「あー。まじいてぇ。まじ筋肉痛」 「いい年をして情けない」 ティエリアが、その夜、ロッジで別れ別れになり、ロックオンと泊まる事になったロッジのベッドで足を組む。携帯パソコンで、文字を入力していく。凄まじい速度だ。 「なぁ、ティエリア」 ベッドの上で屍になっていたかと思うと、ロックオンは、ティエリアの手から携帯パソコンを奪う。 「返してください」 「休暇しにきたんだぞ。こんなとこまで、仕事もってくんな」 「でも・・・・」 「でもじゃねぇ」 「だって、あなたが構ってくれないから・・・・」 頬を染めて、目を伏せる。それから、じっと熱い視線で上目遣いに見上げてくる。無意識なのだから、たちが悪いことこの上ない。 「悪かった。筋肉痛だなんて、どうってことないから」 ティエリアを抱きしめる。甘い花の香りがした。 「忘れな草の髪飾り、似合ってる」 「本当ですか?」 ティエリアの紫紺の髪を飾る、薄いブルーの水色の忘れな草の髪飾りを撫で、次にティエリアの唇を撫でる。 ティエリアが目を閉じる。 二人は、そのままキスをする。 「あなたが、スキーが苦手だとは思いませんでした」 「雪がある地方出身だからって、誰もが上手ってわけじゃねぇからな」 「それもそうですね」 「俺は、ティエリアとアレルヤがスキー上手いのに驚いた」 「あなたと会う以前に、僕は雪山にアレルヤとミッションで3ヶ月ほど滞在したことがあります。その時の副産物ですね」 「そうだったのか。なんか・・・分かっちゃいるけど、なんだかなぁ?」 「どうしました?」 ティエリアが、ロックオンの瞳を覗き込む。綺麗なエメラルドグリーンか、上等の翡翠のような瞳は、とても綺麗できっと、ティエリアは自分の目より綺麗だと思っている。 「その当時、ティエリアに出会っていなかった自分に後悔と、アレルヤにちょっとだけ嫉妬してる。大人がみっともないなぁ」 「そんなことはありません。そういわれて、僕はとても嬉しいです。僕も、もっと早くあなたに出会いたかった」 「愛してるよ、ティエリア」 「僕も、愛しています」 いつものように、二人で愛を囁く。 「あの、さ」 アレルヤが、にこやかな顔に静かな怒りを滲ませながら声を出した。 「僕たち呼んでおきながら、それはないんじゃない?」 「あ、忘れてた」 「忘れてました」 刹那は、アレルヤの背後に隠れている。 「おー刹那。ガンプラ釣り〜」 ロックオンは、どこからかまた釣竿を取り出して、ガンダムアリオスのガンプラをぶら下げた。 刹那が、猫のようにしゃっと飛び跳ねる。 「甘いぞ」 「俺がガンダムだ!」 仕草もどこか猫っぽくなってきた。 「ロックオン・・・・ガンプラの包装紙に・・・またたび、つけてませんか?」 「え、なんでばれたの?」 「僕は人より数十倍も嗅覚がいいんです。それにしても、刹那、まさかまたたびに反応してる!?」 「あっはっは、こりゃいいや。猫刹那か。似合ってそうでかわいいじゃないか」 「俺はガンダムだ!」 ガンダムアリオスを、くわえた! 刹那、くわえたよ! そのまま釣り糸を引きちぎる。 「刹那。ほれほれ・・・・」 ロックオンが、どこからか猫じゃらしをとりだして、刹那をからかう。 それに反応する刹那。 「刹那、おもいっきりかわいいかも・・・」 アレルヤも、感心したように呟く。 「あれ・・・・」 ティエリアまで、猫じゃらしに反応しだした。 「ロックオン!まさかまたたび酒飲ませたの!?」 「ばれた?食事に少量しみこませただけなのになぁ。お子様にはよくきくな」 ロックオンは、がさがさとネコミミを二つとりだすと、ささっと刹那とティエリアにつける。 二人は、酒がきいてきたのか、二人で丸くなって一つのベッドの上で眠ってしまった。 「やべ。まじでかわいい」 「ほんと、かわいい」 大人二人は、鼻血をたらしながら、写真のシャッターを何度もきるのであった。 NEXT |