18R ********************************** 夜も大分暗くなっていた。 マリアはもう明日に備えて眠ってしまった後のようだ。 「とりあえず、服着替えよう」 ずぶ濡れになった二人は、互いにバスタオルで髪や衣服を拭いあって、新しい服に着替える。 そのまま、ティエリアは首にかけていたネックレスのチェーンにロックオンからもらったペアリングを通すと、大切そうに照明に透かせてみせる。 「いつもは、こうして身につけてるんです。たまたま、外していました」 「そっか」 しばらくの沈黙の後、ティエリアからロックオンの背中に張り付いて、その体温を確かめる。 「忘れたままでいたかった。あなたのことを」 「俺も、忘れたままでいたかった。お前のことを」 背後のティエリアに手を回し、前にもってくると、ロックオンは片手でティエリアの桜色の唇に触れた。 白い頬に、睫が影を落とす。 ティエリアは、自分から目を閉じた。 「好きなんです・・・・今でも」 「知ってる。なんで、消えたいって思ったんだろう。お前が、この世界にはいるのに」 唇を重ね合わせる。 そのまま、体温を共有しあって、互いを抱き締めあう。 ベッドに押し倒されて、ティエリアは照明を消した。 「マリアは・・・・あの子は、刹那との間の子供ではありません。あなたとの、子供です」 「え・・・・・」 「DNA鑑定でも立証済みです。あなたが、出撃していった最後の夜・・・・僕は、中性でありながら、あなたの遺伝子を残すために子供を宿した。そして女性になった。一人では大変だからと、刹那が父になってくれたのです」 「そっか・・・・ごめんな。置いていっちまって」 「いいんです。あなたと、たくさんの思い出を築けたから。あなたのお陰で、僕は人間になった」 また唇を重ね合わせた。 そのまま、ゆっくりとティエリアの衣服を脱がせていく。 「いいのか?刹那がいるだろう・・・・」 「刹那のことは愛しています。背徳だとは分かっています。でも、今だけは・・・・・あなたを、感じていたい」 たとえ、これが刹那に対して背くことであっても。 今だけは。 許してほしい、刹那。 きっと、彼は、もうすぐ・・・・。 ゆっくりと愛撫されて、ティエリアの喉がなる。 「ん・・っく・・・」 全身のラインをなぞるようにロックオンの唇が動く。 そのまま、秘所に指を埋め込まれたが、愛液さえ出てこない。 「どうする?やめとく?」 「だめ。きて・・・」 淫らに誘われて、誘われるようにロックオンはティエリアの内部に入る。 そのまま、固く閉ざされた秘所を貫かれて、激痛が体中を走ったけれど、ティエリアはロックオンを受け入れた。 「つあっ・・・・」 この体の痛みさえ、一滴も零さないように。 ロックオンからは、やっぱり昔のようにお日様の匂いがした。 血が滲んで、太ももを伝う。 刹那と体を繋げていない証拠だろうか。 ティエリアの内部は狭くて、ロックオンはすぐに果てそうになったけれど、そのまま奥に進み、ティエリアを突き上げた。 「うあっ」 耳に残響する声は、艶かしい。 「う・・・ああああ」 体ごと揺さぶると、ティエリアの紫紺の髪が宙を舞った。 そのまま、何度もティエリアの体を抱き締める。 ギシギシとベッドのスプリングが二人分の体重を受けて、軋む。 その音さえも、記憶するようにと。 「ん・・・・もっと、ください。もっと、あなたを・・・ください」 求めてくるティエリアの中で放ち、またティエリアの秘所を熱で引き裂いていく。 「痛い?」 「痛くてもいいんです」 「血が出てる。刹那とは?」 「ありません。肉体関係は・・・うあ!」 ティエリアを突き上げると、ひくりとティエリアの全身が痙攣した。 「感じる場所、変わってない」 「だめ、そこはっ」 首を弱弱しく振るティエリアの首筋を吸い上げて、そのまま体を進めては引く。 何度も律動を繰り返していると、二人の体液が混じったものがシーツに大きな染みを作った。 「これで子供できたりしたら、俺責任もてるかな?俺、きっともうすぐ・・・・」 「言わないで」 ティエリアが、自分からロックオンの唇を塞いだ。 もしも、これでティエリアにまた子供ができたとしても。その父親は、きっと刹那だろう。 法律上も、立場上も。 「もっと・・・もっと・・・」 熱に魘されるように、ティエリアは甘く何度もロックオンにねだる。 そう、もう10年以上ぶりになる彼の熱を、永遠にその体に刻み付けるように。この瞬間が永遠であればと、二人は願う。 でも、一刻一刻と時間は過ぎていく。 「やぁん」 ティエリアが啼いた。 真っ白なオーガズムの波に襲われる。 角度を変えて何度も中を抉って、それからまた中に欲望を吐き出した。 ああ、ここはあの白い海に似ている。 ティエリアと二人だけで、漂えたらいいのにな。 そう、それこそ永遠という時間をティエリアと共有できればいいのに。もう、手放したくない。もう二度と、ティエリアを一人にしたくない。泣かせたくない。 NEXT |