「あれ、これ」 刹那が、できあがったポラロイドカメラでとった写真の異変に気づいた。 アレルヤの写真は普通だったが、ロックオンの写真に変なものが写っていた。 「ティエリア、これ見てくれないか」 刹那が、その写真をティエリアに見せる。 ティエリアは、映ったものを確認すると、開けられたままだった押入れの中を確認し、閉じると首を振った。 「やっぱりか?」 「どうしたの、刹那。うわあああああああああ!!」 アレルヤが、刹那がじっと見つめる写真を見た後、悲鳴をあげた。 「おいおい、どうしたってんだよ」 ロックオンが、肩をすくめる。 刹那が、ばっと写真を背中に隠す。 「なんだよ、俺にも見せろよ」 「ロ、ロックオン、見ない方がいいよ・・・」 アレルヤの声は震えていた。 ティエリアが、何度も押入れを開けては中をのぞいている。 ロックオンは、頭に?マークを浮かべた。 刹那は、ゴクリと唾を飲み込んで、恐る恐る写真を前に出す。 「見て後悔しても、知らないからな」 「なんだよ、刹那まで」 ロックオンは、刹那から写真を受け取り、それを見た瞬間悲鳴をあげてティエリアに抱きついた。 「ぎょああああぎゃうああああげひああああぁぁぁぁ!!」 どんな悲鳴だよ、とつっこみを入れたかったが、とりあえずなしの方向で。 ロックオンが伸びた写真。 写真には、開けっ放しの押入れが写っていた。 そこには、じっとこっちを見つめる女の顔と手が映っていた。 長い髪と、白い手。目は黒く、無機質にじっとロックオンを見ていた。 あまりの恐怖に、ロックオンは震えている。 刹那でさえも、怖がっていた。 アレルヤは布団をかぶって、南無阿弥陀仏と呟いていた。 「ひぃいいいい!俺ホラーとかそういうのだめなんだ!マジで簡便!」 心霊写真。 そういうだけなら簡単だが、普通の心霊写真と違ってこれは怖い番組とかでもTOPを飾るようなランクのものだ。怖すぎる。 あまりにも、映っているものがリアルすぎるのだ。 「俺も怖くなってきた」 刹那も震えて、アレルヤの隣に座る。 ティエリアは、ロックオンを抱きしめている。 そして、それが映ったポラロイドカメラを取り出すと、押入れを開けて同じ位置で写真をきる。 「おい、ティエリア、やめろって」 今度は、ティエリアを被写体にして、刹那が同じ位置で写真をとった。 そして映った写真に異常がないのを確認して、ティエリアは、心霊写真を手にとると、ビリビリと破いてゴミ箱に捨てた。 全く怖がっている様子もない。 「僕がついているので、みんな安心してください」 三人は思った。 漢だと。なんて頼もしい存在なんだろう。 誰よりも可憐でかわいいのに。 なぜに、こんなにも爽快にかっこいいのか。 ロックオン、アレルヤ、刹那の手をとって、にっこりと笑う。 そして、みんなで忘れるために笑い話をはじめる。 それでも、ロックオンはティエリアの手を握ったままだった。 ロックオンの手を握り締めながら、ティエリアは囁く。 「一緒の布団で寝ましょうね?怖いんでしょう?」 ロックオンが紅くなる。 いい年した大人がこんなことで怖がって、一人で寝れないなんて。 ティエリアは気にした風も見せず、ロックオンを安心させてくれた。 ティエリアを中心に布団が敷かれ、ティエリアはロックオンと同じ布団で眠った。 ロックオンも安心したのか、すぐに怖くなくなった。 実は、3枚目にとった写真にもっと凄いのが写っていたのだが、見せなかった。 何が凄いかっていうと、伊勢海老がティエリアの隣にちょこんとかわいく立っている写真だった。 とりあえず、凄かったのでティエリアはこっそりとそれを大事にしまった。大事にとっておこう。伊勢海老さんの、魂のこもった写真だ。 伊勢海老さんは、きっと成仏できたのだろう。 写真にうつっていた伊勢海老は、はさみの片方でティエリアの手と握手する形になっていた。 ティエリアは嬉しくなった。 伊勢海老さん、今度会う時はオキアミかミジンコになってくださいね。 退化してるっつーのというつっこみはなかった。 ティエリアは、純粋な思考でそう思うのだった。 NEXT |