ラブファントムU「さようなら、ニールU」







「ニール・・・・ありがとう。ティエリアを助けてくれて」
「刹那。大きくなったなぁ。ほんと、いい男になったな」
ニールは、ティエリアに寄り添う刹那の頭を撫でる。
まるで、昔に戻った気分になる刹那。
「一緒に、暮らそう、ニール。刹那と一緒に」
「ああ。暮らそうか、一緒に」
ティエリアは、泣いていた。
ボロボロと、泣いていた。

刹那に抱きしめられながら、泣き崩れる。

「うわあああぁぁぁぁぁ。また、僕はあなたを失うのか!!何度も、何度もあなたを失って・・・・」
ばちばちと、ニールから火花が散る。脳の部分の回路がショートしている。AIをもったロボット開発にも携わっているティエリアは、一目見てもう、だめだと判断できた。それは、刹那とて同じであった。記憶回路がやられている。それは、人間にとっては脳のなかの記憶をつかさどる海馬にあたるもの。また、心臓でもある。

「泣くなよ、ティエリア。かわいい顔が台無しだぜ?」
「愛しています。嫌です。いかないでください」
「ニール、いくな。一緒に暮らそう!」

エメラルドの瞳が瞬く。
ふっと、全てを凌駕したように、優しく、慈愛に満ち溢れたエメラルドの光がニールの周囲にポッ、ポッっと浮かび上がっていく。

それは、本物の彼が死んだ時にまとっていた光と同じだった。
果てしない暗闇に沈んでいくニールの体を、エメラルドの光たちは優しく包み込んでいた。

今、それが再びおきている。
「嫌です。ニール、愛しています。嫌です、置いていかないで!こんなにも愛しているのに、どうして!!」
「ニール!ティエリアをまた置いていくのか!これで三度目だぞ!お前は、何度恋人を置いていけば気が済むんだ!!」
刹那が喉がかれんばかりに絶叫した。

「ティエリア、刹那・・・・あったかい・・・・」
二人に抱きしめられて、ニールは、笑顔だった。
そう、とても穏かな笑顔。
「ニール!」
「ニール!!」
二人とも、子供にかえったかのように泣きじゃくって、ニールを抱きしめる。

ポッ、ポッ・・・・。
エメラルドの光に、機械であるはずのニールの体が溶けていく。
ポッ、ポッ・・・・。

「世界、変わったな。こんな世界を、おれは望んでいたんだ。こんな、争いのない優しい世界を。なぁ刹那、全力でティエリアを愛しぬけ。おれが、ティエリアを愛したように」
「ロックオン・・・・」
思わず、昔の名で呟いていた。

「いつまでも愛しているよ、ティエリア。そうそう、このペアリングは、サイズ合うように今したから、刹那がはめろ。それ、婚約指輪でもあったんだ。アイルランドで、一緒に家族になるって、約束したよな、ティエリア。結婚しようって」
それは、リジェネがニールのアンドロイドに全く与えていない情報だった。
刹那が、ガーネットの指輪を受け取り、はめる。まだ、ティエリアの指には、エメラルドのペアリングの片方が光っている。ニールは満足そうだった。
ついさっき、ニールの魂が、還ってきたのだ。
ほんの僅かな時間。少しづつ、宿ろうとしていたものが、還ってきた。
「還って、きたよ。ティエリア。お前の元に」
「おかえりなさい、ニール・・・・」
「本物、だから。器は違うけど。魂は、本物だから。愛している。世界中で一番愛している。愛のキャンバスをゼロから描こう。一緒に手を繋いで、笑って歩いていこう」
「はい・・・はい・・・・」
刹那は、見ていられなくて背中を向けた。

「ティエリア、せっかく綺麗に髪伸ばしたのに・・・・焦げちゃったな」
「構いません、こんなもの」
「そうだ。なぜか、髪ゴムもってるんだ。結わせてくれないか」
「はい。お願いします・・・・ひっく、ひっく・・・・」
ニールが起き上がり、ゆっくりとティエリアの一部焦げてしまった、ストレートの長い紫紺の髪を手ですくと、器用にツインテールに結った。
「ほらできた。かわいい。リボンあれば結びたかった」
「今から、一緒に、買いにいきましょう・・・」
石榴の瞳から、とめどなく涙があふれ、零れ落ちた。

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やばい。かいててなきまくり。洪水。鼻水だー、



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