スキーでひゃっほい6







露天風呂。
スキーしにきたのに、露天風呂。
最高級の檜を使った湯船は、香りまでする。満点の星空をみあげながら、ゆっくりお湯に浸かる。

「ふう。疲れがとれるな」
「ほんとだねぇ」
ロックオンとアレルヤは、星空を見上げている。
「俺がガンダムにゃ」
次の日もまたたび酒を、今度はそのまま飲んでしまった刹那。言葉まで進行していて、もうこれでもいいかと、アレルヤとロックオンもかわいいので猫刹那を放置している。

「やはり漢たるもの、前を隠すなんてありえないな」
ガラガラと、ティエリアが入ってくる。
ティエリアには、時間をずらして入るように言い聞かせたはずなのに、なぜ自分だけ仲間外れにされるのか分かっていないようであった。
「ティエリアあああ!」
真っ裸で堂々と立っているティエリア。
前も隠さない。言葉通り、漢らしい。
しかし、しかし。
ティエリアは男性ではない。無性である。
下肢には何もないが、それでもやはり、白すぎる肌といい、まな板に近いけど一応はある胸のせいで、女性にどうしても見えてしまう。

ロックオンは焦って、檜で滑って頭をうった。それでも、腰にタオルを巻いたまま、ひっかけてあったバスタオルでティエリアの身体を胸の位置でぐるぐるまく。ティエリアは、いつものことなので、無言でぐるぐる巻かれる。
アレルヤは、刹那の目を後ろから塞いでおきながら、自分はちゃっかり見ていた。
「AAカップかぁ。かわいいなぁ」
「こら、アレルヤ!」
「わぁ、ごめん」
ざぶんと、湯船の中に隠れるアレルヤ。頬は紅く染まっていた。

ロックオンの恋人じゃなかったら、アレルヤはきっとティエリアに恋していただろう。
それは刹那も同じことだ。
ティエリアは無垢で可愛くてそのくておもしろくて、かっこよくて、なんていうのか・・・・一緒にいると、とても楽しい。それを、ロックオンがほぼ独占している。
羨ましいとは思うが、奪いたいとは思わない。
だって、二人はとても幸せそうだから。

ロックオンが、最初は面白みの欠片もなく、協調性もくて、機械のようなティエリアを、今みたいなおもしろおかしいかわいいティエリアにした。人間にしたのだ、ティエリアを。
並大抵の努力では、ああまで人間は変わることはないだろう。

「僕は、漢です。真っ裸でも平気です!」
「いや、ダメだから」
「何故ですか?」
首をかしげるティエリア。檜の湯に浸かりながら、全く分からないといった様子だ。

「じゃあさ、もしも俺が女でティエリアが男でさ、俺が男湯に入ってきたらどうする?」
「ロックオンがもし女で、裸を見た男がいたなら、その場で射殺します」
「あのなー」
「あはははは」
「笑い事じゃないぞ、アレルヤ」
ティエリアならやりかねない。

「とにかく、漢なのは分かったから、くるときは胸にまでバスタオルを巻いてくれ。そうじゃないと、俺の心が痛む」
「ロックオンの心が・・・・分かりました、バスタオルを胸にまで巻く漢になります」
どういう意味で漢って言葉を使ってるのかも、いまいちティエリアはよく分かっていないようであった。

「ガンダム、ガンダム、ガンダム・・・・」
「うわあ、刹那がのぼせてる!」
ふにゃふにゃのぼせた刹那をひきあげて、アレルヤが介抱する。

ロックオンは、まだ入ったばかりのこともあり、ティエリアと二人きりになった。
「二人きりなら、バスタオルなんていりませんね」
あっけなく、ロックオンの努力を泡にするティエリア。
自分が無性であるということを、分かってはいるだろうが、その身体が無性だからといって、女性のように魅力的でないということは分かっていない。
女性にはない魅力がティエリアにはある。白すぎる肌、僅かに膨らんだ胸、細い肢体・・・・まるで、神話の中の天使のように。

ティエリアの肩甲骨に彫られた、翼の刻印に、ロックオンが手を伸ばす。
「星の数ほどの愛を、あなたに」
ポチャン。
バレッタがとれて、湯の中に沈んでいく、
ロックオンは、肩甲骨の翼をイメージした刻印に口づける。

「俺が翼をもぎとった。責任はとるから。星の数ほどの愛を、お前に」

露天風呂は、見上げると澄んだ星空が見える。
檜の香りのする湯に浸かりながら、二人はお互いに寄り添いあった。


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