もうフェンリルは哀しくて哀しくて・・・・にゃー」 フェンリルも男の子。 だらだらと汗をかいて、フェンリルは始めてヤバイと感じた。 いつもは避けるティエリアとロックオンの情事を、はじめてすぐ近くで体験してしまった。 ギシギシとうなるベッドは、壊れそうだった。ティエリアの色っぽい啼き声が、今でも耳の鼓膜から離れない。 「変にゃの。僕、変にゃの」 ポンと人型をとると、下着が濡れているのが分かった。 「にゃ。おもらししてしまったにゃ・・・・」 フェンリルは、人型をとると幼いドール人形のような、ゴシックドレスをきた少女になる。フェンリルの姿のままのときは、性別を位置づけるものは体にないが、れっきとした少年であった。なのに、人型をとると王の血を引いているせいで性別を変えることができる。フェンリルは、亡き母が好きだといってくれた少女姿を、今でも人型になるととる。ティエリアも大好きといってくれた。 「にゃーん」 フェンリルは泣いて、居候のリエットの部屋にかけこんだ。 「おもらししたにゃー」 「あー。まぁ、男の子・・・いや、今は女の子だっけ。思春期の証だよ、気にすんなって。パンツ脱いでトイレいって処理して、新しいパンツはいとけ。俺が洗っといてやるから」 「そうするにゃ・・・・」 フェンリルは、パンツをぬいでトイレの(しかもウォシュレットだ)で処理というかなんというかきもちわるいのをぬぐいさって、新しいパンツをはいて、元の子猫に戻った。 「しかし・・・まぁ、フェンリルを発情させるとは、なんたるエロパワー。いきなりぎしぎしあんあんだもんな。こっちも心臓に悪いっつーの。何も感じない俺。やっぱどっかいかれてるのか?まぁいいか」 リエットはけらけら笑った。 「リエット!お漏らしした!」 リエットはこけた。 帝国騎士のウエマが駆け込んできたのだ。同じこのホームで居候している。部屋は隣だ。客室は二つだが、リエットとウエマは同じ部屋で寝ることはない。最初は同じ部屋で寝ていたのだが、恋人でもない男女、しかも皇帝の姉姫を男と一緒にするわけにもいかないと、一人部屋にされた。 しかし、勃起させたとかなら分かるが、お前までお漏らしか。 「いや・・・あそこがかたくなって抜いたとかじゃねぇの?」 「そんなことしたことねぇよ!もらした!」 ウエマは漏らしたと思っているらしい。 「あー。お前も思春期なんだな、まぁパンツぬいであとで風呂はいって新しいパンツはいとけ。俺が洗っといてやるから。今はティエリアとロックオンが風呂使ってるから入るなよ」 「ありがとー!!」 ウエマは、その場でパンツを脱いで、リエットに聖書で張り倒された。 「汚いもんみせるんじゃねーー!!」 「あぎゃああああ」 でもパンツを脱いでフルチンのまま去っていったウエマに、リエットは頭痛を覚えた。 「リエット!!」 今度は、お泊りだったアクラシエルが駆け込んできた。 部屋は・・・なんと天井だ。3Fなんてない。天井がいつの間にか綺麗に改築され、3Fが出来上がっていた。 ベッドもちゃんとあるし、箪笥やらテーブル、椅子もある。天井が低いようなのに入ると普通の部屋なのは、無理やり狭い空間を螺旋曲げているらしい。恐ろしい精霊だ。 無の力は、空間さえ曲げる。 「な、なんだよアクラ!お前までお漏らししたとかいうなよ!お前中性だろ?あ、でも完全な中性だったのに、ルシエードに抱かれたせいで、ティエリアみたいにな中性なんだっけ?」 「さぁ・・・・父上に汚されたことはあまりいうな。思い出したくもない」 アクラシエルは実の父ルシエードに汚され、それが原因でネイと別れることになった。ルシエードはアクラシエルを溺愛し、亡き妻ゼロエリダの容姿を持つアクラシエルは中性であったのに汚された。神と神の間の近親相姦は実は多い。血が繋がっているわけではないからだ。魂が繋がっているからだ。だから、近親相姦といっても神には何の違和感もないのだ。兄妹の間で、親子の間で、子供を設けるのが神々の住む天界では当たり前のようにあるし、アクラシエルからしても、父に汚されたことは、近親相姦の憎悪よりも、無理強いに近いその関係に憎悪が残っているのだ。アクラシエルも元神である。近親相姦に対しては人間や多種族のように異質感を抱くことはない。 「でどうした。漏らしたのか」 「吐いた」 「やっぱりか」 「肝臓が見当たらないんだ・・・・十二指腸もない。どうしよう」 「再生させとけ」 この精霊は内臓を吐くので、始末に困る。スプラッタだ、場面を見てしまうと 「いや、損傷しない限り再生できない。どうしよう。部屋中探しのにないんだ」 「そうか。パンツ脱いで処理して新しいパンツはいとけ。俺が洗っといてやるから」 「分かった」 長衣のような服なので、ズボンもはいていないしスリットも腰まではいっているし、下着はすぐに脱げた。 「ちょっとまてーーー!!」 まじで、下着を脱いで去っていこうとするアクラシエルを押し倒す。 「ふにゃ?」 「ぜーぜー。ちょ、お前かわいいな。今胸にきゅんってきたぜ。ティエリアとタメはれる美人だし・・・・胸がないのが残念だ」 「そうやねん。残念やろ。こんなに美人やのになぁ」 「そうだぜぇ・・・・って、てめぇ誰だ。何、アクラの脱いだパンツパクとうろしてやがる!!」 「美人はみんなきっついなぁ」 「俺は美人だ、うむ・・・じゃねぇ、てめぇだれだ!!」 見たこともない青年を、リエットが睨み上げる。 「あー、アクラ、ほれ肝臓と十二指腸。キッチンにあったで〜」 「ありがとう」 「かわいいなぁ、アクラは。内臓なくすなや」 「うん」 魔法で内臓を体内にとりいれて、アクラシエルは頭を撫でる関西弁の謎の人物に微笑んだ。 「ちょ、お前誰!」 NEXT |