「とりゃぁ!」 ロックオンが投げた枕を、しっかりと刹那が受け止める。 「負けるかっ」 刹那が、思い切り枕を投げる。 ボスっ。 それを、顔面で受け止めるアレルヤ。 アレルヤも枕を投げる。 刹那はそれを受け止めて、アレルヤに投げ返した。 ボスッ。 また、アレルヤは顔で受け止めた。 四つの枕では足りずに、押入れにあった枕を5つほど取り出しての、入り乱れの枕の投げ合いだ。 「枕さん、ごめんなさい。今度生まれ変わった時は、糸くずにでもなってください」 真剣な表情で、ティエリアが投げられて放置されたままの枕に謝って、南無阿弥陀仏と唱える。 枕に命なんてないのに。 とりあえず、かわいいので三人ともそのままにしておいた。 ティエリアが、放置されたままだった枕を手に、空を切る。 思い切り投げる。 ボスっ! 刹那がかわしきれずに、顔で受け止める。 「ティエリア・アーデ、覚悟!!」 刹那が、とりゃあと思い切り枕を二つ投げた。 それをティエリアは人をこえた動体視力で見極め、俊敏な動きでかわす。 ボスッ、ボスッ! 枕は二つとも、アレルヤの顔に当たった。 「なんで僕ばっかり!」 アレルヤは近くにあった枕を投げまくる。 その一つが、ロックオンの頭に当たった。 「やるな、この!」 押入れから新しい枕を追加して、投げては受け止め、投げては受け止め。 ティエリアは素晴らしい動きで、全て交わすか受け止める。 動体視力は半端ではない。 刹那が、アレルヤが、ティエリアが、ロックオンに向けて一斉に枕を投げた。 「ぎゃあああああああああ!!!」 次々と命中。 刹那が投げた枕の中には、辞書が入っていた。 それをもろに後頭部に受けて、ロックオンは沈没する。 「ふふふ、ロックオン破れたり」 ガッツポーズをとる刹那。 「勝負!」 「のぞむところだ!」 「決着を!」 アレルヤとティエリアと刹那が、それぞれを枕をもって、じりじりと間合いを縮める。 次の集中攻撃はティエリアにいった。 10をこえる枕を、ティエリアは俊敏な動きでかわし、そして受け止める。 そのとき、布団に足をとられてしまい、ティエリアの体がよろめいた。 「チャンスだ!」 刹那が、枕を投げる。 ティエリアは、畳に片手をつくと、ざっと数歩分後ろに跳び退った。 枕は、ロックオンにトドメをさすように当たっていく。 刹那も、アレルヤも、ティエリアの機敏な動きと豹のようなしなやかさに目を奪われる。 少女のように、乙女のようにかわいらしいのに、時には誰よりも漢らしく、そしてかっこいい。 刹那とティエリアの手から枕が投げられ、アレルヤは全て顔で受け止めて、撃沈した。 刹那とティエリアは顔を見合わせ、熱い握手を交わす。 凄まじい戦いだった。そのまま、ロックオンとアレルヤの敗者の姿を、ポラロイドカメラでとる。 「こらぁあああ!!」 撃沈していたロックオンが、起き上がる。 「刹那、ティエリア!」 二人とも、首根っこを掴まれた。 刹那には拳骨が、ティエリアにはデコピンが。 二人は、それぞれ頭とオデコをおさえながらも、楽しそうに笑い声をあげるのあった。 アレルヤは、枕に埋没している。 こうして、楽しい夜は更けていく。 NEXT |