「溶けちゃった・・・・ジャボテンサーさんとサボテンサーさん」 「あーうん。溶けちゃったな」 哀しそうに、残骸となった雪の塊を見るティエリア。 ティエリアを抱き寄せて、その頭を撫でる。 あまりのいいお天気に、作られた雪だるまたちは溶けてしまった。 雪原の一部も溶けている。スキーできないことはないが。 かまくらも溶けてしまった。 「ああ、せっかく次は10キロ離れたスミスさんちから電源かりてきたのに」 アレルヤが残念がる。残念がる部分が普通とずれているが、本人はいたって真面目だ。 ロックオンが、刹那の手から戻ってきたハリセンで、アレルヤの頭をスパーンとはたく。 「10キロはなれたスミスさん!?またこの子は、勝手に電源拝借して!犯罪はいけません」 「10キロ、歩くの大変だったんだよ!?」 「そもそも、電源はロッジにもあるだろう」 ティエリアの一言に、アレルヤは氷像となった。 「アレルヤ、バカだな」 刹那が、ティエリアとこそこと言い合いをする。 「バカレルヤ。KYだよ。空気読めないやつだから、仕方ない」 「そうだな。アレルヤはKYだからな」 それを放置して、ロックオンはどうしたものかと肩をすくめる。 「ソリに乗ろう!」 突然、刹那が言い出した。昨日乗ったそりが、いたくお気に召したらしい。 「へぇ。このソリなら、四人乗れるな」 「じゃあ決まり」 「誰が押すんだ?」 ロックオンの問いに、刹那とティエリアの指がロックオンとアレルヤを指差した。 「とほほ・・・・年少タッグは強い」 「僕はKYなんだ・・・ハレルヤ。KYなんだって・・・・」 ソリを押して、雪原の上までくると、ティエリア、アレルヤ、刹那が乗り込む。 そのまま、ロックオンがソリをおして、最後にに乗り込んだ。 シュウウと、風を切っていくソリ。 「ところで、ブレーキは?」 ロックオンの言葉に、ティエリアも刹那もアレルヤも首をふる。 「ひゃっほいいいいいぎゃああああああああ!!!: ロックオンはジェットコースターとか、とにかくそういう絶叫ものに近いスピードの出るものは苦手であった。 「あ!!」 ティエリアが、途中で振り返る。 でも、もう遅い。 ソリが緩やかな坂になり止ったとき、ティエリアは石榴の瞳に大粒の涙を溢れさた。 ポロポロと綺麗な涙を零すティエリアに、ロックオンがしゃがみこむ。 今のティエリアは、幼子のティエリアだ。 「どうしたんだ、ティエリア?」 「あなたにもらった忘れな草の髪飾りが、ソリの途中で外れて雪の上に・・・・僕は、どうすればいいんでしょう?」 「なぁに、また買ってやるよ」 「いやです!」 「ティエリア?」 「あれじゃなきゃ、いやです・・・・」 また、ポロポロと涙を零す。 こうして、ティエリアの髪飾り探せ大作戦は結構された。 NEXT |