「ん・・・・」
「目が覚めた?」
「ロックオン・・・・」
同じベッドで、ロックオンが横になっていた。
「すみません、迷惑を・・・・」
「いいから、横になってろって」
「はい・・・・」
消耗したエーテルの量が多い。特に自己再生には大量のエーテルが必要となる。
「ごめんな。俺こんなで・・・・お前を守れない」
「それは・・・僕の存在が特異すぎるから・・・敵も特異な存在で・・・人間には」
「それでも!今度は、絶対に守るから!」
「その気持ちだけでも、僕は・・・・」
ロックオンの胸に顔を埋めて、悔し涙を流した。
もっと強くなりたい。ロックオンを危険な目に合わせたくない。
きっと、あの使徒はロックオンのことも知っているはずだ。今度会うときは、狙ってくるかもしれない。ティエリアでなく、ロックオンを。
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翌日、ティエリアは昨日落下した空き地にきていた。
「いるんだろう。決着をつけよう」
「君は、楽しむというものを知らないね」
リボンズは、空気の中から突然姿を現した。
「エーテル発動、目覚めよ我の中のマリア!」
「エーテル発動、目覚めよ我の中のリリス!」
エーテル発動は同時。
言葉を発するのも同時。
「聖女の翼!(マリアオブイーグル!)」
「魔女の翼!(リリスオブイーグル!)」
カカカカっと、エーテルでできた翼が現れ、言葉を具現化した力はエーテルの羽の形をした凶器を地面に降らせる。
それを、両者とも素手で払いのけた。
「聖女の鎖!(マリアオブチェイルジア!)」
「魔女の鎖!(リリスオブチェイルジア!)」
お互いの体を、エーテルでできた強固な鎖が絡めとり、締め上げていく。
「ぐ・・・・」
「こんな、ものかい?」
「な・・に・・・」
「エーテル最終発動!目覚めよ我の中のリリス!」
かっと、リボンズの体が真紅の光に彩られる。
「最終発動まで・・・・できるのか・・・・」
ティエリアは、身震いした。今まで見てきたどの使徒よりも強い。
多分、このままでは殺されるだろう。
「魔女の十字架!(リリスオブグランドクロス!)」
十字型の光。
ティエリアは避けようと思ったけれど、まだ鎖に足が絡めとられて身動きができない。
腕の一本や二本と目を瞑る。
「ティエリア!!」
目をあけると、自分は無事だった。
かわりに、光の十字架を受けて、焦げた肉の匂いをさせながら、目の前に立ちふさがるロックオンがいた。
「ロックオン!どうして!」
「お前を守らなきゃ・・・俺が・・・」
「ロックオン!」
グラリと傾ぐロックオンの体を受け止める。
「これはこれは・・・・ナイトの登場かと言いたいけれど。何をしているんだい、君は」
「うるさい!!」
ティエリアは叫んだ。
「違うよ。その男にいってるんだよ」
「愛してる、ティエリア」
「ロックオン、今傷を治します!エーテルよ!」
でも、ティエリアの緑の光は弾かれた。
「え?」
「あはは、君たち恋人同士だったのかい?それは滑稽だなぁ・・・・そろそろ思い出したかい、ロックオン・ストラトス・・・・いいや、ニール・ディランディ。君は、大切なことを忘れている。そう、君にこのオリジナルマリアと馴れ合うようにしたのは僕だよ。でも、それはこのオリジナルマリアを油断させて核を奪うため。使徒である君が、まさか敵であるマリアナンバーズと本当に恋人同士になってしまうだなんて・・・・滑稽すぎて、笑えもしない」
「うっせーよ。愛してしまったんだから・・・・仕方ない、だろ」
「嘘だ・・・あなたが使徒なんて、嘘だあああ!!」
ティエリアの叫びは、エーテルの渦に巻き込まれた。
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