王留美の別荘に招待されたガンダムマイスターたちは、休暇をまたミス・スメラギにもらって南の島にきていた。 どこまでも澄んだ青い青い空に、マリンブルーの透明な海、白い浜辺、照りつける太陽。 「ひゃっほいー」 すでにロックオンの頭も南の島だ。 いや、彼の頭の中は年中春だったろうか? まぁ、それはおいといて。 アレルヤ、刹那、ロックオン、ティエリアは浜辺に来ていた。 それぞれ水着を着て、上からパーカーを羽織るような形になっている。 ティエリアに到っては、半ズボンにタンクトップ、その上からパーカーという形になるが、まぁ仕方ないだろう。 「いざ、勝負!」 ロックオンの手の中には、ビーチバレーボールがあった。 くじ引きでペアを決める。 結果は、刹那とティエリア、アレルヤとロックオンだった。 「じゃあ勝負しよっか」 アレルヤが、ビーチボールを手にとって、空に投げる。 そのまま、鋭いサーブがネットをこえてティエリアと刹那の陣地に打ち込まれる。 それを、刹那が叩き落した。 「甘い!」 「刹那、君はばかか!」 ティエリアが、声をあげる。 刹那は、ネットの向こう側に叩き落さずに、その場で叩き落したのだ。まるで蚊かハエを叩き落すような感覚で、思いっきり。 「ネットの向こう側に入らなければ、点を取られてしまうではないか。あのようなサーブがきた場合、まずは ボールを宙に浮かせるんだ」 「分かった」 続いて、ロックオンの番。 また、サーブを打つ。 「刹那、トスだ!」 刹那が、また自分の前にきたビーチボールをその場で叩き落とした。 「君は、ばかか!ばかの王様か!同じことを二度も言わせるな!」 怒るティエリアと反対に、アレルヤとロックオンは楽しげに笑い声をあげている。 「あははは、刹那のやつ全くもってビーチバレーに向いてねぇ」 「これじゃあ、僕たちの楽勝かな?」 ロックオンの言葉が、刹那に火をつけた。 「もう大丈夫だ、ティエリア」 「本当だな?」 アレルヤのサーブを、刹那が華麗にトスを決めて宙に浮かす。 それを、ティエリアが渾身の力で叩き落す。 きらめく太陽。 鋭いサーブは鍛え上げられたアレルヤにも負けない。 そして、二人の陣地の死角をついた場所にビーチボールは落ちる。 次のサーブはティエリアだった。 ビーチボールを放り投げる。 そのまま、先ほどのように強いサーブがくるものだとばかりに、アレルヤとロックオンは少し後ろに下がって構えている。 「甘い」 ふわりと、ビーチボールはネットスレスレのところに落ちた。 「ティエリア、意外とうまいな」 「ほんとだね。びっくりだよ」 次は、刹那のサーブ。 綺麗に弧を描いて、敵陣に投げ込まれるそれを、アレルヤが拾いあげる。 「ナイスだ、アレルヤ!」 ロックオンが、それを宙に高く高く投げる。 それを、ジャンプしたアレルヤが強くサーブした。 ティエリアが走りよって、着地地点でビーチボールをとろうとするが、速すぎて間に合わなかった。 そのまま、白い砂浜にザザッと身を滑らせる。 「大丈夫か、ティエリア?」 「ティエリア、怪我はない?」 心配するアレルヤとロックオンに、ティエリアは差し出された刹那の手を握り締めて立ち上がった。 「怪我はありません。でも、眼鏡が・・・」 衝撃で、眼鏡のフレームが歪んでしまった。眼鏡を外すティエリア。 「どうする?」 「コンタクトをしているので問題ありません」 その言葉に、あんぐりと口をあけるロックオンとアレルヤ。 コンタクトしてるなら、眼鏡外せや。 いらんだろうに。 そのまま、ビーチバレーが再開される。 アレルヤのサーブ。 ティエリアが拾い上げ、刹那が決める。 ざざっと、今度はロックオンが白い砂浜を滑る。 「ざまぁないな、ロックオン・ストラトス」 刹那が、べーっと舌を出した。 刹那とロックオンは、仲が悪いわけではないのだが、刹那はいつもロックオンをからかい、それをロックオンが怒って追い掛け回す。 ばちばちと、二人の間に見えない火花が散った。 NEXT |