花見でひゃっほい1







花見に行こう。
そう言い出したのはまたもやいつもガンダムマイスターを引き連れて出かけるロックオンだった。
アレルヤは賛同したが、年少組の二人はとても嫌そうにロックオンを見ていた。その二人を両脇に抱え、ロックオンはトレミーから地上に降りた。

花見という風雅な催しが行事として定着しているのは、主に日本だ。
この春の季節なら、桜が満開だ。花見つまりは桜を見る。そんな形式ができあがる。
寝泊りは勿論刹那の東京にある家。
花見だけで帰るなんて勿体ない。せっかくだから、地上でいろいろと遊ぼう。
そんなこんなで、ロックオン、アレルヤ、ティエリア、刹那、ついでにジャボテンダーとハロも花見にいくこととなった。

別に、花見にいくのに遠くの名所なんて選ぶ必要性はない。
桜一本あれば、それで十分だ。
刹那が選んだのは東京の公園の一つだった。桜がたくさん植えられていて、花見名所としても密かに名高い場所。
近くには屋台が並び、夜になればスポットライトを浴びた夜桜が見れる。


ロックオンは刹那の家で食材を買い込んで四人分のお弁当を作った。それをそれぞれ、荷物として持たせる。
「何故僕が花見など・・・・」
「いいじゃないか。桜は綺麗だぜ?」
ジャボテンダーを抱きしめながら憮然としていたティエリアの頭を、ロックオンが撫でる。
刹那は「行かない」といっていた割には、すでに準備を整えている。アレルヤもロックオンも準備が整って、いざ花見に出発。
その公園にはバスに乗って向かう。

「○○○公園前〜」
アナウンスが流れ、よだれをたらして寝ていたロックオンの頭にチョップが襲い掛かる。
「ふがぁ!?」
「着いたぞ」
刹那が、最初にバスを降りた。
クスクスクス。バスの席に乗った人々から笑いが零れる。どうしたんだろうかとロックオンは思いながらも、アレルヤとティエリアと共にバスを降りた。

「ロックオン・・・これ」
アレルヤに手鏡を渡されて、ロックオンは怒りに燃えた。
額に肉の字が書かれていた。刹那の仕業だ。寝ている間に、マジックで刹那はロックオンの額に「肉」の字を書いた。毎度毎度、こりない刹那。
すぐにロックオンに追いかけられ捕まえられて、ロックオンは荷物から取り出したハリセンで何度も刹那の頭をはたいた。

「わぁ。満開だね」
アレルヤが感嘆の声をあげる。
桜はそれはそれは綺麗にたくさん植えられていて、ちょうど見ごろの季節だった。
「でも、人が多いね。どうしよう?」
一番いい場所などは、すでに人が花見をして席をとっている。
「俺に任せろ」
刹那は、どこからかカラオケマイクを取り出した。

ほげ〜ほげ〜〜ほげげげ〜
ほげほげほげ〜ほげ〜〜〜
ほげほげほげほげほげ〜〜〜
ほげ〜♪ほげ〜〜のほげ〜〜〜

それはそれは素晴らしい声で刹那は熱唱した。
花見にきていた人たちは、泡をふいて気絶する。
「うむ、我ながら素晴らしい美声だ。気絶するくらいに皆感動している。いまだ、アレルヤ」
刹那の素晴らしい音痴な歌声を、なんとか耳を塞いでやり過ごしたアレルヤは、泡をふいて当分は回復する見込みのない刹那の歌の犠牲者たちの足をずるずるとひきずって、中央をどかす。
「うう・・・・・なんという破壊力」
ティエリアは、耳を塞いだものの、それでも刹那の歌に倒れそうになった。
ロックオンといえば、泡をふいて倒れていた。
ティエリアは、ロックオンの足をひきずって、中央にもってくる。
一応ビニールシートをはって、その上にロックオンを寝かせた。
手を死者のように組ませ、一言。

「アーメン」
ティエリアは十字を切った。
「勝手に殺すなああああ」
ロックオンはすぐに復活した。そして、近くにあった水飲み場で額の肉の字を消して戻ってきた。



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