血と聖水「従属」







「いけ、フェニックス!」
刹那は、契約の炎の精霊をロードヴァンパイアに向ける。
ロードヴァンパイアは、蝙蝠となって四散し、炎を避ける。その蝙蝠の群れに、刹那は容赦なくフェニックスの炎を向ける。
刹那の体は空中だった。巨大な金色の鷹に乗り、宙を飛べるヴァンパイアと退治する。
「しつこい・・・・・」
ヴァンパイアは真紅の翼で空をかける。刹那に向かって、自分の血で作ったオートマティックバトルドールたち、戦闘人形をけしかける。
メイドの姿をした少女たちは、皆背中に真紅の翼を生やし、いろんな武器で刹那に向かって切りかかったりする。
「しつこいのはそっちだろう」
金色の鷹の首がもげた。

落下していく刹那の体。刹那は瞳を金色に輝かせる。
覚醒者としての証。
金色に輝く六枚の翼が現れる。
そのまま、戦闘人形たちをシルフのつくりだした突風でバラバラにすると、刹那は宙を走る。
ギィン、キィン。
ロードヴァンパイアと、直接刃を交える。
ロードヴァンパイアは血でできた真紅の刃、それに対して刹那は七つ星のハンターにのみ与えられたビームサーベルを手にしていた。
何度も切り結ぶ。
刹那は何度も使い魔を召還した。
黒い狼を召還すると、刹那はシルフの風で空に飛ばし、何度も蝙蝠になるその蝙蝠を食わせた。

「我が肉体を食らうというのか」
「駆逐する」
「お前が駆逐されろ」
「いや、お前だ」
「お前だ」
「お前だって」
「お前のかあちゃんでべそー」
「俺に母はいない。イノベイターだ。でべそはお前のほうだろう」
「ばれた!?」
ロードヴァンパイアは臍の位置をおさえた。

「いけ、戦闘人形ども!」
自らの血をまた流し、ロードヴァンパイアは何度も戦闘人形を召還する。
刹那は呪札を飛ばした。
それは一枚一枚が口となり、戦闘人形たちを食らっていく。

「遊んでる、刹那?」
フェンリルで上空から、二人の戦いを見ていたティエリアは困った顔になった。
多分、本人たちは真剣なんだろうが、漫才を見ている気分だった。
そのまま、フェンリルで地上にまでおりると、ティエリアとロックオンは銃を構え、それぞれロードヴァンパイアを撃つ。
「新手か・・・」
すでに手負い状態のロードヴァンパイアは、そこに同じロードヴァンパイアの姿を見て、唇を吊り上げた。
「小娘、ロードヴァンパイアを使い魔にしたつもりか。知っているか。ヴァンパイアは、より強い者の下につく掟があることを」
しかし、ロックオンはロードヴァンパイアに向かって銀の弾丸を撃つ。
「ち。力は上か」
ロードヴァンパイアは、血の渦となって、ロックオンに吸い込まれた。
「あれ?えーと・・・・」
はじめ、ロックオンはぼけっとしていた。次の瞬間には目が綺麗なエメラルド色から真紅ににごり、衣服を破ってヴァンパイアの証である真紅の翼が飛び出した。
「従属せぬのであれば、操るまでよ!」
「ロックオン!」

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