う、うまれた!3







その日のうちに退院したジャボテンダー親子。
ティエリアはジャボテンダー親子を両脇に大事そうに抱えて自室に戻った。
そして、部屋の改築工事がはじまった。

ティエリアは、普段使わないソファーベッドを出してきて、そこにふわふわの毛布をしくと、ジャボテンダーさんを寝かせる。
「ジャボテンダーさん。早く傷が癒えるといいですね」
その隣には、ミニジャボテンダー。
ジャボテンダーにタオルケットをかぶせる。まるで、本当の人扱いだ。
ロックオンは、そんなティエリアを愛しそうに見守り、言われた通りに一緒にソファーベッドを出すのを手伝ったりと大忙しだった。

「しばらく、ジャボテンダーと一緒に寝れないな」
「はっ!!!」
ティエリアは我に返る。
そうだ。ジャボテンダーさんと一緒のベッドに寝れない。
だからといって、親子みずいらずを邪魔するのも。まだジャボテンダーさんの傷も癒えていない。
傷がいえれば、親子一緒にベッドで眠れるのだけど。
「ど、どうしましょう、ロックオン」
おろおろ、おろおろ。

「ちょっと待ってろよ」
ロックオンは、おろおろするティエリアの頭を撫でる。そして部屋を出て、刹那の部屋にいった。
刹那は新しいガンプラを作っている途中だった。
「なんだ、ロックオンか。何か用か」
「すまないんだが、刹那のジャボテンダーちょっとしばらくの間かしてくれないか」
刹那は、ガンプラを机の上に置くと、ベッドの下にしまいっぱなしのジャボテンダーを取り出して、ロックオンに渡す。
「ティエリアか」
「ああ。ありがとさん。恩にきるぜ」
「恩にきるくらいなら、新しいガンプラ買ってきてくれ」
「分かったよ。今度地上に降りる時に買っとく」
刹那の頭を撫でるロックオン。刹那は、無表情でガンプラ作りに戻る。

ロックオンは、刹那のジャボテンダーを抱えてティエリアの部屋に戻った。
「ああ、それは幻のジャボ美さん!刹那のジャボテンダー」
ロックオンが抱えてもってきたジャボテンダーを、すぐに刹那のジャボテンダーと分かるあたり流石ティエリア。ジャボテンダーマニア。マニアックス。
「これ、しばらく借りてきたから。今日からは、ジャボテンダーの傷が癒えるまで、こいつと一緒に寝ればいい」
「はい、そうします」
ロックオンの手からジャボテンダーを受け取って、ティエリアは嬉しそうにぶんと振り上げた。
「ありがとうございます!」
べしっ!
言葉と一緒に、ジャボテンダーがロックオンの顔に投げつけられる。

ティエリアはジャボテンダーが大好きだ。でも、ロックオンに対しての扱いはけっこう酷いが、ティエリアにとってはそれが普通なのだ。愛情表現なのだ、ティエリアなりの。
ロックオンは、地面に落ちたジャボテンダーを拾い上げる。
ティエリアが、ロックオンに抱きついた。
「ロックオン、ありがとうございます」
本当に嬉しそうだ。
とても幼い表情で、ティエリアは微笑む。

ロックオンは、優しくティエリアの頭を撫でるのであった。


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