「あれ?ティエリア・・・・ぬおおおおおおおおお!!」 砂浜に埋もれていたロックオンは、自力でなんとか抜け出すと、自分がすっぽんぽんであるのに気づいて、手で隠すと真っ赤になった。 「なんじゃこりゃああああああ!!」 すぐに、風の精霊シルフを呼んで、ホテルから着替えをとってきてもらうと、こそこそと人のいない場所で着替えた。 ちなみに、髪型はアフロのままだ。 「ティエリア?俺一体・・・・」 「ぶっ!」 ティエリアは、ロックオンの顔というか、頭を見て吹き出して逃げていく。 「おい、ちょっと待てよ!俺が悪かったってば!」 「こないで下さい!」 「待てよ、ティエリア!!」 どんと、ロックオンはアクラシエルにぶつかった。 アクラシエルは、顔を真っ赤にして、唇をわなわなと震わせる。 「ん?どうした、アクラ?」 「いやああああああ!!!ネイの変態!!!」 アクラシエルは悲鳴をあげて、ロックオンを投げ飛ばす。 「えー!?俺なんかした!?」 「したした。露出魔」 「ぬおおお!?」 リジェネが、逆さまになったロックオンに、イカ焼きの件は伏せて、みんなの魔法で黒焦げになって、海水パンツが灰になってフルチンになった姿をみんなに見られたことを説明すると、ロックオンは真っ赤になって逃げ出した。 「俺、もうお嫁にいけないいいい!!」 「嫁じゃなくって、婿じゃないのか?」 こんな時も冷静なつっこみを忘れない刹那。 「あー、イカ焼き、イカ焼きはいりませんか。焼きたて新鮮、イカ焼きだよ〜」 リエットは、デスクラーケンのイカ焼きの味を確かめることもせずに売りに出した。 客はそれを食べては、うまいうまいと喜んでいた。 どうも、おいしいらしい。 でも、元がモンスターだと知ったら、みんな吐くだろうな。 「にゃー。こんなの食いたくないにゃ。そうにゃ、リエット、一人前ちょうらいにゃ」 「おーフェンリル。特別にただでやるよ」 「ありがとうにゃー」 フェンリルは、イカ焼きの串の部分を口でくわえると、ロックオンの後を追った。 「ロックオン、まぁ、イカ焼きでも食えにゃ。人間誰しも・・・あ、ヴァンパイアだったかにゃ。まぁ、失敗はあるもんにゃ」 ポンと、肩に子猫の手を置いて、ロックオンの頭によじ登って、そこで欠伸をする。 「あー、お前、ほんとはいいやつだったんだなぁ」 アフロは魔法でなおっていた。 「お、これ美味いな。普通のイカじゃねーな。材料なんだろ」 「デスクラーケンっていう、モンスターにゃ」 その言葉に、ロックオンは固まった。 「ぐおおお、食べちまった!!」 「別に死ぬわけでもないにゃ・・・けけけひっかかたにゃー!僕がお前に優しくするなんて甘いにゃ!けーけけけけけにゃ!!」 フェンリルは、ティエリアを探して逃げていった。 「とほほ・・・イカと一緒に俺は焼かれたのか。俺って人望ないのかなぁ」 「そ、そんなこと、ないです」 頭にフェンリルを乗せたティエリアが現れて、まず最初にペコリと謝った。 「さっきは、ごめんなさい。あなたが浮気してるのにきれちゃって」 「いや、俺こそごめん。お前おいてサーフィンしたり・・・・」 二人は、夕暮れに染まった浜辺を見る。 「綺麗だな。砂浜、一緒に歩こうか」 「はい・・・」 二人を手を繋いで歩き出す。 ザァンザァンと押しては返す波。 「イカ焼きイカ焼き〜〜〜」 リエットの声が遠くで聞こえる。 刹那とリジェネとアクラシエルは先にホテルに戻ったらしい。 二人は、無言で手を繋いで歩き続ける。 「あの」 「もう少し、このままで」 「はい・・・」 二人は、砂浜を歩き続けた。 NEXT |