エメラルドの彼方U@







ヒラヒラヒラ。
エメラルドの彼方で、エメラルド色の蝶が舞い踊る。
光の河岸に、光が集まる。

その人は、一度消えたはずだった。
魂だけの存在としてふわふわ漂っていた彼は、異種の高次元生命体から「新しい命」をもらった。

光の河岸で、彼は立ち上がる。
一度は託した、愛しい存在をもう一度愛するために。

隻眼の青年は、ゆっくりと再び蝶となって飛んでいく。
エメラルドの彼方で終わったはずの物語。

もう一度、物語を紡いでみよう。
一度は天に昇った魂は、転生の輪に入ることなくたえず愛しい人を見守っていた。
人でありながら「奇跡」をおこした彼。
異種の高次元生命体は、それに興味を示した。
そして、終わったはずの命に「新しい命」をくれた。

もう一度、歩く。

誰でもない、愛した人と。


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