ロストエデン「愛の唄」







天は人に試練を与えた 神は人に試練を与えた
生きることへの試練を 人は生きながら噛み締める
天は人に愛を与えた 神は人に愛を与えた
人は生きながら愛し合う 愛の素晴らしさは無限だ
エデンへの扉は締め切られたままだった
けれど人は鍵を手に入れた 人は罪深い
エデンに入る資格などないのに 人は鍵で扉を開けた
アダムとイヴが食べたという木の実を
人は口にする そしてまた罪に身を染める
天は人に試練を与えた 神は人に試練を与えた
生きることへの試練を 人は生きながら噛み締める
人は無限の可能性を秘めたまま生きる
愛の軌跡を 何度も何度も繰り返しながら
天は人に愛を与えた 神は人に愛を与えた
人は生きながら愛し合う 愛の素晴らしさは無限だ
愛の軌跡を 何度も何度も繰り返しながら


二人で「愛の唄」を歌う。
ライルも刹那も、その様子をじっと見ていた。

「愛している、ティエリア」
「愛しています、ロックオン」
ロックオンに抱きしめられながら、ティエリアが涙を零した。
「どうして僕は、大切なあなたのことを忘れようとしたんだ。僕は愚かだ」
「おかえり、ティエリア」
「只今、ロックオン」
ロックオンに抱きしめられながら、ティエリアは涙を零した。
「ティエリア」
「ティエリア・アーデ」
「二人とも。迷惑をかけてしまってすまない。還ってきたよ」
「おかえり」
「おかえり」

ティエリアは、泣きながら微笑んだ。

「ただいま」

「AIマリア、彼のデータを消してくれ」
(了解しました。データを消去します)
ロックオンの姿が消えた。
仮想世界の中で、ティエリアは刹那とライルに抱きしめられた。
「このまま、現実世界に帰還する。ルートを開いてくれ」
(了解しました。AIマリアをご利用くださり、ありがとうございました。現実世界への帰還ルートが開かれました。次回も、AIマリアをご利用ください)
三人は、揃って仮想世界を離脱して、現実世界に戻った。

「ただいま、刹那、ライル」
「おかえり」
「おかえり」

現実世界で、二人に抱きしめられた。
そのまま、唇を重ねる。刹那と重ねた次は、ライルと。
刹那は、ぎゅっとティエリアを抱きしめていた。
「もう、いなくならないでくれ。あんな気持ちを味わうのはゴメンだ」
「ああ、すまなかった」
「結局は、兄さんか。適わないなぁ」
「僕は、ニールを愛しているから」
「知っている。だが、もう二度とティエリアを手放さない」
刹那は、ティエリアを抱きしめたまま離さなかった。
「刹那、僕はライルと・・・・」
「知っている。それでも、お前のことが好きだ。手放さない」
「僕はニールしか愛さないかもしれない」
「知っている。それでも構わない。お前のことが好きだ」
「刹那」
「俺も、ティエリアのことが好きだぜ。愛している」
「ライル」
ティエリアは、石榴の瞳を穏やかに和ませる。

こんなにも、自分は愛に包まれている。
愛しい人は失ってしまってけれど。

今度は、ライルがティエリアを抱きしめた。
「お前さんからは、いつも甘い花の香りがする。あの日も」
ティエリアのビンタがうなった。
「あべし」
ティエリアは、顔を真っ赤にしていた。ライルと体を繋げたことを、忘れたわけでもない。

「調子が出てきたようだな、ティエリア」
ライルの言葉に、ティエリアもはっとなる。
そして、いいにくそうにライルを見上げた。
「ライル」
「どうした?」
「その、体は重ねたけど、答えはまだ待って欲しい。僕は、ニールを愛しているから」
「ああ。いつまでも待ってるさ」
「ありがとう」
「ライル」
「どうした、刹那?」
ライルのエメラルドの瞳が、刹那のピジョン・ブラッドの瞳を見下ろす。
「ティエリアは渡さない。俺のものだ」
ライル手からティエリアを取り返すと、ぎゅっと抱きしめる。
「お前さんも、やっと素直になったな」」
ライルの手が、ティエリアと刹那の頭を撫でた。
「ライバルがいるほうが、愛は燃えるぜ」
「一人で燃えていろ」
「勝手に燃えていろ」
ティエリアと刹那が、ライルの恥ずかしい台詞をさらりと流した。

「ティエリア、刹那〜〜」
ライルに追いかけられながら、ティエリアと刹那は逃げ出した。

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