「はぁはぁ・・・たまらない。褐色に焼けた健康的な肌。動くたびに時折ちらりと見えるわき腹。扇情的な眼差し・・・ああ、少年、罪だあああああああ!!」 グラハム先生の盗撮は続いていた。 「対するリジェネ君だったか・・・なんていう美しさ・・・白い肌、女にも負けない美貌・・・美少年・・・はぁはぁ・・・少年も美少年だが、健康的な美少年だ。まるで温室に咲いた薔薇のような美少年ぶりシンメトリーを描くティエリア君からも目が離せない・・・それにアレルヤ君にニール君、ライル君、・・・今年の2年OO組はハーレムだ・・・ブバッ」 「くそ、一点とられた」 ラリーが途中でやみ、刹那に点を決められた。 リジェネが、体操服をひっぱって、汗を拭いたのだ。白い肌がおしみもなくさらされる。同じように、刹那も。その瞬間を目撃してしまい、グラハム先生は鼻血を大量に吹き出していた。 「ねぇ、これこの授業中におわんないよ」 「そうだな。やるな、リジェネ・レジェッタ」 「とりあえずさぁ。あれ、殺していい?」 「同感だ」 リジェネはツイストサーブをグラハム先生の頭に決め、刹那はライジングショットをグラハム先生の鳩尾に決めた。グラハム先生は鼻血を吹き出しながら、泡を吹いた。 「わー、だめだめ、ティエリアは刹那やリジェネみたいな汗の拭き方したらだめ!」 「え、どうして?」 ぐいっと体操服をひっぱって、汗をふこうとしたが、ニールが焦って止める。 時すでに遅し、僅かな胸が見えて、その場にいた男子生徒は鼻血を拭きだしていた。 「ティエリア。だから、スポーツするときは、タンクトップ着なさいってあれほどいったでしょう」 「忘れたの」 「僕の貸してあげるから。ちょっと、刹那タイムね」 「分かった」 双子は、更衣室に戻った。リジェネから真新しいタンクトップを受け取り、その場でティエリアは体操服を脱ぎ捨てる。リジェネは周囲に人がいないかどうか警戒している。本当に、この双子の妹というかは無垢というか警戒心がないというか。もうちょっときつく言う必要があるなと思い、屋敷に帰ったら注意しようとリジェネは思った。 二人はやがて戻ってきた。 「リジェネ。ニール強いよ」 「へぇ。弟のライルはへろへろだったのに」 「へろへろいうな!」 「どうせだし、ダブルスしない?」 「いいね」 リジェネがティエリアと手を合わせる。挑戦的な眼差しをされると、どっちがティエリアでリジェネなのか、瞬間判別がつきにくい。 「じゃあ、俺は刹那とか。刹那、いけるか?」 「問題ない」 ニールが刹那とテニスラケットを交差する。 「試合開始」 ヒュッと投げられたテニスボールを、リジェネが打つ。 それを、刹那が打ち返す。 女子生徒かきゃあきゃあと黄色い声をあげて集まりだした。 続くラリー。ティエリアがプロの技を決めて、1点先にリジェネ&ティエリアが先制。 すぐに、刹那がショットを決めて、ネットすれすれでこっちにこないと双子は判断したのに、こちら側のゾーンに落ちて1点を奪われる。 ニールは刹那の背後について、刹那のカバーに出ている。双子は絶えず動き、まるでお互いの動きが見えているかのように錯覚を引き起こす。 「おー。凄いな。プロの技まで平気で繰り出すとは」 ラッセ先生が、ダブルスをはじめた四人に感心していた。 結局、試合は6−5でリジェネ&ティエリアペアの勝ち。 「ティエリア君にリジェネ君。それに刹那君にニール君も。どうだい、テニス部に入らないかい?俺はテニス部の顧問なんだ」 ラッセの勧誘に、それぞれの答えは。 「僕とティエリアは、定期的に大学院のほうに顔を出さないといけないので、無理だね。大学院で、AIプログラミングをやっていて、そっちのほうで特許とるために忙しいんだ」 「そういうことです、ごめんなさいラッセ・アイアン先生」 何気にティエリアは名前を天然で間違っている。 「俺はガンダム以外興味はない」 「俺はすでにバスケ部に入ってる。他をあたってくれないか」 「そうか・・・ちなみに、アイアンでなくアイオンだよ・・・」 ラッセ先生は、涙を流していた。 NEXT |