「マザー、あれに乗りたい!」 次の日、休日ということもあって、マリアとニール、ティエリアは遊園地にきていた。猫のティアも一緒だ。 「マリア、危ないから走っちゃだめだよ」 「はーい、マザー」 「俺は飲み物買ってくるわ」 「ニール」 「どうした?」 「愛しています」 「俺も愛しているよ」 二人は、遊園地で一目も憚らずにキスをする。 「マザー!!」 マリアが、観覧車の列に並びながら手を振っている。 「ちょっと、マリアのこと見ててやってくれ」 「はい」 ティエリアは、マリアと手を繋いで観覧車の列に並ぶ。 ニールはすぐに帰ってきた。 「にゃおん」 マリアの懐から、猫のティアが顔を出す。 ニールの手には、メロンソーダが二つと、コーラが一つあった。 メロンソーダはティエリアとマリア用だ。 「マリアもティエリアに似て、メロンソーダが好きだよなぁ」 「別にいいんじゃないですか?」 「そうだな」 エメラルドの瞳が優しく笑う。 ニールの外見は24歳前後で、ティエリアは17歳前後。誰も、マリアを二人の間の子供とは思わないだろう。 やがて順番がまわってきて、観覧車のドアが開く。 三人は中に乗り込んだ。 「高いね、マザー、ファザー」 「ああ、そうだな」 「遠くまで見えますね」 観覧車がちょうど一番真上にまできたとき、ニールはティエリアと深い口付けをはじめる。 「ファザーは、いつでもあつあつだね」 「にゃおん」 マリアが下を見下ろす。 やがて長い二人のキスが終わる。 観覧車も、一周ぐるりと廻って終着点にきた。 「ファザー、あれに乗りたい!」 マリアが指差したのは、ジェットコースター。いわゆる絶叫マシーンだ。 「嫌、おれはああいうのはちょっと」 顔を引きつらせるニールを無理やりひっぱって、列に並ぶ。 ティエリアはティアを抱いてお留守番だ。 ゴオオオオ! うなる風に、マリアは叫ぶ。 「いやああほおおおお!」 「うぎゃああああああああああああああ!!!」 負けじと、ニールも叫ぶ。 涙をためながらの、絶叫だ。 これぞ、絶叫マシーンの乗り方。 「大丈夫ですか、ニール?」 ベンチで伸びかけているニールに、ティエリアが心配そうな声を出す。 「なぁに、ちょっと絶叫マシーンが苦手なだけだ・・・」 ニールはすぐに起き上がり、ティエリアの手をとってかけだした。 ティエリアはマリアの手を握っている。 「メリーゴーランドに乗ろう」 「ファザーってば、乙女ちっくー」 「う、うるさーい」 「あははは」 ティエリアは笑う。 ちらちらと白い雪が降ってきた。 息を白くさせながらも、三人は仲良くメリーゴーランドで廻る。 一回だけでは足らずに、2回も乗ってしまった。 「よし、夕食はあのレストランにしようか」 「はーい」 マリアが嬉しそうにはしゃぐ。 「マザーも、いいよね」 「僕は、ニールが選ぶ場所ならどこにでもついていきます。愛していますから」 「俺も愛しているよ、ティエリア」 また、口付けを交わす。 今日で何十回目だろう。 本当にあつあつのカップルだ。 「ファザーとマザーって、いつまでたっても新婚みたい」 「それだけティエリアを愛してるんだよ。もちろん、マリアのことも愛してるぜ?」 「嬉しい、ファザー!」 「僕も、ニールを誰よりも愛しています。マリアも、同じくらいに愛しています」 「マザーも大好き!ずっとずっと三人で仲良く一緒に暮らそうね!」 「当たり前だろう」 「当たり前ですね」 そのまま、レストランで食事をとり、帰宅した。 NEXT |