「これが・・・・雪というものか。綺麗だな」 ティエリアが、降り積もった一面銀世界に酔いしれている。 アイルランドのあるスキー場に、ガンダムマイスター四人はやってきた。いつものように休暇をもらって。人工ではない、本物の雪。 踏みしめると、サクリという音がたって、足跡がつく。 それが嬉しくて、雪の上を歩く。 ティエリアは寒さにも強い。どちらかというと暑さに弱いほうだ。新人類であるイノベイターの体は体温調節ができ、冬の寒さを人より若干かんじないようである。 アレルヤ、刹那は寒さに固まっている。ロックオンはアイルランド出身のせいもあり、雪にも寒さにも慣れている。 準備運動のように動いて、やっとアレルヤ、刹那が寒さになれて動き出す。 今日はまだ、スキーをするわけでもなく、スキー板はつけていない。 「くらえ!」 刹那が、丸めた雪をロックオンに向かって投げる。 ボス! 見事に音をたてて、ロックオンの顔に当たる。 「おのれ、刹那ああああ!」 めらめらと燃えるロックオンは、その場にあった雪を丸めだすと、刹那に向かって投げる。 それは、ボスっという音をたてて、アレルヤの顔にあたった。 「君たちねぇ・・・」 額に青筋を浮かばせて、アレルヤも足元の雪を丸めて投げる。最近のアレルヤはなぜか切れやすい・・・。 ぎゃーぎゃー。 三人入り乱れての雪合戦の始まりだ。 ティエリアは、ふわりふわりと降る雪をじっと仰ぐ。 雪は・・・天使の涙が凍ったもの。きっと、キラキラ宝石みたいに輝いて、ゆっくり地上に降りてくるんだ。 ボス! ティエリアの顔に、雪玉がぶつかった。 「ははは、ティエリア、雪まみれだ」 ロックオンが、次の雪玉を刹那に向かって投げている。 ボス、ボス、ボス!! 避けもしないティエリアは良い的だ。 次々に雪があたる。 雪にまみれながら、ティエリアは、天使のようににっこりと微笑んだ。 「あ、やべ」 ロックオンが、顔を青白くする。 「皆、死ね。万死に値する」 ティエリアは凄まじいスピードで次々と雪玉を作っていくと、的確な腕で、ロックオン、アレルヤ、刹那にむけて投げていく。 どれも、的確に顔にヒットする。 なぜかアレルヤには普通の二倍の雪玉が当たっていた。 人徳・・・(?)だろうか。 「僕は超兵だ・・・負けるものか!」 雪にまみれながら、雪玉を作ろうとするその瞬間を狙って、ティエリアが雪玉を投げた。 刹那も一緒になって、アレルヤを集中攻撃する。 アレルヤは雪に埋没した。 「次は・・・ロックオンだな」 キラリと、刹那の瞳が輝く。 「ちょ、連携なんてずるいぞ」 「知ったことか」 「万死に値する」 刹那とティエリアは次々と雪玉を作っては、ロックオンに投げる。 投げ返そうとするスピードよりも、ぶつかるスピードのほうが速い。 ロックオンも雪に埋没した。 刹那とティエリアは熱く握手を交わす。 そして、それぞれアレルヤ、ロックオンの足をずるずるひきずって、木にもたせかけると雪を思いっきりかけて、雪だるま(手足と顔は出ている)を作ってやった。 「なかなか芸術的だ」 刹那に到っては、油性マジックをとりだしてロックオンの額に「肉」とかいて頬に「敗北者」とかいていた。 スキー場は、スキーをするためのものだよ? そんなこと、王留美の名前で貸切だから関係ない。 南の島のように、スキーでひゃほいすればいいのだ。 楽しんだほうの勝ちだ。 NEXT |