OORPG「報告、解散」








「へぇ。無限ダンジョン。ってことは、キメラは・・・そうだね、キメラごと、ダンジョンふっとばせばいいんだよ」
リジェネが、黒い笑いを浮かべた。

「昔、我と契約をかわせし血脈の子々孫々にいたるまで、我は汝らの力を求めたり。炎は踊る、炎は舞い散る。ファイアオブランド、炎の国より生まれし皇子よ、その絶望と呪いの声に、契約をかわせし子々孫々に到るまで
血脈を絶えぬために我は、我という生贄を捧げる」

「リジェネ!調子に乗りすぎだ!マジックシールド!」
ティエリアが、急いでマジックシールドをPTの全員にはった。
「ソウルオブファイア、防御モード。全員に、頼む」
刹那も、魔剣ソウルオブファイアの魔力でエナジーコートを全員分はりおわる。
「防御気弾!」
アレルヤの気弾が、全員にいきわたる。
「シルフの守り!」
ニールの銃と契約している風の精霊シルフが風の結界を全員にはる。
ライルは、一人おろおろしている。

「唸れ、神の子の息吹よ!ファイアゴットブレス!(血と呪いの神の御子)」

「くるぞ!衝撃にそなえろ!禁呪のなかでも、かなりきついやつだ!」
ドバァァァァン!
凄まじい衝撃とともに、そう、核爆弾が投げられたかのような衝撃。
ティエリアはすぐにシルフの精霊を召還し、全員をダンジョンから少し離れた場所に飛行誘導した。
ダンジョンだけでなく、周囲の森まで跡形もなく消し飛んでいた。キメラだけでなく、オークも全て全滅だ。無限ダンジョンは、破壊するしかない。だが、ダンジョンの奥に破壊スイッチがあり、なんとか進んでいけば破壊できる。ただし、敵は無限でこちらは体力を消耗する。通常は、上級魔法で入り口を塞ぎ、魔法でダンジョンを禁断区域に設定するしかなかった。

「リジェネ・・・・まぁいい。僕もいるし、皆防衛方法があったようだし。キメラ退治と、無限ダンジョン破壊、オーク退治の3つクリアになるか」
「爽快爽快、やっぱり、たまには禁呪くらいぶっぱなさないと、魔力があまるよ」
「お、LVが4もあがった」
「俺もだ」
ライルとニールが喜んでいる。
「30台は、LVもあがり放題だろうさ」
「僕もLVが1あがったよ」
アレルヤが、気弾をまわりに浮かべながら笑顔になる。
「俺は・・・あがってない。ベース4%・・・次まであと78%。遠いな」
刹那が、自分のEXPを確認した。
「あがるだけいいんじゃないの。僕らなんて、LV99のMAXでもうあがらないよ」
リジェネの言葉に、ティエリアが心外そうだった。
「いいじゃないか。いろんな職について、マスターして君も僕のようにいずれスペルマスターになるんだろう?僕は、攻撃魔法系の職はマスターしたから支援系の魔法と、接近戦の・・・そうだな、アサシン(暗殺者)あたりでもそのうちやろうかな」
「うわ、ティエリア外道。攻撃魔法に支援系魔法も全てマスターした接近戦のスペシャリストにでもなるつもり?」
「勿論。マスターするからには、やはり魔法系の職の弱点である接近戦の弱さを克服するためにも。ソードファイターにもそのうちなるよ」
「ティエリア。俺が、接近戦はサポートするから、無理する必要はないぜ」
「ニール、ありがとう」

こうして、6人は冒険ギルドに戻ってきた。
「あー。3つもクリアなPTなんて聞いたことないよ。それで、これからどうするんだい。オーラが二人もいるし、このままクエストを進めていって、なんなら全員オーラを目指したらどうだい?そして、皆が最終目標の魔王討伐に・・・」

「それもあり、かなぁ」
ニールが、銃の手入れをしながら答える。
「とりあえず、PTは一旦解散かな。哀しいけど、僕、魔王の側近としてやらなきゃいけない仕事があるから。魔王の仲間やめれなかった。軟弱な勇者どもをこらしめる必要があるから、またね。テレポート!」
それだけいうと、リジェネは上位古代魔法のテレポートで空間転移をしていなくなってしまった。

「まぁ、次のクエストを探そうか」
ティエリアが、ニールにキスをする。
リジェネがいると、二人は恋人なのにそんな空気も出せないのだ。
「僕とライルはどうすればいいの?刹那はなんかソロで行く気マンマンみたいだし」
「みんなまとめてついておいで。刹那も、ソロしすぎ。たまにはPT楽しみなよ。88LVで、軟弱者を育てながら、まったりLVをあげてけばいい。最近ろくにLVもあがってないじゃないか。さぼりすぎ。ソロだと、さぼりがちになるのが冒険者の怖いとこだよね」
「まぁ、確かに」
ティエリアの言葉に、渋い顔になる刹那。

「ああああ!」
「どうしたの、ライル?」
「職業がガンスリングマスターになってたのに、またニートになってる!」
ニートは、永久職だから」
刹那が、愛剣を磨きながら、声もなく笑った。



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