「はぁぁああ!」 「いっけえええ!」 刹那とリジェネは、それぞれ炎の精霊フェニックスとイフリートを放った。 デスクラーケンは、ロックオンと一緒に炎獄に包まれる。 「ちい、水のバリアか!」 「火がきかない!?」 「あのイカは、三千年前、私がイカ焼きにしようと思って、じっくりことこと煮込んだスープと一緒に・・・」 アクラシエルが、説明をするが、誰も聞いてはいなかった。 「ならば、直接攻撃あるのみ!」 「いけぇ、ブラッディイーター!」 刹那は巨大な金の鷹を召還し、それにリジェネと一緒に飛び移る。 刹那はビームサーベルを取り出し、デスクラーケンに切りかかる。 ティエリアは自分の血に飼っているブラッディイーターを召還して、巨大な牙を作り出すと、デスクラーケンに噛み付いた。 「虚無よ、放て。我は無となる。グラビティ・ゼロ!!」 アクラシエルの放った凄まじい重力が、デスクラーケンを中心に天から落ちてくる。 「神は聖なる言葉を放った。我は聖なる言葉を射る。ホーリーアロー!!」 リエットは、聖書を読むと、魔法を唱える。漆黒の弓が現れ、何本の漆黒の矢を放った。それはデスクラーケンの両目をつぶし、頭に突き刺さる。 足を切り離した刹那は、鷹の足に肩を掴まれて飛翔し、リジェネの放ったブラッディーイーターが咆哮する。巨大な牙でデスクラーケンに噛み付いたあと、アクラシエルのグラビティ・ゼロの魔法がデスクラーケンに襲い掛かる。 「血と聖水の名においてアーメン!いけ、フェンリル!」 「はいにゃ!!!」 巨大化し、3メートルの白銀の狼となったフェンリルは、落ちてくる巨大な隕石を避けて、デスクラーケンに絶対零度のブレスを浴びせる。 「ホワイトブレス!!」 かちこちに固まったそこへ、グラビティ・ゼロの魔法、巨大な隕石が叩き込まれる。 「へ、口ほどにもねぇぜ!」 リエットが格好つけるが、刹那とリジェネはつっこんだ。 「イカが口をきくはずないだろ」 「イカの口は、足のある頭の・・・」 「うっせ!細かいことつっこむな!」 「んー。イカ焼きにしよう。無は解き放たれる。炎の嵐の中を踊る翼よ。フレアウンィング・ゼロ!」 アクラシエルは、倒されて死んだデスクラーケンを見て、炎の翼を放つ。 デスクラーケンは、浜辺にあげられ、見事なまでに巨大なイカ焼きにされた。 「なぁ。なんか忘れてねーか?」 「うーん、なんだろう?」 「なんだ?」 「さぁ?」 みんなで首をひねるが、さっぱり思い浮かばない。 「なんか、大切なこと忘れてるような気がしますね」 ティエリアが首を傾げる。 「なんだろうにゃ?」 フェンリルは、よじよじとティエリアの頭の上にのぼって、欠伸をかみ殺した。 元の子猫姿に持っている。ティエリアの頭の上にいるのが、いつものフェンリルの定位置だ。そこで寝そべって、尻尾をパタパタふって寝るのが好きだ。絶妙なバランスで、ティエリアが走っても落ちない。 「「「「「あ!」」」」」 ティエリア、刹那、リジェネ、リエット、アクラシエル、全員がぽんと手を叩いて声をそろえた。 「「「「「ロックオンのこと忘れてた!」」」」」 みんな、すっかりロックオンのこと忘れてた。 ティエリアでさえも完全に忘れてた。 ロックオンは、アクラシエルの強大な無の力により、真っ黒焦げになっていた。イカと一緒に。 「ほかほか・・・ネイ焼き」 アクラシエルが、つんつんと指でつつくと、海水パンツがボロボロと灰になって。 ロックオンは、素っ裸になった。 「・・・・・・・・・きゃああああああ!!」 アクラシエルは悲鳴をあげると、ネイことロックオンを投げ飛ばす。 目の前にふってきたフルチンのロックオンに、リエットは悲鳴をあげてアッパーをかました。 「汚いものみせんじゃねええええ!!!」 「こっちくんなあああ!!」 「うわあああ!!」 刹那とリジェネも、投げ飛ばす。 そして、最後はティエリアのところにきた。 「・・・・・・・うわあああああ!」 ティエリアも投げ飛ばした。 勢いで、フェンリルもとんでいった。 ふにゃりとした感触に着地して、フェンリルは首を傾げた。 そして、ロックオンの裸を見て・・・。 「もにゃあああああああああ!!」 フェンリルは、悲鳴をあげて、ロックオンを引っ掻きまくって、ダッシュでティエリアの方に戻っていく。 「どうすんだ、これ」 「さぁ?」 巨大なイカ焼きと、焦げた素っ裸のロックオンを見て、リエットがため息を零す。 「とりあえず、ロックオンは埋めとこう。着替えホテルにいかないとねーし」 みんなの手で、ロックオンは浜辺に埋葬された。 「見て、見てしまった・・・見てしまった・・・きゃああああああああ!!」 アクラシエルは錯乱している。 騒ぎがひと段落して、戻ってきた海水浴客の、男だけを思いっきり投げ飛ばしている。 「なむなむ・・・・」 ティエリアはお経を唱え出す。 「なむだにゃ・・・ロックオン、お前のことは忘れないにゃ・・・う、思い出してしまったにゃ。おええええ」 フェンリルは、砂にうもれたロックオンの顔に、ゲロを吐いていた。 リエットは、残った巨大なイカ焼きの処分を決めた。 NEXT |