「綺麗だな」 刹那も桜の花に酔う。 桜の花は、人を惹きつける魅力がある。 ピンク色の花びらが、風が吹くたびに散っていく。サラサラと。まるで桜雪。 「確かに美しい。デジタルで見るよりも、本物の桜の花はとても可憐で美しい」 ティエリアが珍しく褒め称える。 アレルヤも、桜の花を見上げて、ロックオンも桜をみてしばしの間、皆は桜の花をじっと見ていた。 「さて、弁当でも食うか」 ロックオンが、弁当の包みを取り出して中身をあけると、空っぽだった。 「はい!?」 ロックオンの目が飛び出す。ティエリアのように眼鏡をかけていたら、パリンと眼鏡を割ったことだろう。 綺麗に誰かに食べられた形跡があった。 アレルヤと刹那、ティエリアも弁当の包みを取り出すが、皆中身は普通に入っている。 「ふ、残念だったなロックオン」 にやにや。刹那は勝者の笑みを刻んでいた。 「刹那ああああ!!」 刹那は、出来上がったロックオンの弁当を、朝のうちにこっそり食べておいたのだ。無論、おなかがへったからやったわけではない。からかうためだ。 ロックオンはハリセンをとりだして、刹那の頭を殴ろうとする。 はしっ! 刹那はそれを白羽取りした。 「桜が綺麗だねぇ」 「そうだな」 アレルヤとティエリアは傍観者を決め込んで、二人を放置していた。仲間だと思われたくなかった。 「サクラ、サクラ。ハジメテ、ハジメテ」 ティエリアの周りを飛び跳ねるハロに、ティエリアの表情が幼くなった。 「そうか。ハロさんも桜を見るのははじめてか」 「アーレ、アーレ。ロックオン、サクラノシタデティエリアト、ムフフフ」 「ハロさん・・・・・」 ハロの言葉に、ゆらりとティエリアが立ち上がる。 そして、刹那の手からロックオンのハリセンを奪うと、何度もべしべしとロックオンの頭をはたいた。 「この変態!桜の下でむふふふ!?この人でなし!アホ!エッチ!!」 「いやまてティエリア、それは刹那が勝手に教えた言葉で」 「いや、ロックオンは確かに言っていたぞ。桜の下でティエリアとムフフフできたらいいなって」 刹那が、油に火を注ぐ。 「このスケベ!ヘンタイ!エッチ!!」 ティエリアのジャボテンダーがぶんと風をきる。ジャボテンダーで何度も殴られるロックオン。 「助けてくれ、アレルヤ」 「いやぁ。桜が綺麗だね」 「アレルヤあああ!?」 「どうせ僕はKY(空気読めない)だから。無駄に介入するとややこしくなるのさ。ふ・・・」 アレルヤは、桜を見上げ、一人黄昏ていた。 「アオカン、アオカン!ティエリアトアオカン!」 ハロが、ロックオンの周りを飛び跳ねる。 「ハロ!また刹那の吹き込んだ変なことしゃべるな!!」 「アオカン?なんだそれは」 ジャボテンダーでロックオンを殴っていたティエリアの手が止まり、首を傾げる。 「アオカンとは・・・」 説明しだそうとして刹那の口を塞いで、ロックオンはティエリアに教える。 「えっとな、アオカンってのはオカンの仲間だ。つまりはおふくろさんの仲間だ」 「そうなのか。はじめて知った。オカンの仲間か・・・オヤジの仲間は、アオヤジなのだろうか」 「あ、ああそうだ。それであってる」 なでなで。 ティエリアが可愛すぎて、ロックオンは和んだ表情でティエリアの頭をなでた。 刹那も、ため息を出す。純粋培養のティエリアに教えるのはやめたようだ。アレルヤはハロと戯れている。 NEXT |