4時間目は移動だった。 体育の授業だ。 普通の体操着に着替えようと、リジェネが男子更衣室にはいったら、皆が鼻血を垂らしてこっちを見てくる。 「・・・・・・・」。 とても、男子生徒には見えないのだ。女子生徒じゃないのかと、こそこそと様子を伺ってくる。 リジェネが切れそうになったとき、かわりにニールが切れた。 「てめぇら、いい加減にしろよ」 切れたニールに連れられて、リジェネは保健室にきた。 「ここでなら、安心して着替えれるだろ?ベッドの上だとカーテンでしきってるからさ」 「へぇ。いいとこあるじゃん」 リジェネも、見直したようだった。 そのころ、ティエリアは。 一応は女子学生ということになっているので、女子更衣室にきていた。 顔が紅い。 「あら、ティエリアちゃん?どうしたの、いらゃっしゃい」 同じクラスの女子生徒に手を引っ張られて中に入ったはいいが、目をあけれない。 おそるおそる目をあけてみると、ブラジャーとぷるるんと震える胸が目の前にあった。 「▲▲××○〜〜!!」 「ティエリアさん?無性なのでしょう?男どもと着替えるほうが危険です。女子生徒として転校してこられたんですから、慣れましょう」 にっこりと、マリーという名の銀色の髪をしたアレルヤの彼女が、ティエリアの上着をぱっぱと脱がす。 「あの、私、自分で着替えれるので」 有無をいわさず、カッターシャツのボタンが外される。 「あら。ブラジャーはしたほうがいいですよ?いくら小さくても」 ティエリアはブラジャーなんてしていなかった。無性であるが、少女に近いため胸があるが、ブラジャーをするのはティエリアの理性が許さなかった。 「私も小さいんです」 マリーが脱いで見せてみる。 ティエリアよりは大きかったが、それでもこの年齢の少女にしては胸が小さい。 「ティエリアさんとは、よいお友達になれそうです(勝った・・・はじめて、胸で他の女子生徒に勝った)」 ティエリアは奇異の目で見られることもなく、自然とみんなの中に溶け込んでいった。 絶世の美少女に見えるのだし、ボーイッシュな少女と受け止められたようだった。 一部の生徒だけが、憧れるようにティエリアを見ていた。ボーイッシュさや、芸能活動でのせいで、憧れられたのだ。でも、女性はそういった部分は控えめで、きゃあきゃあと騒ぐくらいだ。 サインを求められ、何枚かのサインを書いて色紙を返す。 「ぎゃあああああ!またグラハム先生の盗撮だああああ!」 男子更衣室では、えぐい悲鳴が連鎖していた。 ある男子生徒が、棚の上に隠されていたビデオカメラを見つけたのだ。 グラハム先生は、生粋の男色家であった。ちなみに、一番好きなタイプは刹那。刹那は1分もしないうちに着替える術をおかげで身につけてしまった。 グラハム先生にとって、他の生徒の着替えも、コレクションになる。 「貸せ」 「刹那」 男子生徒が持っていたビデオカメラを、刹那は床に叩き割って壊し、何度も粉々になるまで踏んづけた。 「流石、刹那、かっこいい」 尊敬の眼差しが集まる。 下手に壊すと、課外授業とかいって、壊した生徒はグラハム先生と二人きりの授業をしなければならない羽目になるので、生徒もうかつに手を出せないのだ。その点、刹那、ニール、ライル、アレルヤは顔色一つ変えずに壊す。 だって、やっているほうが犯罪なのだ。 「そういや、この前アレルヤと課外授業やって、グラハム先生1ヶ月入院してたよな」 「あれは、いきなり襲い掛かってくるから。ハレルヤが暴れたんだよ」 悪びれもせずに、アレルヤが答える。 リジェネも着替え終わり、戻ってきた。 でもやっぱりなじんでいない。男子生徒の中で一番肌が白く華奢で、ハーフパンツから見える肌は雪のようだ。 ある男子生徒が、うっかり口を滑らせた。 「次の犠牲はリジェネじゃねぇの?女男だし」 「う」 ニールが顔を真っ青にした。 「ねぇ。それ、僕にいったの?」 と問いかけるのと同時に、鳩尾に蹴りが入っていた。続いて、相手を投げ飛ばしてから、拳で思い切り相手の顔を殴りつけた。 「うわ・・つえええ」 「強い・・・・」 知らないところで、リジェネもクラスになじんでいった。 NEXT |