南の島でひゃっほい4







昨日と同じように、ビーチにやってきた。
刹那、アレルヤ、ロックオン、ティエリアは昨日と同じ格好だ。
そのまま、刹那とアレルヤとロックオンは、パラソルのはったビニールシートにパーカを脱ぎ捨てて、海に向かう。そのまま、泳ぎだした。
ティエリアは一人、それを見ていたが、何気に浮き輪をもってきていた。
ピンクの花柄だ。
こそこそとそれに空気をいれ、いざ準備万端。
ティエリアはパーカーも下にきていたタンクトップも半パンも脱いだ。
そのまま、波打ち際に向かうと、恐る恐る中に足を踏み入れている。
ザパァンと大きな波がきて、すぐにティエリアは流されてしまった。
浮き輪をしているので、まず溺れることはない。
「あれ、ティエリア?」
泳いでいたロックオンが、浮き輪でプカプカ海に浮かんでいるティエリアを発見して、そっちに泳いでいく。
「泳がないんじゃなかったのか?」
「誰も、泳がないとはいってません」
つーん。
「それにしてもお前さん、それ・・・ぷぷ」
「失礼な!誰もが泳げるだなんて、そんなこと決まっていません!」
浮き輪を手に、ティエリアがバシャバシャと進む。
あまりにかわいすぎる。
ピンクの花柄の浮き輪、自前だなこれは。
ロックオンは、顔がにやけそうになるのを、海に潜ってこらえた。
沖のほうでは、刹那とアレルヤが競争をしている。
「手、かせよ。ここは足がつかないから、もしものことがあったら危険だ。あっちの浅い方で一緒に泳ごうぜ」
ロックオンが、ティエリアの浮き輪をリードしながら泳ぐ。
バシャバシャ。
精一杯足を動かしてみるが、波のせいでなかなか進まない。
ティエリアは諦めて、ロックオンに託した。
浅い地点まできて、一度ロックオンが立つ。
「お前さん、そのかっこ・・・・」
「・・・・・・・・・・・恥ずかしいので、あまり見ないでください。これしか、水着なかったんです。海パンは流石に・・・」
浮き輪をしたまま、浅い海に漂うティエリアが着ている水着は、随分前に、ティエリアに同じように南の島にいく機会があったときに買ってあげたものだった。
ティエリアは絶対に着ないといって、着なかった。
黒の、ゴシックロリータの入った上下。ビキニのように別れてはいるが、胸を覆う布地は多めで、フリルとレース、リボンがあしらわれていて、胸のなさなどカバーできるかわいいデサインだった。
下のほうはわりと布地がせまく、それもフリルとレースがあしらわれ、両サイドに長めのリボンがぬいつけられていた。
長い黒いリボンが、海の中を漂っている。
「あーやべー。まじですげーかわいすぎ」
ティエリアは無視して、浮き輪を手にバシャバシャ泳ぐ。
首には黒のガーネットのチョーカーが光り、髪には翡翠の髪飾りが光っている。
バシャバシャ。
ティエリアは楽しそうだった。
「ロックオン」
少し離れたところで、ティエリアが手をふる。
ロックオンはそこまで泳いでいくと、一緒に泳いだ。
刹那とアレルヤは放置だ。
「イルカだ!」
浅い海のほうから近づいてくる何かに、何と一瞬ティエリアは怯えたが、人懐こいイルカだった。
今は貸しきりであったが、いつもはここでイルカと戯れることができるのだ。
「あははは」
イルカをはじめて見て、触る。
撫でて、一緒に泳いだ。
「人魚姫みてぇ」
ほんとの人魚姫は浮き輪なんてしてないけど、そこは愛嬌だ。
浮き輪を手に、ティエリアはまたバシャバシャと海をける。
ロックオンも、イルカと触れ合えることなどまず滅多にないので、一緒に泳いだ。
ティエリアが、浮き輪を離す。
「おい、ティエリア!」
浅いとはいえ、溺れてしまう可能性がある。
浮き輪を、イルカがキャッチしてくるくるとまわした。
そのまま、浮き輪は静かな波を漂っている。
ティエリアは、石榴の瞳を金色に変えた。
「慣れました。もう泳げます」
「へ?」
そのまま、ティエリアは潜る。深い深い海のほうへと泳いでいく。イルカと一緒に。
その泳ぎ方の鮮やかさは、まさに人魚姫。
「浮き輪、必要なかったんじゃ?」
ティエリアは、珊瑚礁が広がる海に潜る。イルカが楽しそうにティエリアのまわりを泳いでいく。
そのまま、海面に浮上する。
瞳は金色に輝いたままだ。
イノベーターであるティエリアは、未知なる能力をいくつももっている。
「時間切れですね」
石榴に瞳がかわっていく。そのまま泳いで、ロックオンのところまでくると、プカプカ漂っている浮き輪を手にする。
「浮き輪なしでも泳げるんじゃねーのか?」
「いいえ。泳げるのは瞳を金色に輝かせた限られた時間だけです。・・・・・・・・・かなづちなんです、僕」
そのまま、また浮き輪を手にバシャシャ泳ぐ。
ロックオンは不思議がったりせず、そのままティエリアと浅い海を泳いだ。



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