愛を唄う・前編









トレミーは、地上に降りた。
物資の補給も兼ねて、CB最大の投資者である王留美の別荘に、クルー他ガンダムマイスターたちも滞在することに決まっていた。
別荘は1件だけでなく、世界各地に存在し、ガンダムマイスターたちは南の島の別荘に滞在が決まっていた。
ミス・スメラギとした主だったメンバーも、同じ南の島で滞在するらしかった。別荘はガンダムマイスターたちとは別で、王留美がよく 使う特別な別荘で、トレミーの女性陣たちは夏の海を楽しむことになるらしかった。
次の武力介入までは時間もあり、ガンダムマイスターたちも与えられた休暇を楽しむ。
普通に、地上で降りてホテルで過ごすこともあれば、刹那のように家を借りてそこに滞在することもあった。
CBは、武力介入しているとはいえ、敵対勢力がないせいで、時間があればガンダムマイスターにも休暇が与えられた。ただし、帰還命令が 下されれば、いつでもトレミーに帰還するという条件つきだ。
そのせいもあり、地上に滞在する時は人の見つからない場所にガンダムを隠していた。

「海だぜやっほう」
ロックオンが、はしゃいですでに南の気候に合わせるように、Tシャツとハーフパンツの格好をしていた。
すでに浜辺に出かけたアレルヤと刹那も、同じような格好をしている。
「ティエリア〜。こんな時くらい楽しもうぜ?そんな暑い格好とっとと着替えちまえ」
部屋から出てきたティエリアが、本を片手に別荘内で過ごそうとしているのを見て、ロックオンがティエリアのカーディガンに手をかけた。
「な、何をするんですか!」
「問答無用ー!」
ロックオンの手によって、いつも着ているピンクのカーディガンはあっさりと脱がされてしまった。
「返してください!」
顔を真っ赤にして怒るティエリアに、ロックオンは笑って、ティエリアが着ている長袖のワイシャツを脱がそうとする。
それに、ティエリアが必死になって抗った。
ワイシャツの下に、ティエリアはいつもタンクトップを着ていた。ワイシャツが直接汗を吸うのが嫌だったからである。それに、トレミーの気温だと、ちょうどタンクトップを着ることで理想の体温が保てた。

ティエリアは、体温が普通の人間に比べて低い。
それは、一重にイオリアの新人類への挑戦でもあった。地球温暖化が進んでいく中、地球はどこの地方も数百年前と比べ気温が上昇し、それにより日射病などによる死者は増大した。それはイオリアが生きた 時代も同じことだった。
イオリアは、暑い地方でも新人類が快適に過ごせるように、体温を通常の人間より低めに設定した。そして、自分の意思で体温調節ができるようにした。
暑い地方で日射病になりそうなほど体温が上がってしまえば、コントロールして体温を下げる。逆に、酷寒の地方では体温を上げることで極端な厚着を避けることもできた。
便利ではあったが、不便でもあった。ティエリアも、体温の調節はできたが、ティエリアは体温調節よりも、イオリアはその体を無性のものに仕上げることに情熱を燃やした。無性であっても、ホルモンバランスが 崩れることなく生きれるようにと。
そのため、ティエリアはイオリアが生んだ他の個体に比べて、体温調節があまりうまくなかった。
それに、ティエリアは声が透明でよく澄んでいる。それもまた、イオリアが声帯を特別に作っていたせいでもあった。ティエリアは、声変わりすることなく綺麗なボーイソプラノを 今でも保っている。そして、女性のソプラノの領域まで、その声音は変わることができた。

イオリアが生きた時代に、一人の歌姫がいた。
その歌姫は、イオリアの考えと同じく、戦争のない世界を望んだ。そして、唄で世界に語りかけた。唄で世界を救うことなど不可能である。だが、その歌姫の美しい、類まれなる歌唱力は人の心を打った。人の心から、 憎悪や憤怒という感情を忘れさせた。戦争は止めれなかったけれど、その歌姫の唄は、小さな争いごとなどを止め、そして争いのない世界を作ろうという理念を世界にばら撒いた。
イオリアは思った。歌で人の心が変えられるならばと。
幾つかの試作品の声帯をいじり、男性のテノールから女性のソプラノの声まで出せることに成功した。だが、それも結局はうまくいかなかった。歌唱力を完璧にするために脳をいじっても、 長い間歌を歌うことにいじられた声帯がついていかなかった。歌い続ければ、声帯は傷つき、二度と美しい声を出すことができなかった。
だが、ティエリアの声帯は成功例だった。長い間歌っても、美しい声は変わることなく保たれた。
ティエリアは視察で女装し、女性の声を出すとき以外、女性のソプラノの声を出すことはなかった。


「どうせ下にタンクトップ着てるんだろ。そんな長袖脱いじまえ。いくら空調が利いてるからって、南の島に来てまで長袖でいるなんて外道だぜ」
ロックオンの手がぼたんにかかり、ティエリアは悲鳴をあげた。
「嫌です!!」
それは、明らかに女性の声だった。
「へ?」
ロックオンの目が点になった。
「万死に値します!」
紅い頬で、いつもの綺麗なボーイソプラノの声に戻ったティエリアが、ロックオンの頭をスパーンとはたいた。
強烈なビンタでないところを見ると、怒ってはいないようだった。
「ちゃんと着替えますから、無理やり脱がさないで下さい。あなたは変態ですか!」
「ティエリア、さっき声変わらなかったか?」
「変わりましたよ!あなたのせいです!僕の声帯は特別にできていて、女性のソプラノまで音域があるんです。気が動転して、女性の声で叫んでしまいました。 まったく、万死に値します。万死万死万死」
万死万死と呟き続けるティエリアに、ロックオンが素直に謝った。
「ごめん」
「分かればいいんです」
「これ、ティエリアの分の水着。それ着て、上から服きて浜辺に来いよ。アレルヤと刹那は、多分もう泳いでるぜ。いいか、絶対に来いよ?一人で室内に閉じこもってるなんて許さないからな〜。ティエリアも、たまには太陽の下で肌を焼け」
「水着……」
ティエリアが、ロックオンの見ていないところで思いっきり嫌そうな顔をした。
「んじゃ、俺先行ってるからなー!後で浜辺でな!!」
ロックオンも、ハーフパンツの下には水着を着ているのだろう。軽やかな足取りで、浜辺に向かっていく。

ティエリアは、ロックオンに渡された水着の入った紙袋を恐る恐る開けた。
オーマイガッ。
見ないほうが良かった。
レースとフリルで彩られた、ゴスロリの水着だった。ヘッドフリルまである。
ティエリアが無性であることは、アレルヤと刹那もすでに知っていた。女性化が進んでいることも。
だから、女性の水着を着てもなんの違和感も二人は持たないだろう。だから、ロックオンはあえて女性の水着を選んだんだろう。だからって、これはないだろう。
「あの人は、なんて趣味をしてるんだ」
そして、ゴスロリの水着を取り出して投げ捨てる。
すると、下にもまだ水着があった。
オーマイガッ。
見なければ良かった。
胸にパッド入りの、ビキニだった。その布地の狭さに、ティエリアは悪寒さえ感じた。
「あの人は、本当にどんな趣味をしてるんだ!」
紙袋をぐしゃぐしゃに丸めて、ゴミ箱にいれた。新しい女性用の二着の水着と一緒に。
ロックオンと二人きりで一緒に過ごすうちに、女装しての視察の練習だからと、何度か女性の衣服を着せられたことはあった。だが、そのどれもがユニセックスな服で、男性が着ても問題ないような衣服だった。
流石にワンピースを買われた時は、レジに戻したが。

ティエリアは、テーブルの上に、さっき捨てたのと同じ紙袋を発見する。その紙袋は異様なほどに大きかった。そこにはメモも一枚置かれていた。
(やっぱ、いきなり女の子の水着なんて無理だよな?半分以上女の子でも、ティエリアはまだまだ男の子だもんな。これなら着れるかな?肌なんて全く露出しないから、そうだといいな)
中を開けてみる。
オーマイガッ。
見なければ良かった。
着ぐるみが入っていた。この暑苦しい中、着ぐるみの中で汗をかけというのか。
「あの人は、僕をばかにしてるのか!!」
着ぐるみを、ティエリアは蹴り飛ばした。
ちなみに、なぜか着ぐるみは白熊だった。
そして、ティエリアはベッドに突っ伏した。反対側のベッドはロックオンが使っていて、ティエリアとロックオンは同室だった。
ゴロリとそちら側をみると、ロックオンの使っているベッドにも紙袋があった。
「疲れることをするな、あの人は」
ティエリアは立ち上がって、紙袋の下に置いてあったメモを見た。
(実は一番のオススメはゴスロリ水着です。頼むから着てください)
ティエリアは、メモをぐしゃぐしゃに丸めて、ゴミ箱に捨てた。
紙袋を開ける気分にもなれない。
どうせまた、ろくでもないものが入っているんだろう。
そう思いながらも、あける。
ロックオンの心遣いを無駄にするわけにはいかない。
オーマイガッ。
見なければ良かった。
中には、褌(ふんどし)が入っていた。
褌っていつの時代の人間だよ。そもそも、下着だろうが。
「ロックオン・ストラトス。後でビンタしてやる」
めらめらと燃える石榴の瞳で、ティエリアはその紙袋もゴミ箱に捨てた。
ロックオンから、浜辺に来いと強く言われていた。
普段着である今着ている服を、汗で汚すのは嫌だった。それに、いくら体温調節ができるからといっても、南の島の太陽の下では 暑いものは暑いのだ。半ば冬用の長袖のワイシャツで、浜辺に出るなど、正気の沙汰ではないだろう。
どうしたものか。
かといって、行かなくてロックオンの機嫌を損なうのも嫌だった。ロックオンは、4人で仲良く過ごすのが好きなのだ。
強く言われているのに、自分だけ浜辺に行かないのも気が引ける。
かといって、夏用の服なんて持っていない。

そして、王留美から貰った紙袋を思い出す。
王留美は、女性陣と男性陣に、それぞれあらかじめ相手が選んでいた水着や浜辺で着る服を、紙袋に入れて渡していた。ティエリアだけが、唯一人なんの服も水着も選ばなかった。浜辺に出るつもりはなかったからである。
そんなティエリアにも、王留美は紙袋を渡していた。ティエリアは浜辺に出るつもりはなかったので、中身を見ずにそのままクローゼットの中に閉まったままだった。
それを思い出して、ティエリアはクローゼットを開け、紙袋をとりだした。
中には、キャミソールと、半パンが入っていた。キャミソールにはレースが施され、なぜかヘッドフリルも入っていた。
「一番、ましか……」
ティエリアは迷った。
肌をあまり露出するのは好きではない。だが、南の島だし、少しぐらい羽目を外しても誰も文句はいわないだろう。
それにしても、王留美にはどうやらティエリアの体の秘密がばれているらしかった。
そうでもなければ、こんな女性用の衣装を渡したりしないだろう。ミス・スメラギが酔っ払った日に、つい口を滑らせてしまった 日がある。そこから、情報が漏れ出したのかもしれない。
まぁ、性別が無性であると知られようと、別段問題はないのでティエリアは気にしないことにした。


「待たせてしまって申し訳ありません」
聞きなれた、綺麗なボーイソプラノの声がして、アレルヤが答えた。
「ティエリア、遅いよー。……あれ、ティエリアどこ?」
海から上がってきたアレルヤは、きょろきょろ周りを見回すが、人影は一つしか見えなかった。
白い砂浜が眩しかった。
肩まである紫紺の髪をツインテールに結って、レースつきのリボンで留めている。リボンにはガーネットがあしらってあった。頭には繊細なレールとフリルの施された青のヘッドフリル。
首には黒のチョーカー。
細い肢体の上半身は頭と同じ青のゴシックなキャミソールをしており、その丈は短めだった。フリルとレースのせいで、もともとない胸のなさはカバーできている。丈が短いせいで、くびれた腰のラインが、はっきりと見えた。
水色の有り触れた半パンに裸足の上から水玉模様のビーチサンダルを履いていた。
「アレルヤ・ハプティズム?」
ツインテールが揺れ、チョーカーにつけられた鈴がリンリンと鳴った。
「え、君どうして僕の名前知ってるの。それに、ここは私有地だよ。勝手に入ってきちゃ駄目じゃないか。迷子にでもなったのかい?」
「は?」
「刹那、刹那ー!」
「なんだ、アレルヤ・ハプティズム」
「ちょっと着てくれないか。女の子が、迷子になってるみたいなんだ」
砂浜で寝ているロックオンを砂に埋める作業に必死になっていた刹那が、アレルヤの声に、ロックオン砂浜埋葬計画を中断する。
アレルヤの傍にやってきて、刹那は首を傾げた。
「おかしいな。ここら一帯は王留美の私有地のはずだ。……ああ、俺たちだけでなくゲストとして招かれた客か。他の連れはどうした?はぐれたのか」
「?」
ティエリアは、首を傾げた。
それがとてもかわいらしく、アレルヤと刹那は頬を染めた。
「うわあああああああ!なんで俺砂に埋もれてるんだああああああ」
「やばい、ロックオンが起きたよ、刹那!」
「ちっ、完全に埋めようと思っていたのに」
舌打ちする刹那。

「君、こっちきて。ロックオンは、可愛い女の子みると見境いないから。君みたいな可愛い子、すぐにナンパされちゃう」
「ちょっ!」
アレルヤに引っ張られるままに、茂みの奥に身を隠す羽目になる。
そっと、刹那が自分の着ていたパーカーをティエリアに着せた。
「その、どこに目を向ければいいのか分からない」
純粋な反応だった。
ティエリアの日に焼けたことのない白すぎる肌が、目に痛かったのだ。
華奢な肢体は、キャミソールと半パンをのぞいて、全ての肌が露出していた。その姿は、どこをどう見ても、かわいい一人の女の子だった。
男性らしい曲線はどこにもなく、特に腰のくびれと細さに目がいく。胸のあるなしはあまり気にならなかった。そして、化粧もしていないその美貌は、格好のせいか とても可愛らしいものに見えた。
「刹那だな!こら、刹那、どこいったああああああ!」
キシャーと牙を向いて、なんとか埋もれた砂から脱出したロックオンは、刹那の姿を見つけようとしている。
ティエリアは、こうなってしまえばもう他人で貫き通すかと算段した。
「すみません、反対の浜辺が集合地点だったみたいです。お手数をおかけしました」
女性のソプラノの声を出して、おっとりとしとやかに答える。
「そうなんですか。なんなら、ついていきましょうか?」
どこまでも優しいアレルヤであったが、そのあまりの男性として逞しい体に、ティエリアは嫉妬を覚えた。
できれば、こんな風に生まれたかった。
「いいえ。お手を煩わせるわけにはいきません。一人でいけますので。このパーカー、お返ししますね」
パーカーを脱いで、刹那に羽織らせようとすると、刹那がティエリアを止めた。
「構わない。着ていけ。そんな姿でうろうろしていて、万が一男にでも襲われたらどうする」
「そんな、私みたいな貧弱な体の者を襲う男なんていませんよ」
(ふん、襲ってきたら無論銃で撃ち殺すに決まっている)
ティエリアは、にこやかな顔と言葉とは裏腹に、心の中で怖いことを思っていた。
腰にぶら下げた少し大きめのポーチに、アレルヤや刹那は、日焼け止めやオイル、化粧品、貴重品などが入っていると思い込んでいた。
ティエリアはそんなことはしない。
ポーチには、拳銃が一丁と、実弾が入っていた。ティエリアにとっての貴重品は、銃である。いついかなる時でも、身の危険に晒されてもいいように、ティエリアは銃を所持していることが多かった。
射撃訓練を欠いたこともない。
自分より年下である刹那ですら、筋肉がつきはじめている。ティエリアの体は、どんなに特訓しようが筋トレしようが、 筋肉はつかず、細い肢体は変わることがなかった。肉弾戦では、蹴りをメインとした格闘技を身につけた。力がない分、俊敏さと勢いで勝負するしかなかった。
そのため、ティエリアは余計に銃に固執した。射撃の腕はロックオンよりも上かもしれない。


「いたな、刹那ああああああ!今度という今度は許さんぞこらああああああ」
「いけない、ロックオンに見つかったよ。君、早く行った方がいいよ。ロックオンは狼だから!」
「まぁ、怖い」
「大丈夫だ、いくらなんでもこんな場所で、ロックオンもナンパなんてしないだろう」
やってきたロックオンは、まず刹那の前にたつと、スパーンとその頭をはたいた。
そして、デコピンする。
「痛い」
「痛いじゃないだろう、お前さんて子は。人が寝てる間に、埋めたりしないの!分かったか!?」
「分かった」
素直に頷いた後、ロックオンの視線が自分から外れたのを確認してから、刹那は小さく舌を出していた。懲りないやつである。

「アレルヤ、背後の子は?」
「この子、僕たちと同じゲストみたいなんだ。反対側の浜辺が集合地点で、それを間違ってこっちにきちゃったんだって」
「ふ〜ん」
見ようとするロックオンを、アレルヤの体が阻む。
「アレルヤぁ?」
「ロックオンはだめだよ!この子に手を出しちゃだめだからね!王留美さんのお客さんなんだから!」
(やばい。芝居がばれる。ここは逃げよう)
「それじゃ、私戻りますね。ありがとうございました」
ティエリアは身を翻した。
リン。
鈴の音がして、ロックオンがティエリアの手首を捕まえた。
「あの」
「へー。かわいいね?どこから来たの?」
「もう、ロックオンたら!」
「わ、私は」
(気づいてないのか、ロックオン・ストラトスは。逃げ切れるか?)
「中国から着ました。王留美さんとは、遠い親戚に当たるんです。私の大切な友人が誕生日で、留美さんに無理をいって別荘を貸してもらったんです。こことは反対方向にある 別荘です」
「へぇ。こんなところで君みたいな可愛い子に出会えるなんて、ラッキーだな」
(この女たらしが。とにかく、ここは逃げなくては)
ティエリアは、内心苛苛しながらも、今すぐこの場所を去りたい気分に駆られていた。
(どうせ、ロックオンもちゃんとした女の子の方が好きに決まっている。この対応の変わりようはどうだ。どうせ僕は、中途半端な存在だ)
「すみません、仲間が待っているので、これで」
「俺が送ってくよ」
「いえ、一人でいけます」
「ロックオン、ナンパは止めなよ」
「お世話になりました。それでは」
(別荘に戻って、本でも読もう)
ロックオンの手を振り払って、ティエリアは駆け出した。そして、茂みの奥に消える。

「あのバカ、どこまで素直になれないんだ」
「あーもう。って、ロックオン!?」
ロックオンが、走り去った少女を追って、消えてしまった。
「犯罪だな。ロリコン決定だ」
刹那が、格好のせいか、十台半ばに見えた少女のことを思った。
「まぁ、ロックオンも、いくらなんでも犯罪はしないよ。多分、心配だから送り届けにいったんだろう。それにしても、ティエリア遅いなぁ。やっぱり、浜辺には来ないのかな?室内で本でも読んでるのかなぁ」
「ティエリア・アーデならありえるな。地上嫌いな上、太陽に焼けることも嫌いなようだし」
「あーあ。せっかく4人でビーチバレーでもしようと思ったのに」
「そもそも、ティエリア・アーデは泳げないんじゃないのか。宇宙出身だろう」
「さぁ。でも、海辺にくるのは初めてだとは言ってたね。宇宙での生活は長いだろうけど。泳げるか泳げないかまでは分からないな」



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