次々に運ばれる料理。 ティエリアは、そのどれも食べようとしない。 「どうした、食欲ないのか?」 「僕は、生の魚はだめなんです」 ティエリアは、洋食派だった。 「あちゃー。刺身がメインだもんなぁ」 ロックオンは、テーブルに並べられた料理を見つめる。 それから、ティエリアを見つめる。 アレルヤと刹那は、問題ないようで次々と食べていく。 一人、食べることのできないティエリア。 生の魚がだめというのは初めて知った。知っていれば、違う料理を注文していた。 ロックオンは、レストランに内部電話をいれて、洋食を一人前頼んだ。 しばらくして、洋食が運ばれてくる。 「これなら、食えるだろ?」 ロックオンが、ティエリアの頭を撫でる。 「迷惑をかけてしまってすみません」 「いいってことよ。生の魚は、だめな場合はどうしようもないしな」 ロックオンも、無理にティエリアに食べさそうとすることはなかった。 持ってこられた料理は、シーフードパスタとサラダ、それにスープだった。 肉料理の嫌いなティエリアでも食べれるように、あえてシーフードにした。肉が嫌いだといっても、焼肉やステーキが嫌いなだけで、普通に料理された肉は食べる。 「迷惑なんかじゃないから、元気だせ、な?」 「はい」 ティエリアはフォークで綺麗にパスタを食べていく。 量は多くはなかったが、食の細いティエリアは残してしまった。その残りを、ロックオンがいつものように食べていく。 ティエリアは、パスタを一口分にまとめると、ロックオンに食べさせた。 「美味しいですか?」 「ああ、美味いよ」 それを、アレルヤと刹那は、口から醤油を滴らせながら見つめていた。 このバカップルは、アレルヤと刹那の存在を完璧に忘れていた。 ティエリアは、サラダを食べる。 「おいおい、無理しなくていいぞ」 「大丈夫です」 「サラダさん、次にあったときは、どうか葉緑体にでもなっていてください」 食べながら、そんな言葉をティエリアは口にする。 植物から思いっきり退化しとるがな! さっきの海老からオキアミかミジンコといい、何故に退化するかな? そもそも、サラダに命はないのだから(植物に命はあるが)、サラダさんという言葉自体おかしい。 ロックオンは、くくっと笑うと、ティエリアの頭をしきりに撫でるのだった。 かわいい。 本当に、なんてかわいいんだろう。 そんな様子を、アレルヤと刹那は、口の端からお酢を滴らせながら見ていた。 このバカップルは、本当に。 誰か、どうにかしてください。 NEXT |