マリアの微笑み「あなたがいたから」







18R
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夜も大分暗くなっていた。
マリアはもう明日に備えて眠ってしまった後のようだ。
「とりあえず、服着替えよう」
ずぶ濡れになった二人は、互いにバスタオルで髪や衣服を拭いあって、新しい服に着替える。
そのまま、ティエリアは首にかけていたネックレスのチェーンにロックオンからもらったペアリングを通すと、大切そうに照明に透かせてみせる。
「いつもは、こうして身につけてるんです。たまたま、外していました」
「そっか」

しばらくの沈黙の後、ティエリアからロックオンの背中に張り付いて、その体温を確かめる。
「忘れたままでいたかった。あなたのことを」
「俺も、忘れたままでいたかった。お前のことを」
背後のティエリアに手を回し、前にもってくると、ロックオンは片手でティエリアの桜色の唇に触れた。
白い頬に、睫が影を落とす。
ティエリアは、自分から目を閉じた。
「好きなんです・・・・今でも」
「知ってる。なんで、消えたいって思ったんだろう。お前が、この世界にはいるのに」
唇を重ね合わせる。
そのまま、体温を共有しあって、互いを抱き締めあう。

ベッドに押し倒されて、ティエリアは照明を消した。
「マリアは・・・・あの子は、刹那との間の子供ではありません。あなたとの、子供です」
「え・・・・・」
「DNA鑑定でも立証済みです。あなたが、出撃していった最後の夜・・・・僕は、中性でありながら、あなたの遺伝子を残すために子供を宿した。そして女性になった。一人では大変だからと、刹那が父になってくれたのです」
「そっか・・・・ごめんな。置いていっちまって」
「いいんです。あなたと、たくさんの思い出を築けたから。あなたのお陰で、僕は人間になった」
また唇を重ね合わせた。
そのまま、ゆっくりとティエリアの衣服を脱がせていく。
「いいのか?刹那がいるだろう・・・・」
「刹那のことは愛しています。背徳だとは分かっています。でも、今だけは・・・・・あなたを、感じていたい」

たとえ、これが刹那に対して背くことであっても。
今だけは。
許してほしい、刹那。
きっと、彼は、もうすぐ・・・・。

ゆっくりと愛撫されて、ティエリアの喉がなる。
「ん・・っく・・・」
全身のラインをなぞるようにロックオンの唇が動く。
そのまま、秘所に指を埋め込まれたが、愛液さえ出てこない。
「どうする?やめとく?」
「だめ。きて・・・」
淫らに誘われて、誘われるようにロックオンはティエリアの内部に入る。
そのまま、固く閉ざされた秘所を貫かれて、激痛が体中を走ったけれど、ティエリアはロックオンを受け入れた。
「つあっ・・・・」
この体の痛みさえ、一滴も零さないように。
ロックオンからは、やっぱり昔のようにお日様の匂いがした。
血が滲んで、太ももを伝う。
刹那と体を繋げていない証拠だろうか。
ティエリアの内部は狭くて、ロックオンはすぐに果てそうになったけれど、そのまま奥に進み、ティエリアを突き上げた。
「うあっ」
耳に残響する声は、艶かしい。
「う・・・ああああ」
体ごと揺さぶると、ティエリアの紫紺の髪が宙を舞った。

そのまま、何度もティエリアの体を抱き締める。
ギシギシとベッドのスプリングが二人分の体重を受けて、軋む。
その音さえも、記憶するようにと。

「ん・・・・もっと、ください。もっと、あなたを・・・ください」
求めてくるティエリアの中で放ち、またティエリアの秘所を熱で引き裂いていく。
「痛い?」
「痛くてもいいんです」
「血が出てる。刹那とは?」
「ありません。肉体関係は・・・うあ!」
ティエリアを突き上げると、ひくりとティエリアの全身が痙攣した。
「感じる場所、変わってない」
「だめ、そこはっ」
首を弱弱しく振るティエリアの首筋を吸い上げて、そのまま体を進めては引く。
何度も律動を繰り返していると、二人の体液が混じったものがシーツに大きな染みを作った。
「これで子供できたりしたら、俺責任もてるかな?俺、きっともうすぐ・・・・」
「言わないで」

ティエリアが、自分からロックオンの唇を塞いだ。
もしも、これでティエリアにまた子供ができたとしても。その父親は、きっと刹那だろう。
法律上も、立場上も。

「もっと・・・もっと・・・」
熱に魘されるように、ティエリアは甘く何度もロックオンにねだる。
そう、もう10年以上ぶりになる彼の熱を、永遠にその体に刻み付けるように。この瞬間が永遠であればと、二人は願う。
でも、一刻一刻と時間は過ぎていく。

「やぁん」
ティエリアが啼いた。
真っ白なオーガズムの波に襲われる。
角度を変えて何度も中を抉って、それからまた中に欲望を吐き出した。
ああ、ここはあの白い海に似ている。
ティエリアと二人だけで、漂えたらいいのにな。

そう、それこそ永遠という時間をティエリアと共有できればいいのに。もう、手放したくない。もう二度と、ティエリアを一人にしたくない。泣かせたくない。



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