花見でひゃっほい3







「ロックオン。僕のお弁当食べてください。おなかがすいたでしょう」
とりあえず騒ぎがひと段落して、刹那とアレルヤは弁当を食べだした。
「いや、いいって。ティエリアが食べろ」
「いやです。あなただけ何も食べないなんて。それじゃ、僕も食べません」
ツーン。
ツンデレに出たティエリアはそれでもとてもかわいい。
氷の花のような美貌は、桜の花びらとあいまって本当に神秘的だった。この世のものとは思えないほどに美しすぎる。
凛とした美しさは、けれどロックオンの前だと乙女と化してしまう。

「仕方ないなぁ。じゃあ、半分こしようか」
「はい」
ティエリアは笑顔になった。
刹那は後悔した。こんなことになるなら、ロックオンの弁当を食べるんじゃなかった。
ロックオンはどうでもいいとして、ティエリアが可哀想だと刹那は思った。
刹那は、おかずを無言でティエリアにさしだす。
「くれるのか、刹那?」
刹那は無言のままだ。おかずを、刹那は自分の弁当箱のふたにいろいろ乗せると、それをずいっとティエリアに差し出す。
ティエリアは、刹那の弁当箱のふたを受け取って、のせられたおかずと白いご飯を一緒に食べた。
「ありがとう、刹那」
ティエリアは刹那の隣に座った。刹那は照れてあさっての方向を見ていた。
それから、自分が巻いていたターバンを外して、ティエリアの首に巻く。
ティエリアの服はユニセックスなものだったが、胸の部分にまで深い切込みが入っており、白すぎる肌が刹那にとっては毒だった。アレルヤも刹那も、最初その姿を見たとき上から何か着るか下に何か着ろと勧めた。ティエリアは黒のストールを肩から羽織ったので問題はなく、そのまま外出となったのだが、今はストールを外している。ちらちらと、周囲の男の視線がティエリアに集まる。特に、見えそうで見えない胸元に集中していた。
刹那は威嚇するように、男たちを睨みつける。それはロックオンも同じことだった。刹那よりも冷たい氷の瞳で、美しすぎる美貌をもったティエリアに集まる男の視線を蹴散らしていた。

アレルヤは刹那の言葉のない優しさに、不器用だなぁと思った。
アレルヤも、おかずをロックオンのほうにさしだす。
「サンキュ」
ロックオンは、はしから直接食べた。
そして、ロックオンはアレルヤの隣に座ってダーっと涙を流した。
「アレルヤ、お前って本当にいいやつだなぁ」
アレルヤを抱きしめる。
「買いかぶりすぎだよ」
アレルヤが苦笑する。

隣から、声が聞こえてきた。
「あら、みたざます、今の?黒髪の青年と白人の青年はゲイのようざますね」
「みたざます。二人とも見目麗しいざますわ。こんな一目のある場所で勇気があるざますね。激しく愛し合っているんざましょう」
「ゲイ、ゲイ、フタリハデキテル、フタリハデキテル」
隣にいたのは金持ちの奥様グループだった。
そっちのほうにハロが飛んでいき、いらない台詞を奥様たちに聞かせる。
「あらまぁ。オホホホホホ」
「オホホホホ。やっぱりゲイカップルだったザマスね。オホホホ」

ロックオンとアレルヤは、全身に鳥肌がたった。
「おい、アレルヤ・・・」
「簡便してよお」
二人はすぐに離れて、ずーんと沈んだ。
隣では、刹那がティエリアに餌付けをしている。
刹那はデザートを自分でもってきており、それをはしではさんでは、ティエリアに食べさせる。
いろんな果物がはいっており、果物が大好きなティエリアはエサを求めるヒナのように刹那からそれをもらっては食べていた。


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