ラブファントム「怖い、怖い、怖い」







18禁注意
----------------------------------------------------

「怖い」
ティエリアは、ガタガタ震えていた。
「大丈夫だから、しっかりしろ」
ヴェーダを失ったティエリアは、それでもロックオンが支えてくれた。
そのロックオンが、自分を庇い利き目を失った。
ガタガタ震えるティエリアを、ロックオンが抱きしめる。
「ほら、ちゃんと生きてるだろ?安心しろ」
「もう少しで、あなたが死んでしまうところだった!」
ティエリアは大粒の涙を零して、ロックオンの胸に顔を埋める。
「あなたがいなくなったと考えただけで、とても怖くなった。怖い、怖い、怖い」
「だから、ちゃんと目の前にいるだろ?」
少し乱暴に口付ける。
「どうして僕を庇ったりしたんですか!」
「お前を守りたかったから」
逡巡もない答えに、ティエリアがまた涙を零す。
「お願いです。僕の前から居なくならないで下さい。大好きです。ずっと僕の傍にいてください」
「ああ、ずっと傍にいるよ。大好きだぜ、ティエリア。愛している」
「ロックオン」
抱きしめあって、眠りについた。
「いてて」
ロックオンは、包帯の巻かれた右目を庇いながら、起き上がる。
そして、鎮痛剤を水と一緒に飲んだ。
ティエリアが不安がるので、治療カプセルに入ることは拒んだ。
ロックオンも無理をしている。
ティエリアも気づいているが、それでもロックオンの傍にいたい。
もう、止まらない。
一度あふれ出してしまった感情は、とまらない。
ヴェーダがなぜ、人間に恋をしてはいけないと言ったのか分かった気がした。
怖い、怖い、怖い。
ロックオンを失うのが怖い。
ロックオンがいなくなると考えただけで、絶望的になる。
ティエリアは、ずっとロックオンの部屋で寝泊りした。
ロックオンは負傷したという時のティエリアの取り乱しようは尋常ではなかった。あまりの錯乱ぶりに、ドクター・モレノが鎮静剤を打ったほどだ。
「お前は、俺が守るから」
痛みに顔をしかめながらも、ベッドで丸くなって眠るティエリアの頭を撫でる。
「愛している、ティエリア。誰よりも」
泣きつかれて眠ってしまったティエリア。
「何度でも繰り返す。愛している、ティエリア」
ベッドの中で、ティエリアが身じろぎする。
ゆっくりと、石榴の瞳が開く。
「なら、あなたの愛を全て下さい」
「おい!」
服を脱ぎだすティエリア。
「これしか。方法が、知りません。僕には、これしか」
「そんなことしなくっていいって」
服を着せようとするロックオンに、ティエリアは口付ける。
「僕は魅力がありませんか?」
「あーもう。どうなっても知らないからな」

そのまま、ロックオンに押し倒される。
優しく愛撫される。
頬をすべる唇も、撫でる手も優しい。
「ん」
舌をからめあわせる。
そのまま、胸をもまれ、ティエリアは不安げにロックオンの首に手を回す。
胸の先端をつままれ、唇で甘噛みされる。
「んー」
舌と舌が絡み合う。
そのまま秘所に手を伸ばされ、ティエリアがびくりと強張る。
「やめるか?」
「いいえ」
そのまま、ロックオンの手が秘所にもぐりこむ。
はじめて男性の指を受け入れたそこは、狭く小さかった。
何度か出し入れをしていると、ティエリアの肌がほんのりそまっていく。
「あああああ」
Gスポットと呼ばれる場所を刺激されて、腰が浮く。
「我慢、できるか?」
「痛みが欲しいです。我慢できます」
指がひきぬかれ、押し当てられる。
ぐっと、細い腰を引き寄せられる。
無性の体に、なぜこんな器官が備わっているのかは知らない。多分、女性として生きていた頃は、女性となるべく本当は作られたのだろう。その名残なのかもしれない。
「いあああああ」
メリメリと引き裂かれて、その場所は真紅の血を流す。
男性を受け入れるための場所ではないのだから、仕方ない。そんな風に備わっているものでは多分ないはずだ。無性なのだから。
引き裂かれる痛みに、ティエリアは血を流しながら、安堵した。
あなたの痛みを感じれる。
一つに溶け合う。
ロックオンは、決して乱暴にはしない。
しばらく、なれるまでそのままでいてくれた。
「動いても、平気です」
「分かった」
揺さぶられ、ティエリアの白い肢体が仰け反る。
「ロック・・・オン・・・」
金色に変わった瞳で、自分を食べる相手の名前を愛しげに口にする。
何度も揺さぶられる。
ティエリアは、自分から足を開き、ロックオンを受け入れる。
男性として自我を築いたはずなのに、こんなことおかしいかもしれない。
でも、それでもいいんだ。
涙が零れる。
「大好きです・・・あ、ああああ!!!」
声がどうしても漏れる。
艶かしい喘ぎ声。
女のようだ。
これでは、まるで本当に女のようだ。
いっそ、女に生れてこればよかった。
そうしたら、ロックオンを素直に愛せるのに。
どうして、僕は無性なんだろう。
ロックオンが、一度熱い熱を引き抜いたかと思うと、また挿入され、最奥まで突き上げられた。
「ふあっ、く、あああ!」
そのまま、何度か最奥まで突き上げられ、揺さぶられて、体の中で熱い熱を感じた。
ロックオンが、ティエリアに口付ける。
「後悔してないか?」
「いいえ。していません」
「そうか」
そのまま、深く唇を重ねる。
大切に抱きしめられる。
一緒に風呂に入り、身を清めると、大人しく二人でベッドに戻った。
大切に、大切にロックオンはティエリアを抱きしめ、頭をなで、口付ける。
ティエリアは思った。
人に恋してはいけないのは、こうなるからなのだろうかと。
ヴェーダが言った、人に恋をしてはいけないという言葉。
こんなに、ロックオンに満たされている。
恋をして良かったと思う。
体を繋げてさえも、そう思う。欲望にまみれた行為じゃない。愛の証だ。
純粋な、穢れのない想いの果てだ。

NEXT