ラブファントム「かわいいんだから仕方ない」







「大好きです、ロックオン」
ティエリアに笑顔が戻った。
「俺も大好きだ、愛してるぜ、ティエリア」
「嬉しいです」
それぞれ、食事をとりながら、愛を囁きあう。
「ほれ、あーん」
ティエリアは素直に口をあけて、ロックオンのスプーンですくわれたシチューを一口食べる。
「はい、どうぞ」
今度はティエリアが、シチューをすくってロックオンの前に持ってくる。
それを、ロックオンが食べる。
「ジャボテンダーさんも、おいしいっていってます」
なぜか、ティエリアはお気に入りのジャボテンダーの抱き枕を食堂に持ってきていた。
かわいいので、ロックオンは止めない。
「ジャボテンダーさんも食事ができればいいのに」
むう。
そんな風なティエリア。
ロックオンが、ティエリアの頭を撫でる。
「ジャボテンダーさんは、サボテンだから光合成してるんだよ」
「なるほど。そうなんですか、ジャボテンダーさん」
ジャボテンダーに話しかけるティエリア。
これを、真面目にしているのだから、面白すぎる。
IQは180をこえているのに、こんな風に子供じみているティエリアが、ロックオンは大好きだった。
ロックオンは、失った右目には、黒い眼帯をしていた。
「プリンさん、観念してくださいね。食べます」
プリンを美味しそうに食べるティエリアは、幸福そうだった。
「俺の分のプリンも食べるか?」
「でも、それはロックオンの分のプリンさんです」
「プリンさんが、ティエリアに食べられたいって言ってる」
「そうですか。では、遠慮なく。観念してくださいね、プリンさん」
ロックオンの分までプリンを食べるティエリア。
あーもう。
どうして、ティエリアはこうまでかわいいのか。
乙女で子供っぽくて。
戦闘の時やデータを解析していたり、書類をまとめたり仕事をしている時のティエリアはロックオンの目から見てもかっこいいのに、ロックオンの前だと果てしなく乙女になる。
「ロックオン・ストラトス。責任はとってもらうぞ」
刹那が、かわいくなりすぎてしまったティエリアをさして、無表情にそう言った。
アレルヤは、二人のラブラブ空間に酔って、シチューをかまずにのみこんでしまい、大きめのブロッコリーを喉につまらせて苦しそうにむせていた。
「刹那に言われなくても分かってる」
にまにま。
ロックオンの表情は緩みっぱなしだった。
「どうぞ。ジャボテンダーさん、お水です」
ティエリアは、ジャボテンダーの抱き枕をカウンターの椅子に無理やり座らせるというかもたせかけると、その前にコップの入った水を置いた。とても真剣な表情のティエリア。
「ぶはっ」
刹那が、堪えきれずふきだした。
そのまま、自分の座っていた場所に戻ると、バンバンとテーブルを叩いて笑い転げている。
アレルヤは、やっとのどにつまったブロッコリーがとれたかと思うと、ティエリアの行動でシチューをぶばっと盛大にふきだして、目の前のテーブルを汚してしまった。
「抱き枕に水!あははははは!!」
アレルヤは、テーブルを拭きながらも涙を零しながら笑っている。
「ぶひゃひゃひゃひゃ」
ロックオンも、腹を抱えて笑っている。
「ジャボテンダーさんはお水を飲まないのですね」
抱き枕が水を飲むわけないだろう。
ロックオンも、アレルヤも、刹那も、ティエリアを止めない。
だって、あまりにかわいく面白いから。
「ロックオン、何がおかしいのですか?」
「いや、なんでもないから。ティエリア最高」
「はぁ」
ティエリアは分からないようで、首を傾げていた。
ジャボテンダー抱き枕を抱きしめるティエリア。
また、それが似合っていてかわいらしい。


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