「あーかき氷、おいしくて冷たいかき氷〜!アイスもありまっせー!ドリンクもいろいろそろえてます!いりませんかーー!!ってか買えこんちくしょー!」 「あ、アイス一つ」 「毎度あり〜」 近くにいた男の首根っこを捕まえて、無理やりかわすと、次々とそんな方法で、まるで悪質リフォーム業者のように。 無理やり売りつけていく。 「あ、あたしかき氷、ブルーハワイで」 「はい、美しいお嬢さん、毎度あり」 リエットは、客が女の子だとにこりと微笑んだ。それに、女の子の客は頬を染める。 「あーかき氷、おいしくて冷たいかき氷〜!アイスもありまっせー!ドリンクもいろいろそろえてます!いりませんかーー!!美しいお嬢さんたち、いりませんかー?」 リエットはすぐに女の子の群れに囲まれた。 あっちはあっちで、違う方向で歪んでいる。 リエットは、女性にもてる。美人なのに、男にも無論もてるのだが、言い寄ってくる男がいると金玉を蹴り上げて股間をさらに蹴る。相手が女性だと、とても綺麗な微笑みを見せる。 リエットの後ろには、すでに何人か、リエットの魅力に陥落したがひと夏だけのガールフレンドらしき女性たちがリエットの商売を手伝っている。 「あっちはあっちで・・・またおかしなことになってる」 「おー、ティエリアとアクラじゃんか。アイス買わね?」 ティエリアとアクラシエルのところにやってきたリエットは、アイスを二人分さしだす。 「毎度あり〜」 ティエリアが、アクラシエルの分まで買ってやった。 「アクラ、さっきのドスなかなか良かったぜ!あの調子でどんどん汚い言葉覚えろ!」 「あ、うん」 「リエット、アクラは育ちがよいんだから・・・って、リエットも皇族か・・・・育ちよいのに、なんでこうなったんだろう」 「へ、知るかよ」 「ところで、なんでそんなの売ってるの」 「決まってるだろ。世の中銭があってなんぼ。バイトだっつの」 「やっぱり・・・」 「やっぱり・・・・」 ティエリアとアクラシエルは、二人そろってアイスをかじりながら、パラソルの下で商売を続けるリエットを見送った。 「ねぇ、ティエリアは泳がないの?」 「そういうアクラは?」 「私は水着がないから。それに、人前で肌をさらすのは・・・いや」 「あーうん。僕もおんなじようなものかなぁ。水着はあるんだけど・・・」 「泳いでくれば?」 「うーん・・・・いいよ。こうしてるほうがいい」 「もぎゃあああああああ!!」 海の中では、ロックオンがフェンリルに蹴落とされて、フェンリルが子猫姿でサーフィンをしている。 「にゃーーーー僕はサーフィンもできるのにゃああ!!!」 あっちはあっちで楽しそうだ。 ロックオンは、今度は海で泳ぎ出す。 刹那が、競争相手になっていた。 リジェネはぼーっとしている。 それから、こっちに気づいて近寄ってきて、リジェネはいつものように甘えた声を出した。 「ティーエリアv」 「どうしたの、リジェネ」 「一緒に泳がない?」 「うーん。でも、水着が」 「ウンディーネ召還すればいいじゃない。水着なんてなくても、泳げなくてもいけるよ」 「そうだね。アクラはどうする?」 「私は、リエットからもらったこの本を読んでる」 ティエリアに見せた本。題名は、「男をちょろまかす1000の方法。金玉を蹴るのは基本です」 「・・・・・・・ほどほどにね。リエットみたいにならないでね!!!」 「僕も思う!あんな女みたいにはならないでね!君、美人だし、教養もあるし性格もいいしかわいいし。リエットみたいな凶暴女、あんな破天荒聖職者を見習っちゃだめだよ!」 「う、うん・・・・」 ティエリアとリジェネは手を繋いで海に向かった。 リジェネも、ティエリアやアクラシエルと同じで何度も男からナンパされて飽き飽きしていたところだ。 ティエリアとリジェネはツイン。同じ容姿をしている。つまりは、リジェネもそれだけ美しいということ。リジェネは男性(中性の時もある)なので、男にナンパされるのは不快ったらありゃしない。 二人はウンディーネの精霊を召還して、海に潜る。 海の中で呼吸だってできる。 「もぎゃああああ、足つったああ」 遠くで、ロックオンの悲鳴が聞こえたが二人は久しぶりにツインとしての時間を過ごす。 「見て、綺麗な珊瑚礁」 「綺麗だね・・・・汚染されてない海は、ほんとに綺麗」 海の中で会話だってできる。 二人は泳いでいく。すると、笑い声が聞こえた。 「誰?」 「なんだろ・・・ウンディーネじゃないね」 「私たちの世界へいらっしゃい、客人さん」 海の奥から現れたのは美しい一人のマーメイドだった。 「うわお!マーメイドか」 「珍しい・・・綺麗」 「ありがとう」 マーメイドは笑って、二人を歓迎してくれた。 海に住む種族マーメイド。女だけの種族で、海の泡から生まれてくる。 「仲間がいたのかと思ったわ。地上の人なのね。とても綺麗だったから・・・・」 マーメイドの女性はクスクスと楽しそうに胸の前で手を叩いてはしゃいだ。 「私、マーメラ、あなたたちは?」 「ティエリア」 「僕はリジェネ」 マーメイドと一緒に、何時間か泳ぎ続けて、二人は海をあがる。 別れ際に、マーメラは綺麗な小粒の真珠を二人に一つずつくれた。 「恋が、実るおまじないよ」 「恋、ねぇ・・・・」 リジェネはその真珠を、刹那にあげた。 どのみに、リジェネの恋は叶わない。だって、ツインであるティエリアに恋をしているのだから。 ティエリアの恋人はロックオンだ。 刹那は聖女マリナに恋している。真珠をあげると喜んで受け取ってくれた。 NEXT |