デジャヴ−記憶の欠片−「死」







先にコックピットを降りたアレルヤもライルも負傷していた。
準備していた医療チームが、すぐに応急処置にとりかかる。
ティエリアは無事だった。ティエリアはコックピットから降りると、ダブルオーライザーのコックピットを開け、刹那の体をおろす。
「刹那!刹那!!!」
ヘルメットをとると、錆びた鉄の匂いがした。
大量の血を、刹那ははいていた。
「ゴホッ」
ドボドボと、血を吐く刹那に、ティエリアは涙を零した。
「刹那、僕を置いていかないで!死なないで!」
内臓を傷つけているのは、一目で分かった。
かなりの致命傷だということも。
担架に乗せられ、すぐに緊急オペが開始された。
硝子ごしに、ティエリアは刹那の緊急オペを見ていた。

「先生、脈拍、心拍ともに低下しています!」
「くそ!!」
輸血が行われる。
肺に刺さっていた肋骨は取り除かれたが、出血が激しい。
肺以外の内臓も損傷している。
手術室が慌しくなる。
その光景を、ティエリアは涙を零しながら見ていた。
声も聞こえる。
ドクターたちの声が。

「安楽死をお勧めいたします」
一人の医師が、手に負えないと、そう言い出した。
「バカなことを言うな!」
「先生、呼吸が止まりました!」
「刹那、生きろ!」
「心拍停止!先生!」
「強心剤を打て!電気ショックの用意を!」

「刹那・・・・」
ティエリアは、泣いて硝子にはりついた。

電気ショックが刹那の体を揺らす。
「反応がありません!」
「もう一度だ!」
「だめです!」

もう、心拍停止から5分が経過しようとしている。
「刹那、ごめんね」
ティエリアは硝子ごしにずるずるとへたりこんだ。
そして、虚空を見ていたかと思い込むと突然立ち上がり、踵を返した。
そんな様子を、手当てを終えたライルとアレルヤが言葉をかけることもなく見守っていた。

ティエリアは、自分の部屋に入ると、そこから厳重に締まってあった拳銃を取り出す。
ぶるぶると、手は震えていた。

比翼の鳥は、片方がいないと死んでしまう。
一人では生きられない。
魂の双子が死ぬというのなら、その片割れも、一緒に。

「もう、ロックオンのような思いをするのはごめんだ」
銃弾を装填する。
セイフティーロックを解除する。
手が震えて、拳銃を落としてしまった。
それを、泣きながら拾い上げようとする。

パァン!

銃がちゃんと発砲できるかを、自室の天井に向かって確認して、こめかみに当てる。
「刹那、今いくよ。君を一人にはしない。ロックオン、今いくから、待っていて」

パァン!

乾いた銃声が響いた。


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