かまくら。 どう見ても、かまくら。 その日もスキーをする予定だったのだが、アレルヤは見たいTV番組があると、勝手にCBから持ってきた液晶TVでテレビを見ている。 ジャボテンダーの雪像はまだそのままだ。 「あはははは」 「あははじゃない」 ティエリアが、いつの間にかハリセンで、アレルヤの頭をスパーンとはたいた。 本当なら、こういうのはロックオンの役目だったのだが。 ロックオンが、風邪をひいてしまったのだ。 「またデイジーさんとこから電源かりてきたのか!?」 「ううん、5キロ離れたマイクさんちから。無断で借りてきた」 「だから、犯罪だっていってるだろう、君は。無断拝借はやめないか」 スパーン。 またハリセンがうなった。 刹那は、スノーボードで華麗に雪原を滑っている。 スノーボードはできても、スキーはできないらしい。 「アレルヤ、ソリに乗ろうか」 刹那が、ザザッと、スノーボードで雪をかきわけて、かまくらの前にとまると、そう誘った。 「うん、そうだね。もうテレビおわちゃったし・・・・・」 よっこらせと、まるで老人のようにおもそうに腰をあげるアレルヤ。 そのまま、なぜかティエリア、刹那、アレルヤでソリが雪原を滑る。 ティエリアは終始ご機嫌斜めだった。 「ロックオンのところにいってくるといい。俺たちのことは気にしなくていいから」 刹那が、素直になったらどうだ?と、ティエリアの背中を押す。 「だが、それでは君たちの奇想天外な行動を監視する者が・・・・」 「マイクさんちから電源をかってに借りてきた以上に、凄いものはもうないと思う・・・・」 刹那が、本当にどこまでも長く伸びた電源コードを見る。 「分かった。刹那、あとは頼む。こういう休暇になると、アレルヤは羽目を外しすぎるからな。これを君に」 「これは・・・・」 「ロックオンがいつも君の頭を叩くハリセンだ。荷物の中に紛れていたのを持ってきた」 「そうか。これが・・・・ふふふ・・・・」 刹那がドス黒い笑いをしだしたが、ティエリアは気にしないことにした。 そのまま、ロッジに戻る。 「ロックオン?」 「あー、ティエリア?」 「具合はどうですか?」 「大丈夫〜〜っていいたいとこだけど、寒い。毛布これでもかってくらいにかぶってるし、室温も暖かく設定してるのに、寒気がして・・・・」 「あなたを、暖めます」 「へ?」 そのまま、服を脱ぎだすティエリア。 いやいや。まさかこんな展開。 普通は、遭難して山小屋なんかでする場面だろうに。 下着は、つけたまま。 ボクサーパンツのみとなる。上のタンクトップは脱いだ。 「えっと」 そのまま、するりとロックオンのベッドに入り、ロックオンを人肌で暖めるようにぴったりと肌を合わせる。 「ごめんな。迷惑かけて」 「いいえ。はやく、よくなってください」 「ありがとさん」 ピタリとはりつくティエリアの幼い体。 腕に胸が当たっている。 今は、何も言うまい。 ロックオンは、初期症状のうちに回復し、服用した薬がきいたのか、次の日には元気になっていた。 NEXT |