デジャヴ−記憶の欠片−「新しい絆」







18禁注意!
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「ふ」
唇を何度も重ね、深く、浅く重ねあう。
何度も舌を絡ませる。

今でも、ロックオンを愛している。
だが、ティエリアはこの行為がロックオンに対する裏切りになるとは思わなかった。
体と精神は別のものだ。
ティエリアは、自分の体について冷めた部分がある。傷に無頓着だったり。
ティエリアは思う。
ずっとロックオンを愛していた。もう、誰も愛さないと誓った。その誓いに大きな亀裂が入っていることに、ティエリア本人も気づいていた。
もう、限界なのかもしれない。

刹那の手がティエリアの頬に伸ばされる。
その手を、ティエリアは包み込む。
輪郭をなぞるように唇が這う。
とても優しく。
衣服を脱ぎ捨た白い雪のような肌を、刹那の手が這う。
「刹那。好き」
耳を噛まれて、ティエリアは同じように刹那の耳を噛んだ。
白いうなじに手が伸びる。
「刹那。NO8という紋章を、目に刻んでくれ」
決して、ロックオン以外の者に言わなかった言葉を、ティエリアが口にしていた。
ティエリアの石榴の瞳が揺れたかと思うと、金色に光った。
すると、うなじにNO8という紋章が金色の光とともにかすかに浮かび上がった。
そこに、刹那が何度もキスをする。
キスの雨は、ティエリアを溶かすように何度もいろんな場所に降り注いできた。
女性化してしまった小さな胸を、やわやわともまれる。
そのまま、唇が這う。
「んんん」
ティエリアは手を伸ばして、刹那の頬に添えると、白い眼帯の上からキスをした。

「ティエリア。好きだ」
まるで、聖なる儀式のようにゆっくりとキスがふる。
「好き」
ティエリアは、刹那とまた唇を重ねた。
足が開かされる。
ティエリアは逃げない。ずっと、刹那のルビーの瞳を見つめていた。
そのまま秘所にはいってくる指を受け入れる。
「はんん・・・・」
何回も出し入れされ、自然と塗れてくる。
女性器をもたないが、SEXすることは可能だった。
刹那の長い指が、ティエリアの内側を出たりはいったりする。
「あ、あ」
水音が響く。なぜか、厭らしいとは思わなかった。
白く細い裸体が綺麗に仰け反る。
熱い熱が埋め込まれた。
「あああー」
激しくはない。
まるでバージンを相手するかのように、優しく刹那はティエリアを抱いた。
軽く突き上げられて、涙が零れた。
「一人にしないで」
「一人にしない」
唇を重ねあう。
敏感な場所を突かれて、ティエリアがのけぞった。
「いあ!」
シーツを掴むティエリアの手を、刹那はとって、自分の首に回された。
そのまま、何度か突き上げる。
一旦入り口まで引いて、最奥まで突き上げると、ティエリアの白い足が痙攣した。
「はああああ!!」
涙が綺麗な軌跡を描いてシーツに零れる。
「刹那、刹那、刹那」
「ティエリア」
ティエリアを引き裂いた熱は、静かにティエリアを攻め立てる。

なんだろう。
空っぽの心が、満たされていく。
ライルと体を繋げたときはなにもかんじなかったのに。

「このまま、溶けて永遠に一つになりたい、刹那」
「俺もだ」
「いや、あ、は、ああああ!」
敏感な場所に、指が追加された。
そんな経験はなくて、ティエリアはただ刹那の首に手を回して抱きつくしかなかった。
「いやぁっ」
「いやなら、止めるか?」
刹那が動く。
「あ、止めないで」
意地悪く笑う刹那に、口付ける。
そのまま、最奥で刹那の熱い熱が広がっていくのを感じていた。
ティエリアも精神的に果てた。
二人は、一度離れると、また抱き合った。
「愛している」
「僕は、ロックオンを愛している」
「それでも、ティエリアお前を愛している」
「僕も、君を愛している」
禁断の言葉。
二人の間に愛を持ち込むことは禁止なのに。

二人は、一緒に湯船に使って身を清めた。
刹那の頭はティエリアが洗った。同じように、ティエリアの髪を刹那が洗う。
「約束して。ロックオンのように、僕を置いていかないと」
「約束する」
「好きだよ」
「好きだ」

秘密の儀式のように、二人は深く口付けしあった。

ロックオンを裏切る行為なのだろうか、ある意味。
だが、ティエリアはそれでもいいと思った。
ロックオンを今でも愛している。
刹那とロックオンどっちをとるといわれたら、間違いなくロックオンを選ぶだろう。
それを承知の上で、刹那はティエリアと体を重ねたのだ。
ライルの時のように、ただ重ねるだけではない。
言葉を囁きあう。
一方的ではなく、互いに。

ロックオンを愛したまま、僕は。

天使の翼は、溶けていく。
人になるために。

強欲かもしれない。
非難されても構わない。
僕は、刹那を。

愛しているんだ


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