私立ガンダム学園2







「1時間目は・・・・数学です」
ガラガラ。
戸をあけて入ってきたのは、普通のおやじだった。
「はい、1時間目、めんどくさいので自習。おやっさんは、ガンダムの修理で忙しいの。こんなとこで授業してる暇なんてないんだってば」
数学教師イアン・ヴァスティは、それだけ言い残すと壊れたガンダムを直しに格納庫まで戻ってしまった。
朝から刹那がダブルオーライザーで隣高校のアロウズの部隊とやりあったせいで、ダブルオーライザーは一部破損してしまった。ついにで応援にかけつけたニールがデュナメスで、ライルがケルヴィムで出撃したせいで、その2機も一部破損した。
現在、ガンダムを操ることが許されているガンダムマイスターは全部で6人。刹那のダブルオーライザー、アレルヤのアリオス、ニールのデュナメス、ライルのケルヴィムに、今日新しくガンダムマイスターとして正式認定されたティエリアのセラヴィ、リジェネのヴァーチェだ。

「転校早々にガンダムマイスターに選ばれるなんて流石だな」
ニールに褒められて、ティエリアは嬉しそうだ。ティエリアの頭を撫でるニール。
隣で、ギギギギギっと、リジェネが首を回して、呪い人形に釘をうちつけようとしていた。呪い人形には大きくニールと書いてあった。
「僕、これ木に打ち付けてくるから」

リジェネがのっぺりした仮面の笑みを刻んで、丑の刻参りにいきそうになっている。丑の刻がいつの時間なんて、リジェネには分からない。
ティエリアに止められて、結局リジェネは1時間中ぶすーっとむくれていた。
自習とあったが、皆一応は進学がかかっているので変な高校ではあるが、勉強はしている。一部もう留年決定なメンツもいたが。

次の時間は、現代国語だった。
「やばいよ!刹那!」
刹那は、すでに臨戦態勢をとっている。
「おはよう、諸君!今日もグラハム先生の授業を受けてくれたまえ!しょうねえええええんん!!」
刹那に向かって突進してくるグラハム先生を、刹那は足払いをかけてこかした
「少年!愛が痛いぞ!」
そこで、刹那のまわりの席をみる。皆、ガンダムマイスターばかりだ。大人しく優しいが、きれると2重人格のでるアレルヤ、双子のライルとニール、それに今日転校してきたという同じく双子のリジェネとティエリア。
グラハム先生は、鼻血をドバドバと垂らした。
「少年の周りは、いつも楽園だな!LVが高いぞ!おや、君は・・・・女子生徒かね?」
「僕は無性です。自我は男性なので、男子生徒で結構です」
「そうか。少年たち、愛しているぞおおお」
ばっと服を脱ぎだすグラハム先生に、リジェネが刹那に耳打ちする。
「ちょっと、なんなのこの教師」
「ただのへんたいだ」
「そうか」
「いざ、パラダイスへ!さぁ、少年たちも脱ぎなさい!おお・・・そこの君、あの子と同じ転校生か。なんと美しい・・・・」
リジェネの手をとったグラハム先生は、リジェネに往復ビンタを思い切りかまされたあと、窓の外に向かって投げ捨てられた。
「美少年も捨てがたいいいいいいい」
奇妙なエコーを残して、グラハム先生は消えていった。

学級委員長が、チョークで黒板に自習と文字を書き、2時間目も自習となった。

3時間目、英語。
ガラガラ。戸をあけて入ってきたのは、ビリー・カタギリ先生だった。
教師の中でも、稀に見る真面目として有名である。
そのまま授業は何の滞りもなく行われ、小テストも行われた。
そして、授業の終わるチャイムがなると、ビリー先生は女子生徒にもてもてだった。
ティエリアは、今までの学校で習っていた部分とそうでない部分をビリー先生に言うために、ビリー先生に近づく。女子生徒はみんな、ティエリアの顔を見て頬を赤らめていた。
アイドルグループで少年、としての活動が長いため、少女に近い無性、といっても一人称も「僕」だし、実際に少女であったとしても、男装の麗人などに少女は弱いものだ。

「あの、ビリー先生。これ、前の学校での授業内容です」
「ああ、わざわざすまないね」
ティエリアからそれを受け取り、目を通したビリー先生は、眼鏡から目玉がパリンと飛び出した
「ええと?これ、大学院LVの高等英語なんだけど」
「はい。前の高校・・・っていうか、前はスキップでリジェネと一緒に大学院に通って、二人で博士号ももらっています。卒業目前でした。今、この高校と一緒に、あとは論文を提出するだけで卒業なので、大学院のほうにも顔を出しています」
ティエリアとリジェネが在籍するという大学院は、世界でも難関で有名なところだった。
「先生、目玉が眼鏡から飛び出てますが、大丈夫ですか?」
「ああ、飛び出ちゃって元に戻らないよ。はははは」
ビリー先生は、目玉を眼鏡から飛び出させたまま、ティエリアから書類を受け取って職員室に帰っていった。
 



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