「ところで、ジャボテンダーさんの子供の父親は誰なんでしょう?」 すっかり、傷が癒えたティエリアのジャボテンダー。 といっても、包帯を巻いていただけなので、それをとっただけだが。 「刹那のジャボテンダーも女性だし・・・ま、まさかロックオン!?」 「ぶはっ!」 ロックオンは、飲んでいた紅茶を吹き出した。 「冗談です」 ティエリアは明るい表情で笑い声をあげる。 「だよな」 いくらなんでも、ジャボテンダーを孕ますほど落ちぶれてはいない。 ちゃんとティエリアという恋人がいる。 「ロックオンは、僕の恋人ですから」 きっぱりと言い放つティエリア。 でも、紅くなってる。 かわいいなぁ。 ロックオンはそんなことを思って、ティエリアを後ろから抱き寄せ、ベッドに一緒に座る。 頭を撫でると、ティエリアは擦り寄ってくる。 本当にかわいい。 昨日プログラミングをしていた時とは正反対だ。仕事をしているティエリアはとてもかっこよい。そう、誰よりも凛々しく孤高で。 「多分、あれじゃないか。ブリーフィングルームにあるサボテン。あれきっと雄だよ」 「なるほど。あのサボテンさんが、僕の知らない間にジャボテンダーさんに夜這いをかけていたのですね」 「夜這いって、お前な・・・・」 「ジャボテンダーさんは清楚です。自分から向かったりしません。僕に内緒で子供をこさえてしまうなんて・・・よほど愛し合っているんですね。今度、あのサボテンさんにジャボテンダーさんと子供のミニジャボテンダーさんを会わせてあげましょう。あなたの奥さんと子供ですよって」 「そうだな」 ブリーフィングルームにあるサボテンは大きめなので、部屋に移動することはできないだろう。 「ジャボテンダーさん。次に子供をうむときは、言ってくださいね。急に産気づいたりして、とても心配しました」 ジャボテンダーに話しかけるティエリア。 いつものおもしろおかしいティエリアだ。 「ティエリアは、ジャボテンダーの言葉が分かるんだな」 「はい。僕の前世はジャボテンダーでしたから」 「そうか」 「ちなみに、ロックオンの前世は・・・・ええと、メダカだそうです」 何かの本を出して、ティエリアは読んでいる。 「メダカ・・・・」 「その前は、金魚で、その前は綺麗な金色の錦鯉だったそうです」 ティエリアの頭を撫でて、そっと本を奪い取る。 タイトル「魚図鑑」 「・・・・・・・・・・・ふ」 ロックオンは、エメラルドの瞳を和ませる。こんなことだろうと思った。 ロックオンは怒らない。 「じゃあ、ティエリアはきっとジャボテンダーの前は淡水の人魚姫だったんだろうな。それで、魚の俺と恋をしていたんだ」 ティエリアが、ロックオンに口付ける。 拙いそれに答えて返す。 「金色の錦鯉か。鯉だけに恋してたわけだ」 「僕、刹那のジャボテンダー返しにいってきますね!」 「あ、あれ?」 滑った。ロックオンは、見事に滑った。 ロックオンが寒いギャグを言うと、ティエリアはいつものように反応することなく逃げ出す。 そして、刹那のジャボテンダーを持って、刹那の部屋にいって戻ってこなかった。 「とほほほ・・・・」 その日、ロックオンは虚しく、ティエリアと一緒に寝る約束をしていたのに、一人で寝る羽目となった。 ティエリアは、刹那と一緒に寝た。勿論、ジャボテンダー親子も一緒に。 NEXT |