ティエリアとリジェネはLV99のオーラが目立つので、オーラを消す魔法を使った。LVを60台と勝手に設定して、LV30〜LV70くらいの幅のPTメンバー構成にする。 そしていよいよ、冒険者ギルドにやってきた。 「おやじ。なんかいいモンスター退治はないか」 刹那が、早速モンスターハントに熱を出す。 「あれ。蒼の刹那じゃないか。いろいろあるぞ。そうだな、お前さんの68ってLVなら・・・・オーク族討伐ってのはどうだ?賞金は40万ゴールドだ。うーん、ちょっとぬるいか?」 「ぬるいな。LV30台の仕事だろう。ソロでできる。今回は6人PTなんだ」 間に、ティエリアがわって入る。 「それよりも、古代ダンジョンの探検とか探検とか探検とかないか?」 「ああ、それならさっきしめきった」 ティエリアは、古代ダンジョン探検マニアだった。LV99ともなると、ソロやペアで高LVダンジョンをクリアすることもできる。時には、まだ世界に知られていない魔法の呪文書やアイテム、装備を見つけたりできる。 ティエリアは魔法のコレクターだ。いろんな魔法の呪文書を持っている。最近発見された新しい魔法の30%はティエリアの手柄によるものだ。 冒険者は、発見した魔法書は習得できるできないに関わらず、魔法ギルドにおさめなければならない決まりになっており、ティエリアは魔法をマスターしてからおさめていた。新しい魔法書を発見した者には、さらに未開のダンジョンが紹介されるシステムになっている。 「お・・・・金の瞳。刹那と同じ・・・お、そっちも。イノベイターか。オーラを消してるな」 冒険ギルドのおやじは鋭かった。 「99なら、キメラ退治なんてどうだ」 「ふむ・・・・」 「それのった」 「リジェネ!」 「大丈夫だって、僕らはサポートすれば、ライルもニールもアレルヤも平気だよ。刹那はLV20もごまかしてるしね。本当はLV88のくせに、68のまま、LVUPしたって報告にいかないんだから」 刹那は、とても適当なめんどくさがり屋だった。 ついでに、LV88になるとソロが多くなる。刹那としては問題ないのだが、一緒のPTを組んで経験値だけ吸おうをする輩がおおくなるのが80過ぎなので、わざと68のまま、LVUPしても報告にいっていない。 こうして、あるダンジョンに住み着いたキメラ退治をすることとなった。 ダンジョンの最上階にキメラは住み着いている。最悪なことに、そのダンジョンは王国でも有数のオークがうじゃうじゃと無尽蔵にわきでるダンジョンだった。 「炎の精霊よ集え!ファイアーエンペラスディー!(炎皇帝人形演舞)」 中級の炎の精霊術で、リジェネが無尽蔵にわいてくるオークの群れに向かって炎の皇帝をかたちどった人形を複数操り、次々とオークを炎の刃で焼き殺していく。 「はぁぁ!」 気弾をつくって、アレルヤがオークの群れにつっこみ、つぎつぎと気でオークを倒していく。 「狙い撃つぜ!」 パン、パン!ニールが、遠距離用の銃で、オークの頭をうちぬいてとどめをさす。 「刹那、ガンダムOO敵を駆逐する」 刹那の瞳の色が金色から真紅にかわる。魔剣ソウルオブファイアで、次々とオークを、風のように切り裂いていく。翻る服がいつも蒼なので、「蒼の刹那」と呼ばれていた。 「私と、汝は契約した。汝は私と契約をかわした。汝の名はハイ・サラマンドラ」 オークのリーダー格、オークロードが何匹もわいてきた。 「サモニング(召還) ハイ・サラマンドラ!」 ティエリアが、召還魔法を使った。上位精霊ハイ・サラマンドラが円陣に出現し、オークロードを焼き尽くしいく。凄まじい火力だ。 「わお、さすがティエリア。詠唱をほとんど破棄で上位精霊召還か。僕も負けないよ」 炎の間をぬって、アレルヤが気弾を放ち、ニールが銃を撃ち、疾風のうなる銃に追加されていたシルフの魔法を使って、ティエリアが召還した精霊の炎に空気をおくりこんでさらに凄まじいものにする。 刹那は、炎に燃え上がるように、オークロードを切り倒していく。仲間の魔法は、決してPTを組んでいる限りは仲間に当たらない仕組みにできているので安心だ。 「ソウルオブファイア、解放!」 オークロード10匹目を仕留めたところで、魔剣を解放する。青白い炎が剣を包む。殺しても殺してもうじゃうじゃわいてくるオークロードは、刹那の剣にかすめきられただけで、灰となって崩れていく。 「ライル、そっちに5匹いったぞ。ティエリアとリジェネに近づけさせるな!魔法職は物理攻撃に弱い!」 刹那の声に、はじめて誰かとPTを組んだライルは、皆の連携ぶりにあっけにとられていたが、我に返った。 「お、おれだって・・・」 一人、ただの木の枝を構えていたライルは、目の前に突進してきたオークロードに木の枝をふりかざす。 ポキッ 「ああっ、折れた!」 ただの木の枝は折れた。 「やっぱり、ただの木の枝!」 カッ。 光が満ちた。木の枝が地面に突き刺さると、成長してなんと木の銃になったのだ。 「木の・・・銃!?」 それを手にとってみる。驚くほどに軽い。 「がおおお」 今にも斧を振り上げようとしてオークロードに向かって引き金をひくと、オークロードは灰となった。 「うわ、すげぇ!何々・・・」 装備品の説明書がついてくる。新アイテムなどは、説明書が必ずついている。名前は「ユルドラシルの銃」 弾を装填しなくてもよく、様々な属性の銃弾を出せる。ガンスリンガーの上位職、ガンスリンガーマスター用の銃。 「おおお!職業が!」 ニートからガンスリンガーマスターに変わっていた。ライルも、やっとまともな武器を手に、戦いに参加する。 それでもオーク、ハイオーク、オークロードはうじゃうじゃと、燃やしても燃やしても、倒しても倒してもわいてくる。 「ニール」 ティエリアが、ハイ・サラマンドラでオークの群れを燃やしつくりながら、ニールと合図する。 「ああ。多分、無限ダンジョンだな」 無限ダンジョンとは、その名前の通り、無限にモンスターがわきでてくるダンジョンだ。ダンジョンの入り口を埋めるしか、退治方法はない。 NEXT |