その日のうちに退院したジャボテンダー親子。 ティエリアはジャボテンダー親子を両脇に大事そうに抱えて自室に戻った。 そして、部屋の改築工事がはじまった。 ティエリアは、普段使わないソファーベッドを出してきて、そこにふわふわの毛布をしくと、ジャボテンダーさんを寝かせる。 「ジャボテンダーさん。早く傷が癒えるといいですね」 その隣には、ミニジャボテンダー。 ジャボテンダーにタオルケットをかぶせる。まるで、本当の人扱いだ。 ロックオンは、そんなティエリアを愛しそうに見守り、言われた通りに一緒にソファーベッドを出すのを手伝ったりと大忙しだった。 「しばらく、ジャボテンダーと一緒に寝れないな」 「はっ!!!」 ティエリアは我に返る。 そうだ。ジャボテンダーさんと一緒のベッドに寝れない。 だからといって、親子みずいらずを邪魔するのも。まだジャボテンダーさんの傷も癒えていない。 傷がいえれば、親子一緒にベッドで眠れるのだけど。 「ど、どうしましょう、ロックオン」 おろおろ、おろおろ。 「ちょっと待ってろよ」 ロックオンは、おろおろするティエリアの頭を撫でる。そして部屋を出て、刹那の部屋にいった。 刹那は新しいガンプラを作っている途中だった。 「なんだ、ロックオンか。何か用か」 「すまないんだが、刹那のジャボテンダーちょっとしばらくの間かしてくれないか」 刹那は、ガンプラを机の上に置くと、ベッドの下にしまいっぱなしのジャボテンダーを取り出して、ロックオンに渡す。 「ティエリアか」 「ああ。ありがとさん。恩にきるぜ」 「恩にきるくらいなら、新しいガンプラ買ってきてくれ」 「分かったよ。今度地上に降りる時に買っとく」 刹那の頭を撫でるロックオン。刹那は、無表情でガンプラ作りに戻る。 ロックオンは、刹那のジャボテンダーを抱えてティエリアの部屋に戻った。 「ああ、それは幻のジャボ美さん!刹那のジャボテンダー」 ロックオンが抱えてもってきたジャボテンダーを、すぐに刹那のジャボテンダーと分かるあたり流石ティエリア。ジャボテンダーマニア。マニアックス。 「これ、しばらく借りてきたから。今日からは、ジャボテンダーの傷が癒えるまで、こいつと一緒に寝ればいい」 「はい、そうします」 ロックオンの手からジャボテンダーを受け取って、ティエリアは嬉しそうにぶんと振り上げた。 「ありがとうございます!」 べしっ! 言葉と一緒に、ジャボテンダーがロックオンの顔に投げつけられる。 ティエリアはジャボテンダーが大好きだ。でも、ロックオンに対しての扱いはけっこう酷いが、ティエリアにとってはそれが普通なのだ。愛情表現なのだ、ティエリアなりの。 ロックオンは、地面に落ちたジャボテンダーを拾い上げる。 ティエリアが、ロックオンに抱きついた。 「ロックオン、ありがとうございます」 本当に嬉しそうだ。 とても幼い表情で、ティエリアは微笑む。 ロックオンは、優しくティエリアの頭を撫でるのであった。 NEXT |