「泣くなって」 「泣いてなど、いません」 何度もジャボテンダーで殴る。 顎を捕らえられ、上向きにされると深いキスがふってきた。舌が絡まる。 「ん・・・・ああ」 甘い声が漏れる。 そのまま、ティエリアはロックオンに抱きついたまま、ずっと離れなかった。 「おはよう、ティエリア。ロックオンもおはよう。今日も熱いね」 リジェネが、さも当たり前のようにロックオンに声をかける。 トレミーの廊下に二人で出る。 すれ違う人たちが、普通に接してくる。 「よお、兄さんおはよう」 「よお、ライル。元気にしてたか?」 「はぁ?何言ってるんだ兄さん。昨日あったばかったりだろ。ティエリアを愛しすぎて脳みそわいたか?」 「ははははは」 ライルとロックオンは、双子同士笑いあう。 そう、まるで日常の一こまのように。 「おはよう、ロックオン、ティエリア」 「おはよう、アレルヤ」 「おはよう、刹那」 ロックオンは、刹那に声をかける。 「おかえり・・・・ロックオン。ちゃんと、守ったから」 「長い間、ありがとうな、刹那」 「もう、置いてくなよ。今度置いていったら、問答無用で奪う」 刹那はそれだけ言い残すと、部屋に戻ってしまった。 「僕は、俺は、私は・・・・・」 ティエリアは、ロックオンの腕に腕を組みながら、言葉に詰まる。 「どうした、ティエリア」 「現実、なのですね」 「だから、現実だっていってるだろ」 「おかえりなさい!」 ティエリアは、廊下でロックオンを押し倒した。 エメラルドの彼方、蝶がヒラヒラと舞う。 そこには、もう彼の姿はない。 光の河岸にも、精神世界にも。彼は、還ってきたのだ。不思議な力で。 それは、奇跡、あるいは神の悪戯。 異種とは、おそらく、人が天使とよぶ高次元生命体。 ロックオンとティエリアは、恋人同士に戻った。 刹那とリジェネもティエリアを愛しているが、愛しているからこそ、ティエリアの幸せを望んだ。 エメラルドの彼方、最後の蝶が光となって消えた。 それは、四年間のロックオンが起こした夢の跡からまた始まる物語。 ガンダムマイスターは、ティエリア、リジェネ、刹那、アレルヤ、ライル・・・・そしてロックオンことニール。 世界を、トレミーに乗りながら旅をする。 もう、二人が離れることはない。 NEXT |