次の日の朝、警報がトレミー中に鳴り響いた。 アラームのなる中、アナウンスで「敵襲、敵襲!」とう言葉が流れる。 朝食をとっていたガンダムマイスターたちは、全員立ち上がり、急いで格納庫に走り、ノーマルスーツに着替えるとそれぞれのガンダムのコックピットに乗り込んだ。 「刹那・F・セイエイ・、敵を駆逐する!」 刹那の乗ったダブルオーライザーがまずは発進した。 「アレルヤ・ハプティズム、迎撃行動に出る!」 次に、アレルヤのアリオスが発進する。 「ロックオン・ストラトス、敵を狙い撃つぜ!」 続いて、ライルの乗ったケルヴィムが発進した。 「ティエリア・アーデ、セラヴィ出ます!」 ティエリアが、最後にセラヴィを発進させた。 「ちゃんと生きて帰ってこいよ!」 イアンが、それぞれ発進していくガンダムに大声で叫んだ。 「ほんとに、生きて帰ってきてくれよ」 宇宙を飛行中のトレミーは、アロウズと戦闘を交えることとなった。 バーチャル装置での戦闘訓練が生かさせる。 刹那は、先陣を切って、ダブルオーライザーでアロウズの紅い機体を切り裂いていく。 同じように、アレルヤの乗ったアリオスもガンアーチャーと一緒に、紅い機体をいくつも撃ち落とす。 機動性ではダブルオーライザーが一番で、次にアレルヤのアリオス、ライルのケルヴィム、ティエリアのセラヴィといったかんじだった。 ライルの乗ったケルヴィムは、トレミーの護衛のためにトレミーから離れない。 そこから、遠距離でアロウズの紅い機体を撃ち落としていく。 「その調子よ!」 ミス・スメラギから通信が入る。 「刹那、そのままダブルオーライザーで母艦を叩いて!アレルヤはアリオスで刹那の援護を!ライルはこのままトレミーと一緒に、撃ちもらした敵を迎え撃って!ティエリアは、トレミーを守りつつ、ハイパーバーストをフルパワーで解放して!」 「了解!ハイパーバースト、チャージに入る」 「おおおおおおおお!!」 刹那が、次々と紅い機体をなぎ払っていく。 「ライル、そっちに敵が向かったよ!」 アレルヤが通信を送る。 「はいよ!行くぜ、ハロ!!」 「リョウカイ、リョカイ」 ハロの頭を撫でて、ライルはやってくる紅い機体に照準をあわせると、ビーム砲を発射する。 「メイチュウ、メイチュウ」 トレミーから、いくつものミサイルが、敵に向かって飛んでいく。 それをケルヴィムは避けながら、次々と敵を撃ち落す。 「マネキン・・・やってくれるわね!敵の数があまりに多いと思ったら、脱出ポットを使う者が誰もいないわ。オート操縦だわ!」 「なんだって?中身なしかよ!」 ライルが舌打ちした。 確かに、敵の数が多すぎる。 それでも構うことなく、ダブルオーライザーで刹那は紅い機体を切り裂いていく。 「ハイパーバースト完全解放!」 破壊の光が満ちた。 トレミーに襲い掛かろうとしていた敵の大群をのみこんで、いくつもの爆破音が重なった。 「ティエリア、そのままハイパーバーストで母艦付近の敵もなぎ払って!動きから、人が乗っているわ。数機の群れをなしてくる機体は自動操縦よ。自動操縦だからって、侮らないでね!一流のパイロットが乗っている動きだわ!」 「了解した」 ティエリアは、ハイパーバーストを遥か彼方にいる母艦に向けて放つ。 流石に人が乗っている機体は、何機か飲み込まれたものの、破壊の光を避ける。 「く、新型か」 ダブルオーライザーが、イノベーターの乗った新型と一騎打ちになっていた。 同じように、アリオスに乗ったアレルヤにもイノベーターの乗った新型がつく。 母艦から、新しいモビルスーツがいくつか出てくる。そのどれもが新型だった。 「くそ、うじゃうじゃと!」 ライルが、ケルヴィムで新型を撃ち落そうとするが、盾によってふさがれた。 「ちくしょう!トランザム!」 ケルヴィムの機体が紅く燃え上がる。 新型の盾を貫いくケルヴィムの閃光。 「トランザム!」 アレルヤも、新型の、しかもイノベーターの乗った機体に苦戦を強いられ、トランザムを解放した。 「敵の数が多すぎるわ!ここは、一旦ひきましょう!」 「はああああ!!!」 刹那の機体が、イノベーターの乗る新型とギリギリと刃を交える。 ヒリング・ケアの乗った新型が、ガデッサをトレミーに向かって放った。 「はははは、木っ端微塵になっちゃえ」 それを、セラヴィのフルパワーのハイパーバーストが迎え撃つ。 「・・・・・ぐううう」 エネルギーが足りない。 「トランザム!」 セラヴィの機体が紅く燃え上がる。トレミーは、すでに大分後退している。 「ハイパーバースト、完全解放!」 「くそ、ガデッサよりも破壊力が上だというの!?」 ヒリング・ケアが叫んだ。 ヒリング・ケアの乗った機体が、ガデッサを片手にビームサーベルを取り出してセラヴィに襲い掛かる。 刹那の相手をしていた機体も、そしてアレルヤの相手をしていた機体も相手を無視してセラヴィに迫る。 「ティエリア!」 「ティエリア!!」 「くそ、ティエリア!」 敵の集注火砲を浴びて、セラヴィのGNフィールドが破られた。 煌くビームサーベルの光。 「イノベーターの裏切り者!ここで死んじゃいな!」 振り上げられる刃。 狙われたのは、コックピット。 セラヴィに乗ったティエリアも、そうそう簡単にやられはしない。 装填したビームサーベルで、敵のビームサーベルと切り結ぶ。 ジリジリジリ。 だが、敵は複数だ。 ガデッサの光が、セラヴィの右足をもいだ。 「刹那!ティエリアの援護を!」 ミス・スメラギが叫んだ。 「言われなくとも!」 ダブルオーライザーが、周囲の敵を無尽に切り裂いて、セラヴィに近づく。 他のアロウズの機体は撤退をはじめていた。最初から、ティエリアのセラヴィの機体の破壊が目標のようであった。 「マネキン!」 操舵室で、ミス・スメラギが両手を握り締めた。 敵の戦術士がとった作戦は、数を投入しながらもやられて相手が有利であると見せかけ、一つのガンダムを完全に沈黙させること。 「ティエリアーー!!」 ミス・スメラギが叫ぶ。 相手を切り倒そうとして、GNフィールドをはられた。 「くそ、トランザム限界時間か!」 ティエリアが歯軋りした。 セラヴィを包んでいたGNフィールドが消えた。紅く燃え上がっていた機体が鎮まっていく。 バチバチと、破壊された右足が火花を散らしているが、まだ戦える。 ティエリアは最後まであきらめない。 「ティエリアーーー!!」 刹那が叫んだ。 ダブルオーライザーの機体が、セラヴィを攫う。 敵に、背後を見せた。 「もらった!」 敵のビームサーベルが、ダブルオーライザーを突き刺した。 どこでもない、コックピットを。 「刹那あああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーー!!!」 ティエリアの叫びが、木霊した。 NEXT |