スキーでひゃっほい2







みんなで仲良く、それぞれ雪だるまをつくる。

ティエリアはなぜか芸術的な雪でできたジャボテンダーを作り上げ、そのまわりに小さなサボテンダーまで作っていく。あまりのできのよさに、ロックオンが写真にとったほどだ。
「上手くできてるなぁ。もう芸術としかいえねぇ。溶けるのもったいないなぁ」
「雪のジャボテンダーさんです」
「氷像ってところか」
「白いジャボテンダーさんも素敵でしょう?」
ちなみに、瞳の黒はなぜか小豆だ。なぜってきかれても、分からない。
ティエリアなりのこだわりがあるのだろう。

アレルヤは、雪だるまを普通に作った。
手には枯れ木をさして、先端にもってきた手袋をさせる。
一般的なイメージの雪だるまだ。瞳は黒い石だった。
「おー、アレルヤもなかなかうまいなぁ」
ロックオンが褒めると、アレルヤは人懐っこく笑った。
「なんだか、恥ずかしいよ」
「ティエリアの見てみろよ」
「うわ、ジャボテンダーだ。職人技だなぁ」
アレルヤは驚きながらも、ジャボテンダーの隣に並び、ロックオンにシャッターを切ってもらった。
ティエリアのジャボテンダーはとても人気だ。

次に、ロックオンが刹那のところにいく。
「かわいいな。雪うさぎか」
刹那は、雪だるまは作らず、小さな雪うさぎをいくつか作っていた。
ちなみに瞳はゼリービーンズだ。なぜかは分からない。刹那なりのこだわりがあるんだろう。

「俺のは・・・・」
ロックオンは、自分がつくった雪だるまをみる。
ドラえもんだった。
「ロックオン」
「ロックオン・ストラトス」
「ロックオン・・・・」
それぞれ三人が、名前を呼んでは、ぽんと肩を叩いていく。
「なんなんだよ!?ドラえもん好きなんだよ!悪いか!?」
24歳、アイルランド出身、ガンダムマイスター、本名ニール・ディランディ。ドラえもんが好き・・・と。
刹那はどこから取り出したかも分からないメモにメモをしている。

「かわいいですよ、ロックオン」
ロックオンが作ったドラえもんは全然似てなくて、下手にもほどがあったけど、ティエリアは微笑む。
「でももうちょっとこうしたほうが・・・・」
同人誌を描くティエリアは、ドラえもんも無論知っている。
ロックオンの作ったドラえもんのなりそこないに手を加えていく。
「おおお。ドラえもんだ」
「ドラミちゃんも作りましょう」
ロックオンと一緒になって、ティエリアは雪を集めてベースの形を作ると、芸術的な腕でドラミちゃんまで作っていった。

ティエリア、恐るべし。

「あー。あったかい」
一人で、かまくらの中に入っているアレルヤ。
液晶TVをつけて、こたつに入っている。それらの電化製品はどこからもってきた、電源はどこにある!?といっぱいつっこみたかったが、やっぱりつっこんだ。
「TVとこたつなんてどこからもちだした!?」
「そもそも、ここは雪原だぞ。コードはあるが・・・電源はどこだ」
「あ、隣の2キロ離れたデイジーさんちから無断で電気コード拝借して、2キロ伸ばしてあるんだ」
みかんの皮をむくアレルヤの頭を、ティエリアが殴った。
「その行為は、犯罪だ」
「だって、電源ないんだもの!」
アレルヤが涙ぐむ。
そもそも、2キロもある電気コードってなんだ。それをわざわざ用意していたアレルヤって一体。

「このTVとこたつは・・・・トレミーのものだな。ここに刻印がある。無断拝借というところか?」
「よく分かったね、刹那。偉いよ」
アレルヤが刹那の頭をなでる。
いや、全然偉くないから。
やってること、それも犯罪だから。

ロックオンが、ここは怒ってくれる・・・と思ったが、一緒にこたつに入ってアレルヤとだるだるしていた。だめ大人の集う場所、かまくら。

「俺はガンダムだ。ガンダムだ、ガンダムだ・・・・」
刹那は寒さに振るえながら、自分はガンダムなので寒さなんて感じないんだといいきかせている。
「刹那。ほれほれ」
ロックオンが、つりざおに最新のガンプラをぶら下げたのを刹那の前にもってきた。
「俺はガンダムだああああああ!!」
「刹那、一匹つれた」
ロックオンの釣竿に、つれた刹那。
一緒にコタツの中にはいって、だるだるしはじめる。

スキーはどうした、お前ら。

ティエリアは、アホは放置して、さくさくと森の中を進んでいく。確か、ロッジはこっちのはず。
アホはアホ同士でだるだるしてればいいんだ。
僕は、ああはならない。

と思いつつも、後ろ髪が引かれる思いのティエリアであった。


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